これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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不死でありながら最も死ぬ男

砂上船のバルコニーで王国産の果実酒を楽しむ。

 

砂漠の夜風は冷たいが、昼間の灼熱の砂漠の変わりようを肴に飲む酒は乙なものだ。

 

比較的だが夜行性のモンスターは大人しく、巨大な砂上船に乗り上げるような類いはいない。ゆっくりと寛いで夜を楽しむことができるというのは良い事だ。

 

俺が黄河からカルディナに入る道のりは大変だったことを思うと、もう砂上船を使わずにはいられない。道中の快適さは比べるまでも無いからだ。

 

あの猛暑の中でモンスター集団を相手取るのは些か面倒だからな。しかも砂漠では食事も簡易的なものか、保存食にせざるを得ない。

 

しかしこの豪華客船を兼ねた砂上船ならバイキング形式で好きなものを食べることができる。更に、最大の貿易国のカルディナが主体なので各国の料理に珍味も揃えている。

 

まったく、カルディナのブルジョワジーは最高だぜ!

 

やっぱ何処の世界でも金が正義よ!なぁ!?ノーラ!!

 

この世界に飲酒に関する法はあるにあるが、ノーラぐらいの体が出来ている歳なら大体大丈夫だろ。という訳で酒を飲ませている。

 

ノーラは結構なうわばみのようで度数が高い酒のボトルをパカパカ開けている。良い酒飲みになるぜコイツァ・・・

 

まだまだおつまみの良さが分かっていないうちはお子様だが。

 

しかしさっきから酒ばっかりで師匠の顔を立てようとしないのは減点だ。

 

ガッと酒瓶を奪い取って一気飲みする。※良い大人はマネしないでください。

 

【酩酊】

 

おい、ちったあお師匠様の言うこと聞きなって!俺お前より偉くてツエエかんな!?

 

特典こんぐれぇ持ってんの俺ぐらいだから!?しかも社長様だぞコンチクショー!

 

酒を奪われたノーラが蕩けた目で疑問符を浮かべている。

 

「のれすんですか?」(訳 何すんですか!?)

 

駄目だな。完璧に酔ってら。だが俺は酔っ払いでも容赦はせん。それが弟子なら尚更。

 

俺はグイッと一升瓶を飲み干した。「鬼殺し」。旨い。良い酒だ。

 

【泥酔】

 

俺は神獣を殺して見せた男だぞ!輪っか使ったろか!すげー強えんだぜぇー!

 

だから俺を敬え〜!尊敬しろ!崇拝するんじゃ〜!!リスペクトが足りねーんだよォ!

 

神獣?という顔をノーラがしていた。知るよしも無いのだから当然のことだが。

 

「しんじゅうってなんれす?まじゅうれないすか?」(訳 神獣ってなんです?魔獣じゃ無いですか?)

 

あぁ?見せたことなかったか?あったっけ?

 

俺は酔いながらアイテムボックスを弄った。着ぐるみでも器用に物を扱えることに革命を感じたような気がしたが気の所為だった。とても眠い。

 

【誇獣闘輪】。あったあった。これだこれ!

 

それはアイテムボックスの中でも強い威圧感を放つのですぐに見つけることができた。

 

奴との心躍る殺し合いはそうそう巡り会うことが出来ない奇跡だった。

 

狂おしい懐古の念に駆られて精緻な刻印を刻まれた腕環を装備する。

 

装備した腕環は肌に触れずに宙に浮いている。見た目に反する重さは浮いていても消えていないので振り回して重量で殴りつける鈍器としても使う事が出来る。

 

俺の数々の特典の中でも、唯一無二の純粋な武器の特典だ。他は特典本体の殺傷力がまったくと言って良いほど無い。

 

牙や爪が消えようと変わらぬ獣の気質が特典に表れているかのようだ。

 

俺はブンっと腕を横に力任せに振るって、《隠蔽》で隠れておつまみを盗もうとした無粋な怪鳥を腕環で殴り飛ばした。

 

竜車よりも重い腕環の高密度な質量とルンバのSTRが掛け合わさって、膨大な物理エネルギーが怪鳥の頭部を腕環の形に凹ませた。

 

甲板上に血が撒き散らしながら怪鳥は壁に追突し、光の粒子へと変わっていく。

 

怪鳥が壁に追突した事で船が少し揺れた。

 

怪鳥の鮮血を吸った腕環をそっと撫でる。・・・表現じゃなくて結構物理的に吸ってたな。そういう機能が付いてんのか?

 

ノーラは酔いが醒めた真っ青な顔で頭を押さえていた。怪鳥の頭部を凹ませるほどの威力を酔っ払いが振るう危険性に気づいたらしい。

 

「あー、し、師匠?そろそろ酒は辞めておいた方が良いんじゃあ・・・?」

 

んだよ。おりゃあまだいけんぞ!弟子に負けてられっかよ!

 

師匠として青二才に負けていられないという意地があった。

 

俺はそこらにあった容器の蓋を開けてガパッと飲み干した。

 

ウゲェ、変な味がする?酒?酒かこれ?銘柄はなんなんだこれ。

 

グラグラと揺れる視界で必死に容器を見てみる。

 

瓶に似た白い容器。酒の魅力を引き立たせるデザインというより、医療機関のような清潔感を感じさせる。

 

ラベルの文字を解読すると、こうだ。

 

「工業用アルコール(メタノール99.5%)」

 

これ・・・酒じゃないじゃん・・・!ブクブクブクブク・・・!

 

ズシャァ!俺は口から泡を吹きながら倒れ込んだ。

 

【急性アルコール過剰摂取】

 

「し、師匠ーー!?」

 

※この後カーソンが全部腹パンで砂漠に吐き出させた。

 

まさかの工業用を経験した俺は【快癒万能霊薬】を飲んでもグッタリとしていた。

 

デンドロはログアウトしていても状態異常は自然治癒しないので、ログインして体調を回復させる必要がある。

 

横たわっているベットの脇でカーソンがリンゴを剥いている。具体的に言えばリンゴに似た果実なのだが。

 

カーソンが甲斐甲斐しく世話をしてくれるが流石に以前のように殺しにくるのはやめて欲しい。

 

この砂上船にはログアウトとログインができるセーブポイント付きだが、デスペナルティから復活する際のログイン地点に使えないのだ。今カーソンに殺されれば皇国に戻ることになってしまう。

 

読心で俺の思考を読んだカーソンがため息を吐いた。

 

「やらんよ。そんなこと。おんしはワシをなんじゃと思っておるのだ・・・」

 

そう言って毒を盛るんでしょ?さっきの腹パンだって内臓破裂してたじゃん。俺じゃなかったら死んでたよ?完全に殺す気でしょ。

 

「あれは焦って力加減を間違えてのぅ。殺す気は無かったぞ?実際貫通せんかったじゃろ?」

 

カーソンのSTRなら俺の装甲を容易く貫通するので嘘は言っていない。やろうと思えばパンチ一つで上下に泣き別れさせることが出来るのだから。

 

取り敢えずその言葉を信じて枕に頭を沈める。未だグラグラと揺れる感覚がするのだ。

 

シャリシャリと果実の皮をナイフで剥く音が船室に響く。

 

カーソンは普段料理をしないわりに器用だ。こうして皮剥きの様子を見るに手慣れた印象を受ける。俺の記憶を共有しているからか?

 

船室は防音が効いていることもあって、室外の音が遮断されている。

 

規則的な音が響く船室は矛盾しているようだが、とても静かで落ち着く。人間の脳は完全な無音よりもある程度音があるほうがリラックスすることが出来る。

 

シャリシャリと果実の皮をナイフで剥く音が船室に響く。

 

瞼がゆるりと閉じていく。眠たい。このまま瞼を閉じ切ってしまおうか。

 

カーソンが髪を撫でる感覚が伝わってくる。

 

それは目を覚まさせるようなものではなく、とても安心する手つきだった。

 

スゥスゥと寝息が鳴らす音が船室に響く。

 

カーソンは切り分けた果実を頬張った。甘い果汁が桃のような味がした。

 

・・・・・

 

久しぶりの熱気が立ち込める砂漠の国、カルディナに帰ってきた。

 

プレーリードッグの着ぐるみは内部を快温快湿に保ってくれるので問題ないが、雪国の皇国出身のノーラにはキツいようだ。

 

初めて見た光景にはしゃぐ気力も無いようでグッタリとしている。俺の着ぐるみの性能は知っているので恨めしげに見てくるが、そんなに羨ましいのなら特典で着ぐるみを出すのだ。

 

逸話級でも結構高性能で多機能なのだから有用だぞ?

 

欠点を挙げるのなら全身装備枠を埋めるから【瘴鼠衛衣】や【忌騎融鎧】との併用が出来ないことだろうか。あとすごい目立つ。場所によっては警戒もされる。

 

実際ノーラも皇国の路地裏であった時警戒してただろ。

 

「あれは誰だって警戒するよ。だって人気の無いところで着ぐるみの怪人がジッと見てくるんだから。言っておくけどその姿で無言で見られるとスゲェ怖いから。」

 

俺は怖くない。お前の心が無垢じゃなくて擦り切れてるからだろう。もっと心を豊かに養え。そうしたらわかる。俺は怖くないと。

 

「ハァ・・・無駄だと思うけどね。」

 

言っても無駄だと察したノーラは話を切り上げた。この師匠は賢い癖に着ぐるみの自分に根拠が分からない自信を持っているのは明らかなのだから。

 

一向に聞こうとしない弟子にため息を吐いた。修行厳しくしすぎて感性が壊れたのかなぁ?

 

さては何度も手を替え品を替えてHPを1桁に追い込むのはやり過ぎたか。殆ど拷問というかカルディナ流の拷問なのだが、常人は発狂する頻度が高い。訓練された暗殺者には良い塩梅なのだが。

 

怨念に親和性を持つノーラの場合のたうち回る程度で済んでいたが。大した精神力だ。

 

その分だけ目的意識の矯正が荒療治になったのでノーラにしたら自分の墓穴を掘ることになったが。

 

竜王の名を貰ったギフドラグの名は伊達じゃ無い。力尽くで矯正する為には【竜王】の本気の殺業でようやくなのだから。

 

製造工場にて【永続性累積型惚れ薬】の材料の搬入を済ませて怨念の器の生成実験を行う。

 

【清浄のクリスタル】がただの結晶になるまで怨念を注ぎ込み、砕こうと力を込めようとして。

 

とある研究員がストップを掛けた。その結晶にそのまま怨念を注ぎ込むことは出来るのか、と。

 

成る程。一理ある。元【清浄のクリスタル】単体の実験データを取らないとな。

 

俺は怨念の注入を再開する。無色透明の結晶は怨念の黒に染まって黒い結晶になった。

 

黒く光る結晶は妖しげなオーラを放つようで厨二の好きそうなアイテムっぽい。

 

しかし、まだ入りそうだ。このまま入れるとどうなるんだ?ブラックホールみたいになるのか?

 

誰かが言った。これ爆発したらどうする?と。

 

ーーー全員の頭に衝撃が走る。その発想は無かったが、ありえる、と。

 

「マスター以外は退避するのは!」

「遠隔撮影で動画データを撮りましょうか!」

「社長はマスターだから大丈夫!はい決定!」

「一人で死んでくれ!こんな危険なところに居られるか!俺は部屋に帰らせてもらう!」

「爆発オチなんて最低ーー!」

「いっそこの場でやる必要はあるので?砂漠でやるのはどうです?」

「社長の尊い犠牲は忘れないよ。一週間ぐらい。」

「(つД`)ノ」

「あの人に降りかかる不幸は強いものね。巻き添えは勘弁だわ。」

「どうせ成功したあとで大失敗するんだから・・・」

「大体察した。はっきりわかんだね。」

「俺は最後までついていくぜ。あの人がどうなるのか見たい。」

 

研究員が一斉に出口に走りだす。汚ねぇ大人達だぜ。

 

こんだけ俺に露骨にするって事は巻き込んで欲しいって事だよなぁ?

 

俺を一人にするなよ。寂しいだろ?

 

俺はニヤリと笑って注入する怨念の勢いを上げた。

 

出入り口に殺到した研究員たちがサァッと顔を青ざめさせた。

 

ーーーあの糞野郎!全員巻き込むつもりか!

 

もう止められない。怨念の操作を崩した瞬間この場は強力な怨念だまりに変貌する。

 

研究員ができる事はただ一つ。社長の集中を邪魔する事なく実験が無事に成功することを祈るのみ。

 

膨大な怨念を飲み込む黒い結晶から人の顔が浮かび上がる。

 

その表情は生命あるものを恨み負の感情しか存在しない。

 

結晶がメキメキと音を立ててひしゃげていく。整った結晶体からくびれやねじれが生じ、目や歯が結晶の表面に浮かび上がってくる。

 

いいね。それらしくなってきた。変貌するたびに研究員どもの顔つきがどんどん悪化して行く。反比例するように俺の表情がどんどん愉悦に染まっていく。

 

俺は研究員が発生させる激憤、恐怖、焦燥の感情も結晶・・・いや【怨霊のクリスタル】に込めて行く。

 

俺は煽った。自分で墓穴を掘る気分はどんな気持ち?ねぇ、どんな気持ちなのぉ?

 

黒一色の結晶に紅の線が入る。画一された怨念に研究員達の怒りが籠った怨念が混じってドス黒い血のような色になった。

 

血走った目が結晶に生えて血涙を流した。流れた血涙は土星の輪のように浮かび上がり、結晶を中心に回転する。

 

あひゃひゃひゃひゃ!愉しいなぁ!これだから人の嫌がる事は率先してすることがやめらんねぇ!この時が一番生きている感じがするぜ!!

 

掲示板の憤死するザマもおもしれぇが、やっぱ生だな!生は良いぞ〜!面白すぎて腹が捩れそうだ!!

 

しかもよ〜。どいつもこいつも異常者を見る目で見てきやがるのがまた笑えてくる。

 

くははっ。お前らも同類だろうに。

 

ギャンブルで身を崩すのもチキンレースでアクセルベタ踏みするのもオールベッドで殺し合うのも!!!

 

人間は自ら破滅する生きものなんだよぉ!!良かったな!!役に立つ知識が備わって!!

 

それが今後役に立つ機会が来るかどうか俺は知らねぇがな!!

 

くひひっ。きひっ♪きははは!アハハハハハ!!ギャアーハハッハ!!

 

ドス黒い血が光を吸収するようになった。遠近感が掴めない、そこだけ不自然に黒塗りにされたかのような違和感。もはや液体である血ではなく公転する黒い輪にしか見えない。

 

怨念は人間の闇そのものだ。知性の代償に人間は善徳と悪徳をも持ち得るようになった。

 

人はドス黒い醜悪な欲求を善徳で縛り付けるが、膨らんだ風船を輪ゴムで縛るように全体のシルエットは歪んでいく。

 

無垢で無邪気な子供こそ人間のありのままの姿だ。無邪気にも蟻や猫を痛めつけて愉悦を得る姿も疲れた家族を気遣って肩を叩き、友達と手を繋ぐ姿も全て含めて人間なのだ。

 

俺は悪徳を否定しない。あるべき姿から外れた生命の営みの歪みである性癖を否定しない。残酷で卑劣で醜悪で冷酷で卑猥で異常で阿呆で姑息で浅慮で狡猾で愚鈍で矮小なる人間を俺は愛している。

 

一度壊れた枷は戻らない。一度悪に落ちれば這い上がるのは苦難の業だ。

 

善徳もまた然り。努力、謙譲、勇気、希望、厳正、愛、尊敬、節制、叡智、矜持、寛容、純潔、勤勉、平和。持ちうる全てを輝ける人間の姿は賞賛に値する。誰にでもできるが、誰でもできないこと。

 

平凡な人間の行いであれ、それはどんな英雄や賢者の偉業よりも尊い。

 

善徳と悪徳の間で苛まれる中途半端な人間の苦悩すら愛おしい。一見無駄な過程を得て自分なりに決着をつけたその姿は積み重ねた濃厚な重みを感じさせる。

 

凡人が天才に勝るのは同じ場所へ至るまでの積み重ねにある。天才はその積み重ねをスキップして効率的に至ってしまうが故に凡人のソレを身につけることができない。

 

だから俺は人間が好きだ。恐怖に固まる研究員が愛らしい。異常者を見る目が愛おしい。発生する怨念が俺の心を震わせる。その醜態は糖蜜よりも甘い。

 

デスノートのリュークの気分が分かった気がした。

 

やっぱり 人間て 面白ーーーっ

 

単純一途な獣の理も好ましいが、複雑で酸苦染み入る人間の業もまた、非常に味わい深い。

 

黒輪となった怨念が結晶化した。

 

うーん。ここまでか。【怨霊のクリスタル】の方が怨念の蓄積量が上だな!

 

一人納得する俺の肩にガシッと掴む手が。

 

血走った目をした研究員達がこちらを凝り固まった笑顔で見ていた。

 

アンデットも尻尾巻いて逃げる凄惨な笑みに、俺は引き攣った笑みを浮かべた。

 

俺は肩を掴んだ手を振り解いてダッと逃走を試みる。

 

もう此処には用は無い。俺はお暇させてもらうぜ!あばよ!

 

「逃がすな!やつを引っ捕らえろ!手足が欠けようと構わんッ!!」

 

それを合図に全研究員が襲い掛かって来た。

 

逃走経路を塞ぎ、建物を包囲するが、俺は工場の壁を【誇獣闘輪】で壊してリフォームする。

 

工場の出入り口が少ないのは不便だと思ったのだ。他意は無い。

 

リフォームした壁は後で仕上げをするのでこのままで良いと思った。

 

「野郎!壁の修復費が!ぶっ殺す!」

 

新しい出入り口から包囲網を突破する。表通りに出て仕舞えば俺の勝ちだ!

 

奴らは所詮日陰の者。日の当たる場所に出る事など出来やしねぇ!

 

実際、血走った研究員が各々得物を持ってバタバタと動く姿は邪教のサバトのようだ。これでは騒ぎになってしまうだろう。

 

表通りの光が闇の中にある裏路地に差し込んでいる。あと少し、あと少しでッッ!!

 

さ、最後に奴らを煽っておこうwww俺はwwwその顔が歪む瞬間を見たいwww

 

俺はイキった。悪癖だと分かっているがやめらんねぇ。

 

後ろで必死の形相で追いかけてくる研究員どもに向かって、走りながら吠えた。

 

「ブヴアァカめ!!俺に、勝てると、思ったか!!見ろ!あと少しで俺の勝ちだ!」

 

俺は満面の笑みを浮かべながら何かに足を取られて顔面から転倒した。

 

足を見るとワイヤーが俺の足に引っ掛かっている。

 

これは・・・ワ、ワイヤートラップだと!?一体誰が・・・!いや、それより・・・!

 

目の前に影が差した。ニコニコ笑顔を浮かべている研究員さんが表通りを背に立っていた。

 

「社長〜どこいくんですかぁ〜?俺達はぁ同罪でぇ、一心同体なんだから〜まさか置いて行ったりしないですよねっ!」

 

あぁ、激おこプンプン丸でいらっしゃるようで。ダメだなこりゃあ。

 

ま、一流の散りざまってやつを一つ見せてやろうかね。

 

「俺に勝てると思ったか?と俺は言ったが・・・なかなかヤルじゃねぇか。見直したぜ?」

 

俺達は笑った。お互いに目が笑っていなかったけど。

 

急に真顔になった研究員が言った。

 

「俺達の頭は何があろうとアンタですよ。調子に乗った責任は取りましょうか?」

 

「もう逃げたりしないよね?」

「またこのパターンかよ・・・」

「懲りないねぇ。社長。」

「(爆笑)」

「早く処刑しましょう!」

「それな。手ェ空いてるやつがもう準備してあんだろ。」

「社長〜。予算の使い込みの件についてちょっと聞きたいな〜って。」

「ちっ!クズが!」

「この面子を纏めるあたりはスゲェんだがな。この人すぐ調子乗るからなぁ。」

「準備は出来てる。さっさと終わらせて片付けよう。」

 

研究員が俺を完全に包囲した。ぐるぐる巻きの簀巻きにされた俺が処刑台に送られていく。

 

処刑台の元にはよく燃える薪が積まれていた。

 

炎を中心に研究員達が可燃ゴミが燃える様子を見守った。

 

砂漠の空に煙が上がる。細くたなびく白い煙が澄み渡った蒼空に消えていった。

 

カーソンが熱に浮かされた表情で一部始終を見ていた。

 

ノーラは震える声で言った。カルディナは暑いはずなのに悪寒が止まらない。

 

「こ、こいつら・・・狂ってる、狂ってるよ・・・!」

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

圧倒的・・・愉悦部ッッ・・・!!!

 

怪物を倒す者は自らが怪物になることを恐れよ。長き間、深淵を覗き込む者を、深淵が覗いているのだから。

 

狂気のカリスマは周囲の人間を無自覚に狂わせる。熱狂的で静的な影響力は全くの部外者からしたら異常そのものである。

ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート

  • 一人(抗菌と同じく特典化)
  • 双子
  • 五つ子(五等分の花嫁√(嘘))

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