天才クソ野郎の事件簿24 -TWENTY FOUR-


第4話「天野くんのクリスマスイブ 3:00~4:00」

12月24日 3:00~4:00

 12月24日。クリスマスイブ。

 未明の3時。


 天野はまだ、都内の雑貨店をしらみつぶしに回っていた。


天野勇二

ちくしょう。
ないぞ。
どこにもない。


 目当ての品は見つからない。

 それも無理はない。

 天野が探している『プリンセスキューティブロンドっち』こと『プリっち』は、今や10代女子のマストアイテムとなっているのだ。


 『プリっち』は当初、人気を博した「たまご型」の電子玩具の後発として販売された。


 その後、幾多のバージョンアップを経て、グラフィックの追加、音声の追加、課金システムの追加、さらにはカメラやスケジュールや防水機能を追加した上に軽量化され、ただの玩具ではなく、オシャレな小物としても活用されるアイテムになった。


 その他にもプレイ状況に応じて『LIMEスタンプ』が手に入ったり、割引クーポンが手に入ったり、ソーシャルゲームのガチャが回せたりと、実生活にリンクした楽しみが散りばめられているのだ。


 これがなんと3,000円ほどで販売されている。


 フリーミアムモデルを取り入れた商品の中では、かなり成功している部類に入るのだ。


天野勇二

(くそっ、ない。今から買うのは無謀むぼうだったか……)


 あまりに人気のため、現在の天野のように『プリっち難民』が急増中だ。

 人気がゆえに手に入らない。

 特に時期はクリスマス。

 こんなに安価で手に入る女子のマストアイテムを、世の男性が見過ごすはずがないのだ。


天野勇二

(困ったな。これでは『約束』を果たすことができん……。さて、どうしたものか……)


 天野はひとり、雑貨店の駐車場で思案していた。


天野勇二

(クリスマスまでに渡さなければならないんだ。代わりのものを探すべきだろうか……。だが、どうしても『プリっち』っがいいと主張していたからなぁ……)


 天野が灰色の脳細胞をフル回転させていると、駐車場の奥から小さな悲鳴が聴こえた。



天野勇二

……うん?



 女性の悲鳴のようだ。

 誰かと揉めているような声。

 嫌な予感がする。


 天野は足音を消しながら奥へ向かった。

 微かに女性の泣き声。

 そして、野太い男の声が聴こえた。


野太い声の男

……ほら、出せよ。
『プリっち』持ってんだろ。

少女

いや、やめて。
やめてください。

野太い声の男

ガキのくせにこんな時間まで、出歩いてるから悪いんだ。
早く出せよ。
大人しく出せないと痛い思いを……。


……うん?


 野太い声の男が背後に気配を感じた。

 静かに振り返る。


天野勇二

……気に入らないな。


 そこに、全身から殺気をみなぎらせた1人の男が立っていた。


 天野だ。


 天野は極悪の笑みを浮かべながら言った。


天野勇二

女子供から恐喝しやがるとは……。
人間のクズめが。
この俺様がお仕置きしてやろうじゃねぇか……!


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つばこ

次回!
「天才クソ野郎vs野太い声の男」!!!
お楽しみに!ヽ(*´∀`*)ノ.+゚

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コメント 109件

  • なゆ

    子供相手に恐喝とは……
    転売ヤーから買う方がまだマシだな

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  • 沙理奈

    いや玩具を恐喝ってwww

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  • ユタ

    プリっち恐るべし……!

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  • 平行

    プリっちをめぐって恐喝までおこるとは…

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  • りあこりあ

    ぷりっち!って叫んでる天野くん面白いしイブでもお仕置きとかさすが。

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