スライムですが、なにか? 作:転生したい人A
のんびりと辛い修行を行う日々を過す。
スライムはアークになったことでレベルの上がりが遅くなっている。
スライムが次に進化するまで時間がかかりそうだなぁ。
私も最近はレベルがあまり上がらないので困っていた。
そんな中蜘蛛子ちゃんから念話が来る。
『スラちゃん、今大丈夫?』
『大丈夫だよ、どうしたの?』
『いやー、実はさぁ。色々あって私が原因で戦争が始まりそうなんだよねぇ』
『え?』
蜘蛛子ちゃんは今まで何をしていたのだろう。
戦争が始まるはまだ分かるが、その原因が蜘蛛子ちゃんにあるというのが分からない。
蜘蛛子ちゃんを討伐しようとするなら分かるが、そういうのとは違うようだし。
本当に何をしたのだろう?
『まあ、色々あったんだよ』
『それで、どうして私に連絡してきたの?』
『私、その戦争で経験値稼ごうと思うんだけど、スラちゃんも参加するかなって』
なるほど、確かにレベルを上げるなら人間を大量に殺すのは効率がいい。
それに最近はレベルの上りが良くないので経験値を大量に稼げるのは嬉しい。
『私も参加する』
『分かった。じゃあ、迎えに行くからエルロー大迷宮の上層で待ってて』
『はーい』
待っててと言われたが、転移で来るだろうから急いでいった方がいいね。
流石に人型で行くと人の町で食べ歩いてたこととかバレそうだし、スライム形態で行こう。
スライム形態に戻り、スライムに念話を送る。
『ちょっと出て来る。何日か戻らないかもしれないから、巣をよろしくね』
スライムの了承を受け取り、上層の蜘蛛子ちゃんと住んでいた古巣に転移する。
古巣に転移すると、大量の卵があった。
なにこれ?蜘蛛子ちゃんの卵?
蜘蛛子ちゃんも眷属作ってたのかぁ。
そんなことを考えていると、蜘蛛子ちゃんが巣に戻ってくる。
『久しぶり、すぐに戦争に参加するの?』
『戦争始まるの明日ぐらいからかなぁ』
『じゃあ、今日中に戦場の近くに行っておこうか』
『そうだね。実際、いつ始まってもおかしくないし』
『じゃあ、転移よろしく』
『はーい』
蜘蛛子ちゃんに転移してもらって私達は森の中に出る。
近くに人の町があるので、あそこの国とどこかの国で戦争をするのだろう。
『そういえば、どうして戦争の原因が蜘蛛子ちゃんなの?』
『えっと、簡単に言うとあのサリエーラ国が私を神獣って崇めてて、あそこの領主の家に来てたオウツ国の使者を私が殺しちゃったから』
うん、経緯は何となく分かった。
色々言いたいことはあるけど、何となくは分かったよ。
『まあ、色々あったんだね』
『うん、色々あった』
深く考えるのをやめよう。
きっと蜘蛛子ちゃんはこういう子なんだ。
だから、Dが気に入っているんだ。
Dに気に入られるなんて蜘蛛子ちゃん大変だねぇ。
『まあ、戦争の前なんだし、さっさと寝ようか』
『そうだね』
私と蜘蛛子ちゃんは木に簡単に寝れる場所を糸で作る。
そして私が力を抜いて少し潰れると、蜘蛛子ちゃんが私を枕にしてくる。
ああ、そういえば、スライムがいないと私が枕になるのかぁ。
まあ、蜘蛛子ちゃんだしいっかぁ。
そしてすぐに眠りについた私達は次に目が覚めるころにはサリエーラ国の軍が侵攻を始めていた。
私と蜘蛛子ちゃんはその軍について行く。
しばらく、軍について移動していると平野にたどり着いた。
平野の反対側ではオウツ国だろう軍が揃い始めていた。
万を超える軍勢が睨み合い戦争の準備をする中、私は蜘蛛子ちゃんに念話を送る。
『オウツ国の軍を攻撃すればいいんでしょ?』
『うん、サリエーラ国では私神獣様として崇められてるし、吸血っ子もサリエーラ国にいるし』
『ふーん、そうなんだ。じゃあ、私もう攻撃してくるね』
『ああ、分かった』
サリエーラ国もオウツ国も軍隊はほぼほぼ揃い戦争を始めるために陣形などを整えているが、私は気にせずに平野の中央に転移で移動する。
平野の中央に移動した私は超巨大化のスキルで体を最大まで大きくする。
先ほどまで何もなかった平野の中央にいきなり、超巨大化した私が現れたことで両軍はかなり混乱している。
しかし、私に軍の混乱など関係はない。
レベルがカンストするまでオウツ国の軍を殺しつくすだけだ。
家一つを余裕で飲み込めるほどに大きくなった私は腕を伸ばし、オウツ国に攻撃を仕掛ける。
現状の私のステータスはかなり上がっており、人ではまともに対処出来ない力と速度で振り下ろされる腕に軍は何も出来ずに蹂躙される。
大量の経験値が私に入ってくるが、カンストまでには至らないので腕だけでなく暗黒槍の雨を降らせてやる。
万を超える数のオウツ国軍が死んだことで私のレベルはカンストした。
戦闘準備も終わっていない軍が突然現れた私にわずかな時間で五分の一以上の数が何の抵抗も許されずに殺されたことで、先ほど以上に混乱している。
レベルもカンストしたし進化しに帰ろっと。
『蜘蛛子ちゃん、私レベルカンストしたから帰るね』
『ああ、うん。私も進化に必要な経験値稼いだら戻るよ』
『じゃあ、お先に』
何が起きたかまともに把握できず、混乱状態の両軍を置いて私は超巨大化を解除して転移で巣に戻る。
巣にスライムはいなかったのでレベル上げのために下層を回っているのだろう。
まあ、帰ってくるのを待つ必要はないので私は進化を始める。
私が出来る最後の進化先。
『アルティメット・スライム:進化条件:LV50のアストラル・スライム、支配者スキル一つの所持:説明:高次元の体を持つ究極のスライム』
説明雑いなぁ。
そして普通の魔物じゃ絶対に進化出来ないだろこれ。
アストラル・スライムだって条件を達成できるスライムがいないって言うのに。
まあ、私は達成したので進化しますとも。
それでは進化。
《進化が完了しました》
《種族アルティメット・スライムになりました》
《各種基礎能力値が上昇しました》
《スキル熟練度進化ボーナスを取得しました》
おや、体がかなり黒くなったなぁ。
体が黒くなり過ぎたせいで、青系統のグラデーションがすごい綺麗に見える。
体の変化も確認できたし、ステータスの確認をしますかぁ。
さて、最終進化でどれだけステータスが上がったかなぁ。
《アルティメット・スライム LV1 名前なし(蓮見葵)
ステータス
HP:29560/29560(緑)
MP:8650/58650(青)
SP:48240/48240(黄)
:38030/48240(赤)
平均攻撃能力:78750
平均防御能力:35840
平均魔法能力:40320
平均抵抗能力:39640
平均速度能力:31560
スキル
『HP超速回復LV10』・・・・・・『天命LV10』『天動LV10』『富天LV10』『城塞LV10』『剛毅LV10』『天魔LV10』『天道LV10』『不死』『悟り』『n%I=W』
スキルポイント:15000
称号
『悪食』『暗殺者』『糸使い』『魔物殺し』『無慈悲』『魔物の殺戮者』『悟りの支配者』『竜殺し』『恐怖を齎す者』『龍殺し』『魔物の天災』『覇者』『人族殺し』『人族の殺戮者』『竜の殺戮者』『人族の天災』》
おお、進化しただけで全ステータスが1万以上増えた。
スピードもかなり伸びたし、私の弱点がなくなって来たぞぉ。
では、早速ご飯を食べながら作業をしますかねぇ。
人型になり空納から服を取り出して着る。
そして進化で減ったSPを回復するために大量の魔物の死体を出す。
もぐもぐと魔物の死体を食べながら最高の和服を作る準備を進める。
これまで作って着た中で最高の品質で作って蜘蛛子ちゃんを驚かせないとねぇ。
蜘蛛子ちゃんの驚く顔を楽しみにしながら時間をかけて丁寧に仕上げていく。
デザインもしっかりと拘って作りこんでいると、スライムが戻ってきたようだ。
帰って来たスライムを息抜きに鑑定してみると、レベルは差ほど上がってないのにステータスがかなり上がっている。
あれ?もしかして私が上位種に進化したから?
一応、私の体の一部を取り込んでるし、無くはないか。
スライムの変化に首を傾げるが、適当な理由をつけて納得して作業を再開する。
先ほどまでとは違い、スライムが戻って来たのでスライムに縋り、お菓子感覚で魔物の死体を食べながら作業する。
どれだけの時間が経ったか分からないが、完成した和服に着替える。
糸の最上位スキルで私が作れる最高の強度を誇る糸を使い作り上げた和服。
履物は神珍鉄と糸で作られた下駄。
そして目と口が見えないように顔を覆い、私の方からは透けて見える白い布。
「完璧だね。物語に登場する正体不明キャラみたいでいいねぇ」
作り出した鏡のような金属の前で和服の完成度確認しながらクルクル回ってみる。
かなりの完成度の高い和服に今までの苦労を思いひとしきり喜ぶ。
「さて、蜘蛛子ちゃんに見せびらかしに行こう」
蜘蛛子ちゃんのところに行くことを決めてスライムを撫でてやる。
そして町で買っていた果物を何個か置いて念話を送る。
『しばらく帰らないかもしれないから、巣のことよろしくね』
巣のことをスライムに任せて万里眼で蜘蛛子ちゃんを探す。
あれ?迷宮内にいない?
蜘蛛子ちゃんの子供達はいるけど、蜘蛛子ちゃんがいない。
もしかしてサリエーラ国の方にいるのかな?
サリエーラ国の方を見ると、蜘蛛子ちゃんと一緒に見たサリエーラ国の町が燃えていた。
ああ、もしかして吸血鬼助けに行ったのかな?
じゃあ、私も行こっと。