はじめに

文系の皆さんがAI人材になるためのノウハウを投稿していきます。今回はAIの活用方法8分類のうち識別系AI(代行型・拡張型)について解説します。

活用タイプ別AIは4×2=8分類

AIは機能別に分類すると4タイプ、役割別に分類すると2タイプに分けられます。つまり

機能別4タイプ×役割別2タイプ=活用タイプ別AI8分類

となります。

機能別4タイプ

まずAIを機能別4タイプに分けます。人の脳の機能にそって次のように整理することができます。

人の脳は複数の部位によって成り立っています。頭頂葉や側頭葉、前頭葉、後頭葉、小脳、脳幹などによって構成され、人のさまざまな機能が制御されています。それぞれの機能を大まかなグループで分けると、「見て認識する」「考えて予測する」「会話する」「身体(物体)を動かす」という4つになります。

脳のそれぞれの機能を模倣することでAIが発展してきているかのように、AIの分類も人の脳と同様に4つに分類することができるのです。

役割別2タイプ

また、AIと人との分業スタイルによって、AIは大きく2つのタイプに分かれます。人間の代行型と拡張型です。

  • 代行型
    人間ができることをAIが代わりに行なう
  • 拡張型
    人間ができないことをAIにょってできるようにする

機能別の識別系AI、予測系AI、会話系AI、実行系AIの4つを横に並べ、役割別の代行型と拡張型の2つを縦に並べて、4×2=8のマスに分けたのが以下の表になります。

このようにAIは活用タイプ別として4×2=8で分類することができます。

「識別系AI」はこう使う

識別系×代行型AIの活用例

識別系AIは主に「見て認識する」タイプのAIです。識別系であり、人間の代わりの作業を行なう代行型をかけ合わせた「識別系×代行型AI」は、これまで人間が行なってきたさまざまな単純作葉を担っていきます。たとえば、次のようなものが該当します

  • 24時間体制で行なうNG画像の検閲
  • 不良品の振り分け作業
  • テーマパークでの顔認証による入場
  • レジなし店舗での商品取得の検知
  • 送電線画像からの状態検出

いずれの例もこれまでは人間の眼によって認識され、人間の手によって作業されてきたものです。特にNG画像、不良品といったイレギュラーな内容を見つけ出す作業は、これまで多くの人数を使って実現されていた現場が多くありましたが、「識別系×代行型AI」によってすべてが代行、もしくは主な業務を任せることができるようになってきています。

多くの作業をAIで済ませて、その後に人間の最終チェックや承認を行なうといった作業分担のスタイルも増えていくでしょう。

イレギュラーな内容を見つけ出す作業以外でも、レジの代行や、特定の商品を手に取ったという動作の検出、テーマパークでの入場作業などをAIが担い、無人で買い物や入場のやり取りができる例も増えてきました。

AIによるレジなし店舗の例として、Amazon によるレジなし店舗、Amazon GO が有名です。

ここではよく学習された識別系AIが使用されており、複数人が腕をクロスさせて別々の商品を手に取っても、正確に買い物内容を検出できるようになっています。また、送電線といった設備の画像から異常や劣化の状態は人間によってチェックすることもできますが、量をさばいたり、揺らぎが少なくチェックすることが難しかったのです。これを「識別系×代行型AI」によって置き換えられるようにもなりました。

識別系×拡張型AIの活用例

「識別系×拡張型AI」は、主に眼の機能を使いながら、たとえば次のような人間では行なうことのできない作業を行ないます。

  • 医療現場における検査精度の向上
  • 大量の動画から行なう情報の自動抽出

「識別系×拡張型AI」は、医療現場での活用が多く見られます。たとえば、がんの早期発見のAIは、医師よりも正確にがんを検出することができるようになっている事例として有名です。

内視鏡を使った検査においてAIを使うと大腸がんをより確実に発見できたり、検査画像から胃がんや皮膚がんを高精度に発見することがすでにできるようになっています。これらのAIによって見逃しを防ぐことができますし、検査医師の不足をカパーすることもできます。

また、「大量の動画から行なう情報の自動抽出」の具体的な例としてプロスポーツの動画群から特定の選手やキーとなるプレイポイントを見逃さず認識し、動画データベースを作り上げる例があります。

マイナーな選手も含めて全球団の選手情報を常に把握し、すべての動画から検出・マッチングさせたり、動画に映る全員のプレイ状態を検出し判断するのは、通常の人間技を超えています。もしかしたら同じように作業できる超人的な人もいるかもしれませんが、一般的な人では正確にこなすことができない作業といえます。

このように高い専門性が必要とされる医療現場での精度向上を目的とした活用や、大量の情報の検出とマッチングといった、一般の人間が通常は行なうことができない作業を「識別系×拡張型AI」が行なっていくのです。

以上が、AIのおおまかな活用例と識別系の詳細について説明しました。

次回は予測系、実行系について解説しますのでぜひご一読ください。