今週も2話更新!
後日談が思ったより長くなったので後編に続きます!
思えばこの4人が揃うのは初めてですね!
2挺拳銃とチケットを突きつける姫ちゃんの真意やいかに!
世間の関心とは、時に冷たく
新種の『トロイプログラム』を拡散し、世間と警察を挑発したサイバー犯罪者。
その正体が地味な
佐伯涼太
はぁ……。
マジでメディアってのは非情だよ。
ここまで歩美さんの個人情報を暴露するなんて……。
その日、学生食堂の2階テラスには、涼太の姿があった。
顔を歪めながらスポーツ新聞を広げ、「マスコミによる個人情報の暴露」を眺めている。
職場での様子、友人の証言、恋人遍歴、中学校の卒業アルバムなど。
もう『有罪判決』が下ったかのような過熱報道だ。
佐伯涼太
逮捕されても『有罪』になると決まったワケじゃないのに。
なんでこんなことが許されるんだろ?
勇二が
こりゃ『誤認逮捕』がありえなくて当然だよ。
スポーツ新聞を放り投げてため息を吐く。
フェミニストの涼太としては後味の悪い結末だった。
『真犯人』の正体が気持ち悪いオタク男性であれば、爽快感を覚えたかもしれないのに。
佐伯涼太
でもなぁ……。
こんな考え方は、実のところ男女差別なんだよね。
男が犯人なら爆笑できるのに、女の子だったら同情しちゃうなんて、なんとも失礼な話だよ。
これは僕の先入観に問題があるね。
やっぱり女の子に甘すぎるのかなぁ……。
そんなことを思いながら周囲を眺める。
佐伯涼太
しかし……。
お昼なのに勇二が来ないね。
何してんだろ。
椎名さんとの
もう昼の時間なのに、天野が現れない。
電話をかけても応答がない。
涼太が暇を持て余していると、テラスの階段を
カン……カン……カン……
どこか怯えているような足音だ。
涼太が何気なくテラスの入り口を見ると、
板垣姫子
…………
佐伯涼太
うひゃあ!?
ひ、姫ちゃんじゃないの!
『電脳姫』こと、
オドオドしながら周囲を見回している。
佐伯涼太
何してるのさ?
ここには来ちゃダメって決まりでしょ?
板垣姫子
…………
姫子は恥ずかしそうに
先日、天野と一緒に美容院や
長い前髪が顔の半分を隠しているが、それさえなければ、華奢で可愛い娘に進化するかもしれない。
佐伯涼太
テラスに来たら「天才クソ野郎と関係がある」って疑われるよ?
姫ちゃんは僕たちの『切り札』なんだから。
関係は隠したほうが無難だよ。
板垣姫子
うん……。
わかってる……。
もう、いいの……。
佐伯涼太
それに……。
……おっ?
あれれ?
また僕のことを
今度こそ会話が成立してるよね。
板垣姫子
うん……。
もう
そう、決めた……。
佐伯涼太
うおっ!?
何これ!?
どういうコト!?
まさか姫ちゃんの好感度が上がったの!?
板垣姫子
いや……。
上がってない、けど……。
涼太は姫子の言葉を無視して、嬉しそうに叫んだ。
佐伯涼太
いやったぁ!
ついに僕ちゃんのラブ型の銃弾が、姫ちゃんのハートを撃ち抜いたんだ!
ぐふふ……。
いいよぉ。
僕ちゃんに好意を打ち明けてもいいんだよぉ。
板垣姫子
…………
佐伯涼太
なによもう照れちゃって。
可愛いなぁ。
今度コンパでもしようか。
僕はね、
パパに言って、うまく誘い出してくれないかなぁ?
板垣姫子
…………
佐伯涼太
それともアレかな?
僕ちゃんと2人きりでお出かけしたい?
そっちがお好み?
実はね、いい感じの別荘があるんだよ!
姫子が嫌そうにチャラ男を見つめる。
そしてため息をひとつ吐き、懐から『
板垣姫子
……うるさい……。
……パン!
佐伯涼太
うぎゃぁぁ!
痛い!
な、何すんの!?
コルトパイソンから容赦なくプラスチック弾が射出し、涼太の顔面に直撃。
これがガス銃ではなく本物の拳銃であれば、涼太の
佐伯涼太
な、なんでガス銃なんか持ってるのよ!?
危ないじゃん!
板垣姫子
…………
佐伯涼太
もうダメだよぉ。
友達にガス銃とか向けちゃいけないよ?
板垣姫子
…………
佐伯涼太
さてはコンパとか言い出す僕に
可愛いジェラシーだなぁ。
大丈夫だよ。
僕はこう見えても浮気なんかしないよ!
板垣姫子
…………
……パン!
佐伯涼太
ひぃぃ!
無表情でコルトパイソンを撃たないで!
ごめんなさい!
します!
浮気はします!
ビックリするほどします!
涼太が涙目でテーブルの陰に隠れると、またテラスの階段を上る足音が響いた。
今度は2人組だ。
涼太が助けを求めるように入り口を見ると、
前島悠子
ねぇ師匠。
約束はいつ守ってくれるんですか?
ちゃんと私は
天野勇二
ああ、その内にな。
前島悠子
やっぱり『おデート』がいいですね!
遠くにお出かけしたいです!
今度は『お泊り』にしましょうか!
軽井沢あたりなんてどうですか?
天野勇二
今はコロナ禍だからな。
あまり遠出したくない。
前島悠子
大丈夫ですよ!
なんかいい感じの別荘があるみたいですし!
別荘に車で行けば安全ですよ!
天野勇二
悪いが、俺様は別荘なんか持っていない。
前島悠子
ちょ、おまっ!
そんなはずないですよ!
涼太さんから聞いてます!
2人で別荘に行って仲良くバーベキューとかしたんですよね!?
なんで嘘を吐くんですか!?
天野と前島がテラスに現れた。
腕を組んでキャッキャウフフしている。
天野の顔は心底嫌そうに
涼太はそう思いながら叫んだ。
佐伯涼太
メーデー!
助けて!
姫ちゃんが僕を撃つんだ!
天野勇二
……姫だと?
天野が
天野勇二
姫子じゃないか。
なぜここにいる。
テラスに来てはダメだと言っただろう。
佐伯涼太
そうそう。
あとコルトパイソンを取り上げてよ。
姫子は頬をぷっくり膨らませながら、天野と前島を見つめた。
コルトパイソンを抱いたままテラスの椅子に腰掛ける。
板垣姫子
イヤ……なの……。
絶対にここから動かない、という意思表示だ。
天野勇二
なんだ?
何かスネているのか?
さてはあれか。
まだ電脳部のPCを買っていないことを根に持っているのか。
わかった。
金はやるから好きな物を買ってこい。
板垣姫子
ちがう……。
そうじゃない……。
天野勇二
だが、お前との関係は隠しておきたいんだ。
板垣姫子
もう、隠すの……やめる……。
オープン……。
天野勇二
そうなれば、お前も危険な目に
板垣姫子
うん……。
構わない……。
姫子がふるふると首を横に振る。
何かを訴えたい様子だ。
天野たちは互いに首を傾げながら、こそこそと話し始めた。
前島悠子
あれが噂の『電脳姫』ですね。
結構カワイイ女子じゃないですか。
私にも存在を隠していたのに、いったいどうしたんですか?
天野勇二
知らねぇよ。
おい涼太。
アイツに何かしたのか?
佐伯涼太
何もしてないよ。
いきなり現れてコルトパイソンで撃つんだ。
天野勇二
凶器を持ってお出ましか。
まるで理解できんな。
姫子を睨みつけながら、天野がタバコを取り出す。
すかさず姫子が2
佐伯涼太
うぎゃあ!
今度はワルサーP38だ!
悲鳴をあげる涼太を無視して、姫子が引き金を「カチッ」と引く。
銃口から「ボッ」と、小さな炎が上がった。
板垣姫子
どうぞ……。
ワルサーP38型のライターだ。
タバコを持つ天野におずおずと差し出している。
天野勇二
火をつけたいのか?
まるでキャバ嬢のようだな……。
板垣姫子
ちがう……。
キャバ嬢じゃ、ない……。
火、どうぞ……。
天野勇二
あ、ああ……。
ありがたく頂戴するが……。
何を考えているんだ?
タバコの煙を吐き出しながら尋ねる。
姫子は
板垣姫子
わたし……。
『弟子』に、なりたい……。
天野勇二
弟子?
この天才クソ野郎の弟子になりたいと言うのか?
板垣姫子
天野は困って涼太を見つめた。
天野勇二
おい……。
どうなってんだ。
コイツに何があったんだよ。
佐伯涼太
さっぱりわかんない。
さっきは僕に話しかけてくれたんだよ。
天野勇二
お前に?
どうかしているな。
脳がクラッシュしたのか?
佐伯涼太
もしかすると、アレかな?
天野勇二
なるほど……。
ありえるな。
天野が姫子に向き直る。
天野勇二
いいか姫子よ。
成田での決行は、お前が出るほどの場面じゃなかったんだ。
それに弟子なんかにしないぞ。
却下だ。
前島悠子
そ、そうですよ!
弟子は私1人で十分ですもん!
前島が嬉しそうに拳を握る。
姫子はその姿を見ると、肩を落としながら拳銃をテーブルに置いた。
板垣姫子
じゃあ……。
お願い、なの……。
そう言うと、ポケットから1枚の紙切れを取り出した。
天野におずおずと差し出す。
それを見て、天野も涼太も前島も、不思議そうに首を捻った。
佐伯涼太
ねぇ、勇二……。
あれは遊園地のペアチケットじゃない?
前島悠子
ですよね。
しかもただの遊園地じゃないですよ。
『ネズミの
天野勇二
おい姫子……。
それがどうしたんだ?
姫子が恥ずかしそうに頬を染める。
もじもじしながら呟いた。
板垣姫子
天野勇二
打ち上げ?
板垣姫子
うん……。
一緒に、行って……ほしいの……。
佐伯涼太
ねぇ姫ちゃん。
これはペアチケットだよ。
2人用のチケットだよ?
見ればわかるけど、ここには4人いるんだよ。
板垣姫子
打ち上げ……。
事件解決……したから……。
涼太の問いかけを無視して、姫子はもじもじと言葉を重ねている。
あまりに口数が少なく、何を言いたいのかわかりにくいが、
「『遠隔操作トロイウイルス事件』が解決したお祝いに打ち上げしたい。だからこの遊園地に行って楽しくパーティしたいの」
と告げているのだ。
姫子の真意が今ひとつ理解できなかったが、涼太はすかさず立ち上がった。
佐伯涼太
オッケー!
よくわかんないけど、その打ち上げ参加しちゃう!
大きな花火を昼でも夜でも打ち上げちゃうよ!
板垣姫子
…………
佐伯涼太
ひぃっ!
無言でコルトパイソンを構えたよ。
な、何がダメなのさ?
板垣姫子
…………
佐伯涼太
なんで僕にコルトパイソンを向けるの?
それ、意外と痛いんですけど。
ていうかさ、遊園地なんて、このクソ野郎は行かないよ。
天野が大きく頷く。
天野勇二
そうだな。
遊園地なんて行きたくもない。
佐伯涼太
勇二は人混みが好きじゃないもんね。
天野勇二
胡桃の誘いなら仕方ないな。
二つ返事で了承だ。
だが、それ以外はお断りだ。
そもそも、なぜ遊園地で打ち上げをするんだ?
ここである必然性はなんだ?
敵でもいるのか?
板垣姫子
姫子はふるふると首を横に振っている。
天野は嫌な予感がしてきた。
天野勇二
お、お前、まさか……。
「電脳学博士が癖になった」とか言わないよな?
ここを襲撃するつもりか?
アトラクションをハッキングして、夢の国を大混乱に陥れたいのか?
板垣姫子
ちがう……。
そんなバカなこと、したくない……。
天野勇二
ならば何を計画している?
『爆弾』でも送りつけてショーをぶち壊したいのか?
板垣姫子
姫子は耳まで真っ赤にしながらも、懸命に言葉を
板垣姫子
デート……して、ほしいの……。
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後日談が思ったより長くなったので後編に続きます!
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