これはとある夢のVRMMOの物語。   作:イナモチ

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セミとカマキリの寿命

飛びかかって来たモンスターをカーソンがぶん殴ったらUBMだった件。

 

対暗殺者紋章式逆奇襲で迎撃してから、他組織からの刺客かと思いきや、そこには顔面が凹んで「前が見えねぇ」状態のデッカいプレーリードックが!

 

カルディナのサバンナに似た荒原に生息する《ソイルダイヴ・ラッドドック》の上位種らしきフォルム。

 

《ソイルダイヴ・ラッドドック》は一部の【従魔師】マスターに愛玩動物として人気の魔獣系モンスターだ。

 

最も、見た目に反して獰猛で悪辣な性質なので飼育は難しいが。

 

自身より大きい亜竜すら群で狩猟するという攻撃性に、必要であれば同族ですら殺める冷酷さ。

 

赤い血に塗れた生態から別名“血塗鼠”と呼ばれている。

 

餌が少なく、同族殺しが多発しやすい荒原では進化した上位種が蔓延っており、上級者の狩場となっている。事故率は高い。

 

その生態はリアルのプレーリードックよりも血生臭い。

 

デンドロの見た目詐欺モンスターランキング入りを遂げた悪名高い初心者殺しだ。

 

上位種は《サブアース・ラッドドック》潜水艦の如し体躯への巨大化か、《アサッシン・ラッドドック》暗殺者のように致命の一撃を叩き込んでくる。

 

滅多にいないレア上位種に《キリングハンター・コマンド・ラッドドック》が存在する。

 

レア上位種は亜竜級でありながら純竜級の危険性を持つ、カルディナの特定討伐推奨モンスターの一つとして懸賞金が懸かっている。

 

扱いとしては《キングバジリスク》や《ゴブリンキング》と一緒だ。

 

《コマンダー》がいるだけで下位種族から従軍個体の《キリングハンター・ラッドドック》が大量発生し、殺戮猟兵の群れを作り上げる。

 

純竜級相当の危険性の所以は《コマンダー》に統率された群れは自決特攻すら厭わぬ狂気の軍勢と化し、荒原の生態を塗り替えてしまう為だ。

 

圧倒的な頭数の特攻は上級職のパーティでも捌き切るのは難しい。それらが戦略的行動を取るのであれば尚更だ。

 

【斥候】のジョブスキルに反応しなかったところを見るに、このUBMは隠蔽に特化したモンスターだったのだろうが、姿は隠さなかったので紋章からカーソンに気づかれたらしい。

 

紋章から出していたらデスペナになっていたかもしれない。最近カルディナの掲示板が騒がしいのはこの所為だったのか。

 

マスターの間を狩場での突然死の報告が多発していたのだ。ティアンの行方不明者も出ている。

 

襲撃現場の痕跡を探してもジョブスキルの追跡反応も手掛かりが一切出てこないのだ。

 

PKのエンブリオの仕業だと推測されていたのだが。UBMの仕業だったらしい。

 

手応えからして特化AGI型の純竜級、でもどうせなら《光学迷彩》とか《透明化》つけろよ。致命的な欠陥じゃん。

 

カーソンがプレーリードックの首をへし折って巨体を光の塵に変える。カーソンは時を経るごとに血生臭くなっていく。かつての穢れなき過去が遠い。

 

【<UBM>【暗闘潜犬 プレイドック】が討伐されました】

【MVPを選出します】

【【ルン・バ・ンル】がMVPに選出されました】

【【ルン・バ・ンル】にMVP特典【すーぱーきぐるみしりーず ぷれいどっく】を贈与します】

 

珍しい表示のアナウンスと共に討伐特典が現れる。

 

【すーぱーきぐるみしりーず ぷれいどっく】

 

なんだコレ?ひらがな?

 

それはプレーリードックの生前を再現した着ぐるみだった。明るい茶色の毛皮の質感とかそっくり。

 

【すーぱーきぐるみしりーず ぷれいどっく】

〈逸話級武具〉

追跡を許さず一方的に嬲り殺す猛犬の概念を具現化した着ぐるみ。

探知を掻い潜り、追跡を振り払う力を所有者に与える。

 

防御補正 なし

 

〈装備スキル〉

《暗躍毛皮》足跡や物音を立てないスニーキング仕様。追跡のマーキングを無効化する。索敵系のスキルの反応改竄。

《獣掌技巧》着ぐるみの手でも器用に操ることができる。《採掘》のスキルレベルに+1。

《快適整体》着ぐるみの内部環境を快適に調整する。装備中【疲労】回復。

《陰獣遮断》《看破》結果の一部改竄。

 

見た目はジョークグッズなのに無駄に高性能。防御補正皆無を含めて普段着にしても良いぐらいだ。

 

っていうかアレ追跡無効だったのか。通りで決定的証拠が出ない訳だ。

 

逃亡と奇襲戦法に長けていたようだが、カーソンに一撃KOされて本領が発揮できなかった模様。

 

因みにplayの和訳は演奏するor遊ぶだが、処理という意味もある。暗殺とプレーリードックをかけたネーミングだろう。

 

まぁ。悪くない着用感だ。見た目も目がギラついていた生前ならともかく、愛くるしいプレーリードックだから警戒されにくいだろうし。

 

二足歩行の身長に対して短い御手々がチャーミング。

 

今日からコレで行こうか。すごい目立つが俺の悪評を一気に塗り替えること間違いなしだ。

 

俺は愛され系着ぐるみマスターになる!

 

「おんしの今までの行いで、どうせ化けの皮扱いになると思うがのぅ・・・」

 

・・・・・

 

【可逆性変身薬】の社員に見せに行ったらギョッとされたなりぃ・・・解せぬ。

 

曰く、「中身がアレだから、あからさまに媚びすぎていて逆に怪しい」そうだ。

 

他にも幼児誘拐犯っぽいだの初対面でも警戒するだの、ティアンの社員に至っては危険生物にしか見えないそうだ。

 

“血塗鼠”の悪名が警戒心を刺激しているんだそうで。F◯CKIN ◯OD!!

 

・・・俺は諦めんぞ。絶対に汚名返上を成し遂げてみせる。

 

っていうか俺がやったことって、大体俺悪く無いじゃんね。暗殺チームの撃退と【契約書】は正当防衛の結果なんだが。

 

これも掲示板の連中が面白半分で吹聴しているせいだ。つまり、俺は無罪ということになる。

 

十中八九、俺を犯罪の隠れ蓑にしようとする薄汚いドブ鼠の陰謀だろう。注目を他所に向ける大衆心理の利用だ。話題性が低い事象は軽視されやすい。

 

この恨みはらさずにはおれるかよ・・・ゆ、ゆゆゆ!!許せんよなぁ!!

 

俺は顔も知れぬ掲示板の向こう側に向けて義憤を燃やした。

 

一頻り正義の味方ムーブをこなした俺は秘密の製造工場から去っていった。ここにはもう用はない。

 

シスターさんやレッセルの反応を見ておかなければなるまい。デンドロでリアルな着ぐるみはどんな反応か研究する必要がある。

 

マニゴルド?男の、さらにマスターの反応は必要に値しない。イケメンは死ね。

 

社員どもは例外。常識人のように振る舞っているが、それは擬態だ。国に禁止されている違法薬物の生産者の感性がまともであるはずがない。

 

社員どもはカルディナの住人の例に漏れず利益に敏感で非常に強かであり、雇用契約で結んだ【契約書】の縛り無しでは、手放しで信用ならない。

 

俺だったらレシピを手土産に別の組織に取り入る。奴らもそうするだろう事は疑いようも無い。他を蹴落とし、這い上がる為なら最適なタイミングを伺う。

 

俺は直接製造に関わっておらず、社長としての事務系がメインなのでその枠には当てはまらないが。俺は光の住人。闇の住人とは違うのだよ。

 

ところで【永続性累積型惚れ薬】の開発案があるのだが、材料をまた集める必要がある。

 

原産地は皇国の〈淫魔の宮〉という魔王転職ダンジョンなのだが・・・これはもう行くしかあるまい?性的な誘惑とか是非も無しなんだが。男なら一度行くしか無いヨネ?

 

トラップ?ステータスと耐性に任せた漢解除一択だ。これが一番早いです。

 

ついでに捕らえた淫魔を少しばかり観察をね?幻想の存在に対する強い学術的興味があるんだよ。下心は多少混ざるかもしれんが。

 

「どうせいつものパターンじゃろ。さっさと搾り取られて惨たらしく死ねば良いと思うのじゃ。」

 

かも知れない。

 

でもな。カーソン。これは男の夢なんだよ。本当なんだ。信じられるか?リアルじゃ二次元にしかサキュバスは居なかったんだ。

 

二次元だとな、たとえブサメンでも綺麗なねーちゃんが餌としての魅力を見いだしてくれるんだぜ。エチチな方法で食べてくれるんだ。夢のような話だよ。

 

現実じゃ風俗行ってもどう思われてるのか聞いたらメンタルブレイクするのが当然なのにな。俺だったら確実に凹んで寝込む。

 

俺の思考を読んでるカーソンなら知っているだろうが、リアルの俺はブサメンじゃない。

 

じゃないが、ブサメンだってフツメンだって無条件でモテたいのは同じなんだよ。

 

無償の愛をくれ。俺にスペックを求めるな。喜んで養ってくれ。働きたくねぇってな。

 

まぁ、結局は体と顔が良ければ良いって下半身思考に締結するんだが。

 

俺に言わせりゃあ女も男も求めるのが双方にとってキツイのは、どっちもどっちな話だがな。

 

俺が女だったら見てて不愉快じゃない方が精神衛生上良いに決まっている。金があるなら尚更だ。性格だって良い方が好ましい。

 

まぁ、俺の意見が全てってわけでもねぇさ。顔が全てじゃないケースもあらぁな。

 

とにかく、俺はお前を尊重するぜ。俺が性癖を否定しないようにな。

 

代わりにお前も俺を尊重しろ。

 

否定的なことばっかり言っているんじゃない。もっと肯定的に見てくれ。普段の積み重ねが人格に影響するんだぜ?

 

俺を殺すの大体カーソンじゃん。既に影響が諸に出てるよね?被ダメージ総合量だって貫禄の一位だろ。

 

マスターを殺すのは最終手段にしよ?それまでなら指の何本かは折ってもいいからさ?ね?

 

だって。

 

俺、もっと生きたい・・・!

 

カーソンに頭蓋貫手されかけてる今も、生存衝動を胸のうちから発してる!生きたいって!

 

俺は馬乗りのカーソンの腕を必死に掴んで止めようとしていた。首は掴まれ、頭蓋骨ごと頭を破壊されかけている。

 

絶体絶命のピンチが街中で起こるとは思わなかった。

 

クソォ!STRが、パワーが足りないッ!!クソがーーー!!

 

あっ、あっあっあっ。刺さる、爪が頭皮に刺さってる!

 

反対!暴力反対!!野蛮だぞ!スグニヤメロォ!やめろよぉ!子供が見てんだろうが!?

 

しまいにゃあ訴えられんぞ!年齢制限ものだろ!?とにk

 

あっ。死ーーー。

 

最後の瞬間に見たカーソンの頬が赤く興奮しているように見えた。

 

俺は公衆の面前で昼ドラ殺人の如く頭蓋骨を貫通された。

 

これはとある夢のVRMMOの物語。

歪んだ愛憎劇のテーマがカルディナの演劇界で流行した。

流行の要因となったのはメイデンとそのマスターの男女で構成された爛れた関係だったという・・・。

ルンバとカーソンの子供は何人欲しいかアンケート

  • 一人(抗菌と同じく特典化)
  • 双子
  • 五つ子(五等分の花嫁√(嘘))

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