家無町 アニプラ
サンゴ「なっ!?依頼書が一つ足りんぞ!?誰じゃー!盗んだやつはー!!」
サンゴが朝から怒っていた。それもそのはず、零が盗んだ依頼書、「島の呪いを解け」という依頼がなくなっていたのだ。その後、監視カメラをつけていたことからその映像を見ると、零がちぎっている様子が映っていた。
サンゴ「ぐぬぬ、零が盗んだじゃと!?だれか!あの島に零を行かせるな!捕まえろー!!」
レオ「バカかアイツ!」
エナ「青島って危険なところだったよね!?」
「おいおい、ほんとに行きやがったのか!?」
「ライアンもいないぞ!?もしかして一緒に行ったんじゃ…」
アニプラ中がどよめく中、ボルトが立ち上がり。
ボルト「俺が行ってくる。」
サンゴ「ボルト?」
ボルト「相棒のストッパーは、俺だけで十分だ。」
第8話
呪われた青島と、巨大妖獣トラバサミ
ライアン「んんーっ!磯の香りがいいなぁ〜!」
零「さぁて、依頼終わらせて円卓の武器もらうのだ!」
シシワカ「ところで、なんで僕連れてきたんですか?」
ライアンと零が港町、みらい区へと辿り着いた。けど、なぜシシワカくんもここに来ているのか?
ライアン「決まってんだろ、俺は船に弱いんだ。だから乗せてくれ。」
零「えっ?船酔い激しいのだ?」
ライアン「聞いてなかったっけ?」
シシワカ「初知りです!ではこれから島に行く依頼があるときは、僕が乗せてあげますね!」
ライアン「ありがとよ、シシワカくん。さーて、零は船を探せ!」
零「ラジャッ!」
ライアンはそう言うと、零はシシワカとともにスタコラと乗せてくれる船を探す。
1匹目
「何言ってんだよ!あんな島行きたくもねぇ!」
2匹目
「ここら辺の漁師は誰もあの島には近づかねぇ、悪いことは言わん行くのはやめなさい。」
零「ダメだ、誰も乗せてくれないのだ…」
シシワカ「見事に惨敗でしたね…漁師も行きたがらない島って一体…?」
ボルト「見つけたぞお前ら!」
ガシッ!
零「ひゃっ!ボルト!?」
ボルトが零を見つけて首根っこを掴む。
ボルト「じーさんからの伝言、行くなとよ。ところでライアンどこ行った?」
零「ライアンなら待って…」
すると、ライアンの声が遠くから聞こえた。
ライアン「おーい、乗せてくれる動物いたぞ〜!」
零はボルトの手を振り解くと、急いでライアンの元へと向かう。そこには、アイアイ族の男がいた。
シシワカ「随分快くOKしてくれましたね。」
ボルト「テメェら、破門されるぞ!じーさんが行くなって言うからには行くな!」
すると零は地面に横たわり。
零「いやだーー!!このまま安い依頼ばかりやってても家賃払えないのだ〜!!お金欲しいのだ〜!!」
ボルト「なっ…」
駄々をこねた。いい歳して…子供かよ(ちなみに零は15歳である)。
ライアン「そういうことだ、諦めなボルト。」
ボルト「お前弱気やアンダーライトにも勝ったことないくせに、その程度の実力じゃ無理なんだよ!それに、このことが今依頼に行ってていない弱気に知られたりしたら…」
2匹はゾクっとした。ちなみにシシワカくんは。
シシワカ「まだですか〜?行くんならとっとと行っちゃいますよ〜?」
待ちくたびれてあくびを出していた。
ライアン「うるせぇ!俺は弱気やアンダーライトに勝ちてぇし、零の家賃のためにも行かなきゃならねーんだよ!」
零「そうだそうだ!」
ボルト「じーさん直命だ!連れ戻す!」
ライアン「なんだと〜!」
零「行かせろのだー!!」
ボルト「行かせねーよ!」
3匹がアークを出して威嚇したその時。乗せてくれると言っていた、アイアイ族の船乗りがこれを見て。
「アンタら獣力師かい?なら話は早い!ささっ、乗りなさい!」
アイアイ族の男が急かす。そして3匹は。
ライアン「じゃあシシワカくん、浮上!」
零「やったー!」
ライアンがそう言うと、シシワカは宙に浮き、零は船に乗ろうとする。だが。
ボルト「行かせるか!」
ボルトが止めようとしたとき。
ライアン「あっ、シシワカくん先にボルト殴って気絶させていいよ。」
シシワカ「えっ、えぇ?すいません雷坂さん…えいっ!」
ドガッ!!!
ボルト「ごふぁっ!!?」
シシワカの強烈なボディーブローで、ボルトは気絶した。そして、ついに4匹は青島へと向かうことになった。
海上
辺りはすっかり暗い夜。本土の光が見えなくなってきた。すると、アイアイ族の男がこう話す。
「俺ぁ青島の住民でな、逃げてきたんだ。」
シシワカ「逃げた?」
ライアン「どういうことだ?悪魔がいて怖かったから?」
「それもある。だが、災いは君たちの身にも降りかかる。あの島の呪いを解くということは、そういうことだ。」
そう言うと、アイアイ族特有の長い指で島の方に指を刺す。
「見えてきたぞ。あれが青島だ。」
零「頂上が光ってる…」
シシワカ「綺麗ですね〜…って、アレ?」
ライアン「どうしたシシワカくん?」
シシワカ「さっきまで乗ってたアイアイのおっさんがいないんです。」
船のほうを見ると、そこに先ほどまでいたアイアイ族の男がいなくなっていた。
零「どこへ行ったのだ!?あっ!」
ライアン「今度はなんだ?」
零「高波が!!」
ザッパァァァァァァァン!!!!
3匹『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………』
アイアイ族の男がいなくなったと同時に大きな高波が、船を飲み込んだ。4匹は避けきれず、そのまま飲み込まれてしまった。
ザザーン…ザザーン…
零「うぅ…うーん…」
零が目を覚ます。運良く陸地へ座礁したようだ。ここは、依頼の目的地である青島。植物が生い茂っており、そして綺麗な海が漂っていた。そんな海沿いに、ライアン、シシワカは泳げなかったのか気絶していた。そして、ボルトもまた、木に激突していた。そしてしばらくすると、シシワカは起き始めた。
シシワカ「おぉ、着いたんですか!」
零「打ち上げられたのがここなのが不幸中の幸いだったのだ。」
シシワカ「にしてもあの男なんだったんでしょうね?急にいなくなりましたし…」
ライアンの口から海水を出しながら、シシワカは疑問を抱く。すると。
ライアン「ゲホッ!ゲホッ!」
水を吐き出してライアンの意識が回復する。そして、ボルトも起き上がる。
零「まず、村があるそうだから村に行ってみるのだ!」
地図を見ながら零は言った。すると、ボルトが。
ボルト「待てお前ら。」
ライアン「何だよボルト、もう連れ戻せねーぞ?船も壊れたし、シシワカ君は俺しか乗せてくれないし。」
シシワカ「そんなこと一言も言ってませんし…」
ボルト「そうじゃねぇ、俺も混ぜろ。」
零「えっ!?」
ボルト「怒られるのはお互い様だけど、ちゃんと依頼こなせさえすりゃあ、弱気も何も言わねぇだろ。」
ライアン「よし、決まりだな!行くぞ!」
シシワカ「はい!」
村
そして、また夜になった。4匹は村のある場所へと着いた。しかし、村には誰もおらず、あたりは静まりかえっていた。ライアンは村民の住居の扉を開ける。
ガチャッ
ライアン「お邪魔しまーす。あれ?」
中には誰もいない。そしてまた。
ガチャッ
ライアン「こんばんはー。いない…」
ガチャッ
ライアン「失礼しまーす…って誰もいないぞ?」
住居の中にも、誰もいなかった。その後も何度も何度も住居の扉開けても、村民はいなかった。
ライアン「誰もいねぇな。」
零「こっちも誰もいないのだ。」
すると。
???「あの…村のアイアイ族たちは、みんな避難所に逃げましたよ…」
ライアン「?いねぇのか?って、アンタ誰?」
零「?」
ライアンと零が振り返ると、そこにはボルトに似た青い毛をしたトラ族の女の子が立っていた。そして、ボルトとの違いは、性別は女で、頭はおかっぱ、そしてぶかぶかの帽子を被っていた。
ライアン「ボルト?いや、そこにいるよな…」
ボルト「何だ?どうした?あっ…」
ボルトが自分に似た女の子の存在に気づく。すると。
ボルト「プラズマ?」
プラズマと呼ばれた女の子「ボルトお兄ちゃん?」
ライアン「えっ!?」
零「なっ!?」
シシワカ「お、お兄ちゃん!?ですか!?」
えっ!?ボルト妹いたの!?当然知らなかったライアンと零、シシワカも驚愕する。
ボルト「誤解を招く呼び方すんな。コイツはプラズマびり理。雷坂家の家臣でな。」
零「雷坂家?」
零が首を傾げる。すると、シシワカが丁寧に説明する。
シシワカ「雷坂さんは雷坂家というメガキョウトの獣力師の名門の御子息、何ですよね?」
ボルト「そんなとこまで知ってたのか…」
ボルトが少し嫌な顔をする。
ライアン「ボルトは母ちゃんから修行のために、ガキの頃にアニプラに入って、俺とここから組んだってわけ。にしても、びり理ちゃん?でいいのかな?ほんとにボルトに似てるなぁ。」
びり理「へへへ、よく言われます。」
すると、急に夜空が。
ライアン「おい、あれ…」
零「月が…」
シシワカ「真っ赤だ…」
びり理「あぁ…また来た…ちょっと避難所見てきます!」
ボルト「おい待て!」
4匹はびり理を追いかける。
村の避難所
村の避難所へと向かう。すると、村のアイアイ族たちがうめき声をあげていた。
ライアン「お、おい!アイアイが…」
そしてアイアイ族は、バキバキと体から翼や角が生え、みるみるうちに悪魔のような姿に変わっていった。
零「うっ!うぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
この姿を見た零は、あまりの気持ち悪さにたまらずゲロを吐いた。
シシワカ「ダメ…こういうの僕苦手…うぇぇぇぇぇぇ!!!」
シシワカも見るに耐えられきれず、ゲロを吐いてしまった。そして、アイアイ族たちは、皆1匹も残らず悪魔になってしまった。
ボルト「これが、悪魔の島って呼ばれる理由…なのか…?」
びり理「はい…悪魔見たさに遊びに来たら、思いのほか深刻で…」
ライアン「なぁ、ここに依頼送ったの誰?」
びり理「はい、村長だと思いますが…また無茶なことをしに行きましたね…」
びり理はやれやれとする。ライアンは彼女に聞いてみた。
ライアン「依頼内容は?」
びり理「ボソッと聞きましたが…月を壊せとのこと。」
ライアン「月?」
そしてしばらくして、ライアン、シシワカを除く3匹は寝ることにした。しかし。
ボルト「……」
零「………」
2匹『寝れん!』
ボルトと零は眠れなかった。それも当然、悪魔だらけのこんな島で平気で寝られるわけがない。
ボルト「うわぁ、プラズマガチ寝してる…」
すやすやと眠るびり理を見てボルトが少しひいた。
零「こっちは月の光が入って寝られないのだ…浴びすぎると悪魔になりそうで怖いし…」
ボルト「ったく、アイツら寝たくないって言ったっきりどこ行きやがったんだ?」
その頃ライアン、シシワカは。
ブォォォォ…
パチ、パチッ…
焚き火を作り外で眠っていた。すると、シシワカくんの目が覚め。
シシワカ「……?」
何かの気配を感じた。彼はライアンを起こそうとする。すると。
カサカサ…
シシワカ「誰だ!」
物音がした。これは明らかに自分たちと同じ動物だ。そう考えたシシワカは戦闘体制に入る。
ブンッ!
シシワカ「うわっ!」
上から槍が降ってきた。シシワカはそれを避ける。すると物陰から、何かが現れた。
???「お前たちこそ誰じゃ!ワシの島に入りよって!」
アイアイ族の老獣が現れた。そして降ってきた槍を持ち直すと、ブンブン振り回して歌舞伎のようなポーズを取った。
シシワカ「僕たちは、この島で起きてるアイアイ族の悪魔化を止めるためにやってきました。それにしても、あなたは悪魔の姿になってませんね。」
???「それもそうじゃ!この森で今は生活し、月の光を浴びないようにしておるからの!」
敵意はないと感じたのか、シシワカは戦闘体制を崩し、焚き火にあたる。老獣も隣に座る。そして、シシワカはこの島に来た事情を詳しく話した。
村長「そうか、お前たちがワシの依頼を受けに来たのか。ワシはこの島の村長じゃ!」
シシワカ「星野シシワカです、そしてこっちで寝てるのが来田ライアンさんです。」
村長「ふむ。そうか。」
シシワカ「どうして村長さんはここに?」
村長「ワシはな、ここでアイツらを退治するためにいるんじゃよ。」
シシワカ「アイツら?」
シシワカの頭のアホ毛がはてなになる。そのアイツらとは一体?
村長「この島には、だいぶ前から邪教集団がおっての、そこにいる奴らが月を赤く染め、みんなを悪魔にしたと思っておる。彼奴らは怪しげな妖術を使っているため、お前たち小童どもに依頼を頼んだのじゃ。」
シシワカ「なるほど…邪教集団か…明日来田さんに言っておこう。」
そう言うと、シシワカはまた寝袋の中へと入った。そして、村長は焚き火を消して何処かへと去っていった。
次の日
チュン、チュチュン、チュン。
シシワカ「というわけなんです。その邪教集団たる連中が、村民を悪魔にしたとのこと。」
ライアン「その邪教集団どこにいるの?」
ライアンがあくびをしながらシシワカに聞いた。
シシワカ「それが、そこは教えてもらえなかったんです。何か手がかりになるものがあればいいけど…」
しばらく森を探索し続けていると、道が開けてきた。
ライアン「あっ、あれは。」
2匹が目にしたのは、遺跡。アンコールワットのような形をした古めかしい遺跡だ。
シシワカ「なんだろうこの遺跡…入ってみましょう。何か分かるといいですが…」
2匹は遺跡の中へと足を運んだ。
遺跡の中
遺跡の中へと入った2匹。そこには、月の紋章が書かれた壺などがたくさん置かれていた。
ライアン「月だ…」
シシワカ「月ですね。月の光、月の紋章…」
ライアン「ますます怪しくなってきたな。先に進もう。」
シシワカ「はい!」
そして、もっと奥へと向かう2匹。すると、ライアンは。
ポチッ
なにかスイッチのようなものを踏んでしまった。
ガチャッ!
ライアン「………これってアニメでよく見るお決まりのパターンだよね?」
シシワカ「えぇ、お決まりのパターンですね。せーのっ。」
ライアンとシシワカ『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ〜!!!』
そのまま2匹は真っ逆さまに落ちてしまった。
その頃、この3匹は。
ボルト「ライアーン!シシワカくーん!」
零「どこいったのだ〜!」
森を散策していた。さっきまでライアンとシシワカくんがいたけど、今は遺跡の中へといる。果たして、遺跡の存在が分かるだろうか?
びり理「にしても、ホントに月壊すんですか?」
ボルト「壊すって言ってもなぁ…」
零「アタシたちの実力では壊せないし…そもそも壊したら、月の満ち引きとやらがなくなって、魚型モンスターもたくさん死ぬのだ。」
ボルト「それに月見もできなくなるからな。全く何考えてるんだこの島の村長は。」
すると、何やら匂いがした。
ボルト「うっ、なんだこの匂いは…」
びり理「臭い…って零さん!」
零「………」
零はオオカミ族。臭い匂いも他の動物の10倍になってしまうので、臭すぎて気絶してしまったみたいだ。するとさらにそこへ。
ズシーン、ズシーン…
『チューーーー!!!!』
ボルト「ぎゃーー!今度は化けネズミ〜〜!!」
びり理「そういえば言い忘れてたけど、この島には化けネズミがいるの!」
ボルトはすぐさま攻撃体制となり、電気を溜める。
ボルト「波リ‼︎‼︎」
ギュオォォォォォォ!!!!
しかし。
ブォォォォォォォォォォ!!!
モワーン…
ボルト「うっ!ダメだ臭い!長くは撃てねー!逃げろー!!」
逃げる2匹とボルトに担がれる零。するとそこへ。
ボルト「あっ!」
びり理「あそこに遺跡があるよ!ボルトお兄ちゃん隠れよう!」
ボルト「あぁ!」
そう言うと、遺跡へと入って行った3匹。そして、追う化けネズミは遺跡に激突し、入れないことがわかると何処かへと去っていった。だが、3匹はまだ知らない。
ポチッ
ボルトとびり理『あーーーれーーーーー!!!!!』
そこに落とし穴のスイッチがあったことを。
ドッシーーン!!!
ボルト「う、うぅ…しかし深く落ちたなぁ。」
びり理「こんな遺跡があったなんて初めてだよ。」
すると、気を失っていた零が目覚めた。
零「あれ?ここはどこなのだ?」
ボルト「おぉ、零気づいたか。ここは遺跡の洞窟の中のようだぞ。」
零「遺跡?もうネズミいないのだ?」
ボルト「もういない。安心しろ。」
そしてしばらくすると、3匹はこの洞窟の中を散策し始めた。するとそこにいたのは。
ライアン「あっ、ボルト!零!びり理ちゃん!よくここに気づいたな!」
ボルト「お前たちここにいたのか…あっ!」
ボルトがライアンとの再会に喜んだのも束の間、その目に飛び込んだものを見て彼は凍りついた。
ライアン「ん?どうした?」
ボルト「あ、あぁ…」
零「これは一体…」
びり理「嘘、でしょ…?」
そこにあったのは、電気の檻と氷で閉じ込められた、巨大な化物。先ほどの化けネズミとは比べ物にならないほど大きな化物。開いているその口はまるで、猟で使われる罠のような口をしていた。
ボルト「と、トラバサミ…!トラバサミがなんでここにいるんだよ!!!」
びり理「はぁ、はぁ…トラバサミ…!はぁ、はぁ…」
ボルトは怯えるように叫び、びり理は何かを思い出し過呼吸になっていた。
ライアン「な、なんだよトラバサミって!」
シシワカ「ユウカから聞いたことあります、破壊神ニノが作り出したとされる妖獣の一体。」
ライアン「妖獣?破壊神?」
シシワカ「トラバサミ。厄災の妖獣とも呼ばれています。」
ボルト「俺がガキの頃見た姿のままだ…どうなってんだよ…!!」
すると、零が何かを察知した。足音だ。
零「隠れるのだ!」
そう言うと、ライアンたちはすぐさま物陰に隠れた。するとそこに現れたのは、眉毛が太いカモシカ族の男と、神官のような格好をしたアマミノクロウサギ族の女が現れた。
???「動物の声がしたのはこの辺りか?」
???「……」
???「ふぁ…眠い。ところでよもぎ、お前耳小さくなってるけど月の光浴びてね?」
よもぎ「浴びてない。そういうウズも眉毛太いぞ。」
シシワカ「なんだコイツら…」
するとさらに、イタイ服を着たツキノワグマ族の女が現れた。
???「ウズさん、よもぎさん。私は悲しい…」
零「うわぁ…イタイ女…タイプじゃないのだ…」
ウズ「チヨか。」
よもぎ「何かあったの?」
チヨ「チュルスが、誰かに攻撃をされたとのことです…あぁ、私は悲しい、悲しいですわ…」
零「イタイ…でもコイツら、この島の奴らじゃないのだ、ネオトウキョウの本土の匂いなのだ。」
ウズ「ん?」
すぐさま隠れる零。
チヨ「はぁ、もうすぐ月の光が集まるというのに、なんて悲しいことなのでしょうか。雷帝のお耳に入る前に、侵入者は皆八つ裂きに致しましょう。そう、夜になる前に…」
ウズ「だな。」
よもぎ「見られたからには、私たちが永遠の眠りに連れて行ってやろう…」
チヨ「それもすなわち、愛、ですわね。」
零(うぇぇぇぇ!イッターー!)
よもぎ「「死」だと思うけど…」
すると。
コツッ…
石を蹴るような音が聞こえた。
ウズ「誰だ?」
よもぎ「侵入者か?」
チヨ「向こうからですわ!」
3匹は物音がした方向へと向かって行った。
ライアン「ふぅ、見つからなくてよかった〜。」
ボルト「アイツら…親衛隊の奴らか!」
ライアン「親衛隊?」
ボルト「蜘蛛加波家の親衛隊だ。俺も顔を知ってる。でも、なんでアイツらここにトラバサミを…?なんで封印していた場所から…」
零「封印の場所?」
ボルト「コイツは、メガキョウトの北にある台風山に封印されていたんだ。俺がガキの頃、そしてプラズマも幼い頃…アイツはメガキョウトを火の海に変え、暴れ回ったんだ。俺の親父、電龍が封印した妖獣。この島の悪魔の呪いとどう関係してるのか知らねぇが、アイツはこの世にいちゃいけねぇんだよ…!!誰だよ雷帝って…またあの悲劇を起こすんなら、悲劇を起こす前に雷帝とやらを殺す…!!」
ボルトは電気をばちばち放電させ、怒りを露わにした。果たして、雷帝とは誰なのか。このトラバサミを持ち出した理由とは?