スライムですが、なにか? 作:転生したい人A
吸血っ子とメラを助けた後、魔王と休戦した。
その後、青ちゃんを入れて魔王達と魔族領を目指すことになった。
青ちゃんはいつの間にか人化出来るようになっているし、ポティマスとかいう奴のことを実際に会った私より良く分かってるしでかなり驚いた。
そしてステータスも平均攻撃力とスキルだけなら魔王にだって負けないほど強くなってる。
というか、マザーを取り込んだ私とステータス対して変わらないってどうなの?
むしろ、スキルは私より高いって何?
やっぱり、悟りの効果バグってるでしょ!?
いくら修行してたからって上がり過ぎじゃない?
まあ、青ちゃんは味方だからいいんだけどね。
私の背中に座り、私に抱き着いている青ちゃんに視線を向ける。
何度注意してもセクハラのような行為を繰り返す青ちゃんに諦めつつも注意する。
「セクハラやめようよ、青ちゃん」
「セクハラじゃなくて、スキンシップだよ」
いつも通りスキンシップだと言い張り、青ちゃんに呆れる。
青ちゃんに触られるのは嫌じゃないけど、いろんなところを触ってくるのでくすぐったくてしょうがない。
髪を触ったり、抱き着いて来るだけならいいのだが、本当に気まぐれで色んなところを触ってくるのだ。
それこそ蜘蛛の部分でも関係なく。
スライムだったころはそんなこと無かったんだけどなぁ。
しばらく会わない間に何かあったのかな?
まあ、考えても仕方ないかぁ。
青ちゃんの考えは前からよく分からない。
そして興味が無い相手に対しては怖いほど無慈悲だ。
サリエーラ国とオウツ国の戦争の時も戦う準備が整っていないオウツ国側の軍に対して容赦なく攻撃を仕掛け、軍の五分の一を殺してさっさと帰ってしまうほどに他人に興味を持たない。
私の記憶だと前世の青ちゃんは見た目が綺麗なことを除けば普通の女子高生だったはずだ。
得意不得意もなく平均的な学力に、平均的な運動神経、孤立はしないものの特別仲の良い友達はいない。
外見以外で本当に目立つことのない普通の女子高生だったはずなのに。
メラのうめき声も気にせずに動けるギリギリまで重魔法を強める青ちゃん。
どう考えても前世とは別人だ。
いや、他人に興味が無いのは前世から変わってないかな。
どのみち人を殺すことに何の感情も抱かないような子には見えなかった。
私が知らないだけで裏ではそうだったのかもしれないけど、どう考えても変わり過ぎだ。
これまでの青ちゃんを思い返して考えるのをやめる。
私も人のこと言えなかったわ。
まあ、仲良くなってみないと分からないこともあるよね。
今は他に考えなきゃいけない問題があるしねぇ。
吸血っ子を狙ってるエルフに、一緒行動してる魔王について考えないとねぇ。
魔王に関しては私の不死性の秘密を知られて対策されない限り大丈夫だなはずだ。
不死のスキルならともかく卵復活に関しては青ちゃんにも教えていない。
青ちゃんなら気づくかもしれないが、魔王に教えることはないだろうから問題ない。
エルフの方はポティマスがやばい。
強かったし、機械だったし、スキルもステータスも封じてられたし。
ポティマスに狙われてる吸血っ子と一緒にいるから襲撃される可能性がある。
まあ、ポティマスが襲ってきても大丈夫なように魔王と一緒に行動しているんだけどねぇ。
私と青ちゃんだけだとポティマスに勝てるか分からないしねぇ。
エルフや魔王のことを考えていると、吸血っ子が限界を迎えそうだったので糸を外す。
吸血っ子が顔面から倒れるのを見て青ちゃんもメラにかけていた重魔法を解除する。
そして二人に奇跡魔法を掛けてHPを回復させる。
「白ちゃん、火の準備お願いね」
青ちゃんに頷いて返し、適当な枝を糸で集めて糸ごと火魔法で燃やす。
私が準備した火を使って青ちゃんが料理を作って皿に盛り付ける。
吸血っ子とメラの料理には私が毒合成で毒を作って混ぜる。
そして青ちゃんが私用に多めに料理が盛られた皿を渡してくれる。
いやぁ、青ちゃんの料理は本当に美味しいよねぇ。
青ちゃん、料理も出来たんだねぇ。
迷宮では調理と言っても調味料が無かったから焼くか、生のどっちかだったから知らなかったよ。
青ちゃんは魔王に皿を渡して自分の分を食べ始め、魔王とエルフについて話している。
私がポティマスに殺されかけた話題になると、青ちゃんが驚いてこちらを向く。
私は青ちゃんに頷いて返すと、エルフを潰すと言い出した。
私のためにエルフを潰してくれるなんて、青ちゃんは優しいねぇ。
けど、青ちゃんが魔王と手を組んでもそう簡単に潰せる相手ではないみたいだねぇ。
ポティマスは無理だけど、エルフは魔王抜きで潰せるとか、青ちゃんすげぇ。
魔王も青ちゃんのエルフ潰せます発言に驚いてるし。
まあ、簡単に潰せるならすでに魔王が潰してるよねぇ。
青ちゃんと魔王に任せておけばエルフも大丈夫そうだねぇ。
食べ終わると、青ちゃんが片付けをしている間に吸血っ子に糸を巻き付ける。
片付けが終わった青ちゃんが背中に乗ったのを確認して移動を開始する。
青ちゃんはメラに重魔法を動けるギリギリまでかけていく。
どうやらメラの成長が遅いのが気に食わないようだ。
青ちゃん、私達と同じ勢いで全員が成長するわけじゃないんだよ。
私や青ちゃんレベルの成長を期待されてるメラが少し可哀想だが、気にしてもしょうがないね。
メラに魔闘法と気闘法を習得させたいと言っていたが、習得したらさらに負荷を上げる気なんだろうし。
赤ん坊なのに無理矢理歩かされてる吸血っ子と変わらないくらいの拷も、ゲフン!、調教を受けている。
青ちゃんはもっと厳しくしたいようだが、サリエーラ国の首都に向かうのが目的のため移動があまり遅くならないように手加減はしているようだ。
それでもメラが動けなくなれば糸で無理矢理動かしているので、限界をギリギリまで追いつめられるのに変わりはないようだけど。
そんな過酷な訓練を施している本人は私の背中に乗って一歩も歩いてないけどねぇ。
まあ、背中に乗ること許してるのは私なんだけどねぇ。
青ちゃんを背中に乗せるのはいつものことだし、青ちゃんの機嫌がいいと美味しいものが食べれる。
いやぁ、青ちゃん乗せてるだけで美味しいもの食べれるなんて楽でいいねぇ。
けど、どこで果物とか手に入れたんだろう?
まあ、なんでもいっか。