スライムですが、なにか?   作:転生したい人A

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暇つぶしの英才教育とスパルタ特訓

 太陽の光が木々に遮られた獣道を進む私達。

 アラクネになった白ちゃんの蜘蛛の背中に乗せてもらい人型の白ちゃんに抱き着いて同行メンバーを見る。

 魔王で蜘蛛の魔物の頂点に立つ黒い少女、アリエル。

 フード付きローブを来て息を荒くして辛そうな吸血鬼の男、メラゾフィス。

 そして現在進行形で死にそうな顔で虫の息の赤ん坊で転生者のソフィア。

 

「本当に変なメンバーだよねぇ」

「それには賛同するけど、あんまり体触らないでくれる?青ちゃん」

「そんなにベタベタ触ってないでしょ。ちょっとしたスキンシップくらいだよ」

「この胸を揉んでる手は何?」

「揉むくらいいいでしょ?」

「ダメ」

 

 白ちゃんの胸を揉んでいた手を掴まれて外される。

 

「ええ、触り心地いいんだから、少しくらいいいじゃん」

「青ちゃんにも立派なのがついてるでしょ」

「白ちゃんほどじゃないよ」

「ダメなものはダメ」

「はーい」

 

 もう少し揉んでいたかったけど、これ以上は怒られそうだし仕方ないねぇ。

 

『青、セクハラしてないで助けなさいよ』

「セクハラとは失礼な。ただのスキンシップだよ」

『どうでも、いいわよ』

 

 白ちゃんに糸で操られ、まともに歩けない赤ん坊でありながら無理矢理歩かされてるソフィアから念話で助けを求められる。

 

「大丈夫だよ。死ぬ寸前まで行っても死にはしないから」

『なんで、あんたは歩かないのよ!』

「え?私の定位置ここだし」

『意味わかんないわよ』

 

 意味が分からないと言われても、白ちゃんと一緒に行動する時は基本的に白ちゃんの背中に乗って移動してたしねぇ。

 それに白ちゃんの許可も貰ってるから何も悪くないでしょ。

 

「弱音や文句言ってないで頑張りなよ。君の従者も頑張ってるんだから」

 

 私がソフィアの従者であるメラに視線を向ける。

 白ちゃんがソフィアを鍛え始めたので、私はメラを育てることにしたのです。

 といってもソフィアに比べて成長速度は遅いが、主であるソフィアを守れるように強くなろうと真面目に頑張っているので、厳しい訓練を施している。

 私とソフィアの会話が聞こえているだろうに返事をして来ないのが良い証拠。

 重魔法を掛けているのでまともに歩くだけでもかなり辛いせいで返事をする余裕がないんでしょうねぇ。

 まあ、動けなくなるとソフィアと同じで私が糸で動かすんだけどねぇ。

 

「分かったら死ぬ寸前まで歩く」

『分かったわよ!?』

 

 まあ、実際は私達の暇つぶしなんだけどねぇ。

 HPが減り始めたら私が奇跡魔法で強制的に回復させ続けてるから死にはしない。

 死ぬほど辛いだろうけど、死にはしない。

 それでもSPがなくなる前には休憩をする。

 そろそろ休憩するためか、白ちゃんが糸を回収したのでソフィアがバタンと倒れる。

 倒れたことでHPが減ったが、私がすぐに全快させる。

 

「お嬢様!?お嬢様!聞こえていらっしゃいますか!?」

 

 メラがソフィアのことを抱きかかえて心配しているが、死んでないので放っておいて大丈夫でしょう。

 

「白ちゃん、火の準備お願いね」

 

 白ちゃんが日の準備をしている間に私は空納から食料を取り出して下準備を始める。

 一人で修行をしている頃に町へ行った際に、飲食店の調理を見ていたので問題なく出来る。

 調理器具はソフィアの実家から貰って来たものがあるし、無ければ作ってしまえばいい。

 白ちゃんが用意してくれた火を使って手早く料理を作り配る。

 ソフィアとメラの料理には白ちゃんが毒を入れ、二人に悪食の称号と耐性のレベル上げを行う。

 

「青様、お嬢様にもまともな食事を出してはいただけませんか?」

「む、毒が入っているだけでまともな食事だよ。毒の苦みを上手く利用してるんだから、味は悪くないはずだよ」

 

 まあ、毒抜きの方が美味しいのは確かだけど。

 

「毒が入っている時点でまともではないかと思うのですが」

「美味しくて耐性上げれて称号貰えるんだからいいでしょ」

『メラゾフィス、いいわ。何言っても無駄よ。味がまともなだけましよ』

 

 最初に白ちゃんが作ったのは毒のある肉焼いただけだからねぇ。

 私からすれば焼いてるだけまともだけど、二人にとってはまともではないようねぇ。

 白ちゃんは私の作った料理を嬉しそうに食べているので、もう一人に私が料理を渡す。

 

「ありがとー」

 

 アリエルさんは私の料理を受け取ると、白ちゃんと同じように美味しそうに食べる。

 私も自分が作った料理を食べ始める。

 

「そういえば、青ちゃんはポティマスのことどう思ってるの?」

「何とも思ってませんよ。会ったこともないですし、私の邪魔してくるなら潰すかなってくらいです」

「ふーん、そうなんだ。けど、白ちゃんはポティマスに殺されかかってたよ?」

「え?」

 

 何それ、私聞いてないんだけど。

 

 アリエルさんの言葉に白ちゃんを見ると、話を聞いていたのか頷くだけで返してくる。

 

「へー、ふーん。じゃあ、潰さないといけないねぇ」

 

 けど、一朝一夕で潰せるような守りじゃないんだよねぇ。

 はあ、時間はかかるけど確実に潰す道を選ぶしかないねぇ。

 

「なら、私と手を組まない?私もポティマスを殺したいんだよねぇ」

「いいですよ。けど、アリエルさんが居てもポティマスを潰すには戦力が足りないんですよねぇ」

「私が協力しても潰せないの?」

「無理でしょうねぇ。エルフを潰すだけならアリエルさんの力を借りなくても出来ますけど、ポティマスを潰すにはアリエルさんが居ても無理ですよ」

 

 アリエルさんが目を見開いて固まるが、実際に無理なのは分かり切っているだろうに。

 

「アリエルさんが加わって潰せる程度の相手なら、アリエルさん一人で倒せてますよ」

「ポティマスを潰せないのはいいとしても、なんで、エルフは潰せるの?」

「里への侵入方法は簡単に思いつきますし、エルフが使っているのは機械兵器ですからねぇ。機械兵器は使い方さえ分かれば誰でも使えるんですよ」

「あはは、普通は里への侵入が出来ないんだけどねぇ」

 

 アリエルさんが呆れて苦笑しているが、呆れるほど難しいことではない。

 侵入だけなら意外と簡単に出来るのは事実だ。

 後は情報を集めて機械兵器を利用して結界何で暴れまわれば一瞬でエルフは壊滅する。

 誰にも居場所を教えていないであろうポティマスは生き残るだろうが、それ以外は全滅すること間違いなしだ。

 

「まあ、エルフは準備を整えてから潰しましょう。あまり追い詰めすぎると、余計にポティマスを潰しにくくなるので」

「ああ、うん。方法は任せるよ」

 

 アリエルさんが何か諦めたような顔をしているが、全員が食べ終わったので移動と訓練を再開する。

 

 しっかりと、メラを鍛えないとねぇ。

 ステータス平均万越えを目指して頑張ろうねぇ。

 

 簡単に食器を片付けて白ちゃんの背中に乗る。

 白ちゃんに抱き着きながらメラに重魔法を掛ける。

 重くなった体を必死に動かして歩くメラを見ながら訓練内容を考える。

 

 取り合えず、メラには魔闘法と気闘法を習得してもらいたいねぇ。

 魔力の訓練は神珍鉄を使えば出来るけど、魔法はスキルを取って貰わないといけないんだよねぇ。

 実際に私も重、外道、闇の三つしか使えないしねぇ。

 私の場合、魔法と物理攻撃が効かないなら腐食攻撃で消し飛ばせるから、必要ないだけだけどねぇ。

 メラの腐食耐性を上げるために私が腐食攻撃で殴ったら確実に死ぬから無理だよねぇ。

 成長が遅いから殺すつもりでやるしかないねぇ。

 

「これは強くなるのに時間がかかりそうだねぇ」

「まあ、始めたばかりだしねぇ」

「負荷倍にしたら死んじゃうかな?」

「死にはしないだろうけど、動けないんじゃない?」

「ん~、鍛えるのって難しいねぇ」

「私や青ちゃんは成長系のスキルがあったからねぇ」

「成長系スキルってすごかったんだねぇ」

 

 まさか、ここまで成長が遅いとは思わなかった。

 けど、鍛えるならメラが動けるギリギリまで負荷を上げないとねぇ。

 

 重魔法を調整してメラにかけると、メラからうめき声が聞こえたが気にしない。

 先ほどより、進むのが遅くなったが動けるようなので問題ないだろう。

 空納から果物を取り出して、白ちゃんに見せて問いかける。

 

「白ちゃん食べる?」

「食べる」

 

 白ちゃんに一つ渡して、私の分も取り出して食べる。

 メラの鍛え方を考えながら白ちゃんの蜘蛛の背中をもふもふする。


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