天野くんの最も特徴的な口癖は、
「俺様にかかれば全てうまくいく」
or
「天才クソ野郎にかかれば全てうまくいく」
なのですが、そのルーツはお兄さんにあったんですねぇ。
さてさて、本日はcomicoPLUSでの新作準備中の「サクラギンガ先生」に天クソを描いていただきましたぁーーヽ(*´∀`*)ノ.+゚
素敵なイラストを本当にありがとうございます!
天野くんと前島ちゃんとまきりんは、グアムでアルマさんとネコマタに会っていたんですね!下乳たまりませんな!!!
天才クソ野郎の事件簿 -特別編-
『彼女を上手に誘拐する方法』
第5話 「天野くんの誘拐」
誘拐の依頼から数日たった日。
天野はメイを連れて、千葉県にある
メイ
ねぇ! パパ!
今度はあれに乗りたい!
天野勇二
わかったわかった。
そんなにはしゃぐな。
また転ぶぞ。
天野はメイを連れて、遊園地で楽しく遊んだ。
人気キャラクターのアクセサリーを装着したり、長いチュロスを2人で分けあったり、一緒に写真を撮りあったり、アトラクションに乗って歓声をあげたり……。
傍から見れば、2人は本当の親子のようだった。
朝から遊び続け、やがて陽が傾き始めた。
天野勇二
メイよ。
そろそろ帰るぞ。
メイ
えぇー?
まだパレード観てないよ?
天野勇二
メイを連れて行きたい場所があるんだ。
それに、お前は俺様に『誘拐』されているんだぞ。
拒否権なんてものは存在しない。
メイ
うぅ……。
クリスマスのファンタジーなやつ、観たかったなぁ……。
天野は不満気なメイを助手席に乗せ、遊園地を後にした。
メイ
どこに行くの?
パパの家?
天野勇二
家ではない。
だが、家の近くだな。
メイ
どんなところなの?
天野勇二
大した場所じゃない。
行けばわかるさ。
それより……。
今日は楽しかったか?
メイは太陽のように微笑んだ。
メイ
うん!
すっごく楽しかった!
遊園地なんて久しぶりだし!
今度は涼太にーちゃんも連れて行こうよ!
天野勇二
フッ……。
そうだな。
涼太も呼ぼう。
お前は結構、金のかかる女だからな……。
天野は後部座席を見てため息を吐いた。
メイがねだった数々のグッズが、大量に並んでいる。
医者のボンボンである天野にとって、買ってやることは別に問題ない。
だが、それを持つのが実に面倒だった。
次は涼太のバカを荷物持ちとして連れていこうと、天野はそんなことを考えていた。
天野勇二
ついたぞ。ここだ。
助手席で眠っていたメイを起こし、天野は車を降りた。
メイ
……うぅん?
ここはどこぉ?
メイも欠伸をしながら車を降りる。
そこは殺風景な河川敷だった。
あまり整備されていないのか、雑草があちこちに生い茂っている。
近くに橋はない。
遥か遠くに陸橋が見えるだけ。
街灯の数も少ない。
時折ジョギングや散歩している人を見かけるが、基本的には人があまり通らない場所だ。
メイは冬の寒風に震えながら尋ねた。
メイ
……ここに、なにがあるの?
天野勇二
何もないさ。
ほら、おいで。
天野はメイにジャケットを着せてやりながら、川を目指した。
河原に腰掛けられるぐらいの石がある。
そこにメイと一緒に座った。
メイは若干不満気な表情だ。
どう見ても、この河川敷が遊園地より魅力的だとは思えない。
メイ
ねぇ、パパってば。
どうしてここに来たの?
天野は静かに河原を眺めている。
どこか感慨深げな表情だ。
やがて、静かに口を開いた。
天野勇二
……ここは俺様が幼い頃、よく家出した時に来た場所なんだ。
メイ
いえで?
パパもいえでしたことがあったの?
天野勇二
あったさ。
俺はメイほど『いい子』じゃなかったからな。
メイ
……そうなんだ。
メイが嬉しそうに微笑む。
その頭を撫でながら、天野は言葉を続けた。
天野勇二
親に叱られたり、怒られたり、誰かと喧嘩したり……。
我慢できないことがあれば、俺は家を飛び出し、ここに来ていたよ。
深夜までここにいたこともあったな。
メイは「ふぅん」と呟きながら周囲を眺めた。
本当に何もなく寂しい場所だ。
ベンチさえも見当たらない。
夜までここにいるのは寂しいだろう、と感じた。
天野勇二
ここにいると、兄がよく迎えに来てくれたよ。
メイ
あに?
それって……。
天野勇二
ああ、お前の本当のパパさ。
迎えに来てくれるのは、いつだってお前のパパだった。
メイはまた「ふぅん」と呟いた。
メイ
……本当のパパは、パパにどんなことを言ったの?
天野勇二
お父さんは何も言わなかった。
ただ黙って、俺のそばにいてくれた。
メイ
本当のパパは無口だったの?
天野勇二
フッ……。
そうではない。
苦笑しながら言葉を続ける。
天野勇二
お父さんは頭が良くて、口も達者だった。
だが、俺が泣いたり落ち込んだりしている時は、ただ黙ってそばにいてくれた。
それが嬉しかった……。
俺はそれだけで良かったんだ。
メイは小首を傾げながら天野を見つめた。
天野は懐かしさと、喜びと、悲しみが全て入り混じった表情をしている。
幼いメイでは天野が何を考えているのか、読み取ることができなかった。
天野勇二
だがある時、お前のお父さんは、俺にこう言った。
指をパチリと鳴らす。
天野勇二
『どうしても辛い時、悲しくてやるせない時、何をやってもうまくいかない時、心の中でこの言葉を呟け』
……ってな。
優しげにメイの瞳を見つめる。
天野勇二
すべてうまくいく……。
きっと、うまくいく……。
天野勇二
それはお前のお父さんの『口癖』でもあった。
兄はこうも言ってくれたよ。
『勇二にかかれば、全てうまくいく』
ってな。
メイの心の奥底に届くよう、天野は言葉に力をこめる。
天野勇二
メイにかかれば、すべてうまくいく。
ニヤリと
天野勇二
思えば、これがお前のお父さんに初めて教えてもらったことだった。
何かに迷ったら、この言葉を呟けと教えてくれたのさ。
すべてうまくいく……。
『ALL is WELL』ってことさ。
メイ
おーるいず、うぇる……?
天野勇二
ああ、まだ英語は早いか。
こうするんだ。
天野はメイに拳を握らせると、胸にそれを押し当てた。
天野勇二
強く拳を握って、自分の胸に押し当てるんだ。
そして呟いてごらん。
すべてうまくいく……。
どんなことだって、きっと、すべてうまくいく……。
メイは輪唱するように言った。
メイ
すべて、うまくいく……。
天野勇二
そうだ。メイには出来ないことなんかない。
信じていれば、全てうまくいく。
例えば、 わからず屋のママを説教することだってな。
メイが「はっ」として顔をあげた。
そして、どこか気まずそうに顔を伏せる。
天野は優しげに語りかけた。
天野勇二
メイ、逃げることはズルいことじゃない。
誘拐されて、ママの前からいなくなることだって、俺は卑怯なことだとは思わない。
時として、人はその選択肢を選ぶ必要がある。
天野は軽く首を横に振った。
天野勇二
だが、それは自分の『本質』がしっかりしていればの話さ。
本質が何かもわからないのに、逃げ出しているばかりでは、自分が何者かもわからなくなってしまう……。
いつか、生きることからも、逃げ出してしまう……。
メイはきょとんと首を傾げた。
メイ
『ほんしつ』……?
それはなに?
天野は苦笑した。
天野勇二
メイにはまだ難しいか。
まだお前には『やれること』があるってことさ。
メイには伝えるべき言葉がある。
ママにはっきりと、言わなければならないことがある。
お前は自分が正しいと信じているんだろう?
ママが間違っていると思うんだろう?
メイ
うん……。
思うよ。
ママはおかしいもん……。
天野勇二
お前には許せないことがある。
お前なりの『正義』がある。
それは伝えなければならない。
俺はメイだったら伝えることができると、信じている。
メイ
うん……。
だけど……。
俯くメイの背中を、天野は軽く叩いた。
天野勇二
大丈夫さ。
俺様がついているんだ。
俺はお前の『パパ』じゃない。
俺たちは『まがい物』の親子だ。
だが、それなりに頼れる『
メイは静かに天野を見上げた。
メイ
……ママ、わかってくれる?
ちゃんとあたしの言うこと、聞いてくれるかな?
天野は力強く頷いた。
天野勇二
ああ、必ずわかってくれるさ。
それに俺様がそばにいる。
俺たちにかかれば全てうまくいく。
俺を信じろ。
ママにガツンとカマしてやろうぜ。
メイは天野を見上げ、こくんと、小さく頷いた。
「天クソ祭り」特別企画!
☆マンガの人気先生に「天クソ」を
描いてもらいましたコーナー☆
『なりきりの化学』『みかどとまつり』の「サクラギンガ先生」に描いていただきました!
素敵なイラストありがとうございます!
そして12月10日発売の『天才クソ野郎の事件簿』を『フタバ図書様』でお買い求めいただきますと、こちらのイラストカードが購入特典としてもらえます!
しかもなんと!
「サクラギンガ先生」 と「つばこ」のサインつき!
是非ともお近くのお店をチェックしてください!
明日は、日曜連載『 アンダーワールド』の「猫又ヨオスケ先生」のイラストが登場します!
お楽しみに!ヽ(*´∀`*)ノ.+゚
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天野くんの最も特徴的な口癖は、
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さてさて、本日はcomicoPLUSでの新作準備中の「サクラギンガ先生」に天クソを描いていただきましたぁーーヽ(*´∀`*)ノ.+゚
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