あらすじ
人類は同じ夢を見るようになった。
ある晩は、女生徒と教師の不倫の物語であり――
ある晩は、劇作家と女優の身分を超えた恋物語――
またある晩は、不登校の少年と教育実習生の淡い初恋――
三種類の夢を、人類は繰り返し見るようになった。
何故、全人類が同じ夢を見つづけるのか。
これは、世界と呼ばれた一人の少女の物語。
企画意図
今作は記憶と人格の関係性を描く。
三つの並行世界は、過去作品のスピンオフをオムニバスのように並べただけではなく、
最終章のCASEー0に収束した後、三つの物語が語られた必然性も示される。
“個性”と呼ばれているものの正体は、今日までの記憶の集積でしかない。
何かの判断を下すとき、多くの人は過去の経験を手がかりにする。
過去のデータがその人の行動を支配する。
そして人は、行動を見てその人の個性を判定する。
つまり我々は、間接的にその人の過去を個性だと定義している。
では、記憶にたいして削除、創出という操作ができるようになる未来がきたとき、
人の個性は何によって定義されるのか。
揺らがない個性というものは存在するのか。
これが今作のテーマであり、
世凪という一人の少女の物語を通して、
一つの答えを出すことを目標に企画した。