まさかの国際問題を絡めた『毒殺編』もそろそろクライマックスを迎えます。
天野くんとマルコ(リカルド?)がどのように対峙するのか。
レイチェルは事件にどう絡んでいるのか。
リカルド(影武者?)はなぜホテルを飛び出したのか。
そして、涼太はこのまま死んでしまうのか……。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
ではでは、いつも応援やコメント、本当にありがとうございます!\( 'ω')/
夜の
賑やかな街でも一際目立つ五つ星のホテル。
天野はその
天野勇二
まずはアイツらに、連絡をすべきだろうな……。
今も『ミス研チーム』は聞き込み調査のため、東京の街を駆け回っているだろう。
天野はスマホを取り出すと、画面を器用になぞり、全員にメッセージを送った。
天野勇二
リカルドの消息を掴んだ。
調査は終了だ。
各自、急いで帰宅してくれ。
すぐに琴乃から「どこで見つけたの!?」と返信が届く。
天野はそれを無視して涼太に電話をかけた。
天野勇二
勇二だ。
具合はどうだ。
涼太はか細い声で答えた。
佐伯涼太
ああ、勇二……。
電話を待ってたよぉ……。
まだ生きてるけど、なんだか体調が悪いんだ……。
天野勇二
体調が悪い?
どういうことだ。
『毒物』は特定されたのか?
佐伯涼太
ううん……。
病院の先生たちがいっぱい検査してくれてるけど、まったく見つからないって……。
でもなんか身体がおかしいんだよ……。
熱があるし……。
頭が痛いし、身体もだるくて……。
単に風邪をひいたのかもしれないけどさぁ……。
もう泣き出しそうな声だ。
言葉の
天野勇二
発熱だと……?
レイめ……。
いったい何を打ちやがったんだ……。
佐伯涼太
そっちはどう?
勇二は怪我とかしてない?
『解毒剤』は、見つかったかなぁ……?
天野は首を横に振った。
天野勇二
ダメだ。
リカルドには接触できたが、あの分では『解毒剤』なんて携帯しちゃいない。
作らせる必要があるだろう。
佐伯涼太
そ、そうなんだ……。
ねぇ勇二……。
やっぱりさ、僕に『毒物』を打ったなんて、レイちゃんの『
涼太の声は震えている。
『推測』というより、そうであってほしいという『願望』の声だ。
佐伯涼太
だって、こんなの信じられないじゃん……。
まだ僕は若いのに……。
やりたいことだって沢山あるのに……!
こんな、よくわかんない『毒物』にやられて、明後日には死んじゃうなんて……!
こんな死に方イヤだよぉ……!
天野勇二
ああ……。
そうだろうな。
天野はため息を吐きながら言った。
天野勇二
俺も十中八九『ブラフ』だと踏んでいた。
だが、それは甘い願望だったと、認識を改める必要がありそうだ。
佐伯涼太
えっ……?
ど、どういうこと?
天野勇二
この
もし最悪のケースに発展すれば、世界は歴史の『
佐伯涼太
れ、歴史ぃ……?
なにそれ?
意味がよくわかんないけど……?
天野勇二
『第三次世界大戦』が開戦する可能性もありえる、ってことさ。
それほどデカい
涼太は「ぽかん」と口を開けた。
佐伯涼太
……はぁ?
ちょ、ちょっと待ってよ……。
なんなのそれ?
なんで、そんな話になってるの?
マジで意味がわからないんだけど……。
天野勇二
それも当然だな。
だが、それが現実なんだ。
この状況ではお前の命なんて虫ケラほどの価値もない。
最優先すべきは『お姫様の暗殺』を阻止すること。
それこそが想定すべき最悪の事態だ。
佐伯涼太
お姫様……?
えっと、それ誰のこと……?
『お姫様の暗殺』なんて言われても、涼太が理解できるはずがない。
天野は苦虫を噛み潰したような顔で言った。
天野勇二
しかもレイチェルが何を企んでいるのか。
それがさっぱり掴めない。
あの
『どちら側』に
まったく関係のない『第三者』なのか。
真実は闇の中だ。
だが、この『最悪の事態』を前提にするならば、アイツが毒殺するぐらいの
佐伯涼太
ええぇ……?
ちょっとマジでやめてよ……!
涼太はもう涙声だ。
もしかしたら、久しぶりに本気で泣いているのかもしれない。
佐伯涼太
僕は今さぁ、病院のよくわかんない小部屋に
すっごく心細いんだ!
もっとなんか励ますようなこと言ってよぉ……!
俺様にかかればなんたらかんたらとか言ってよぉぉぉ……!
天野は口唇を噛みしめた。
悲痛の表情で涼太の嘆き声を受け止める。
それでも非情の言葉を吐いた。
天野勇二
……悪いな涼太。
物事には『優先順位』というものがある。
お前は救いたい。
見殺しにしたくはない。
だが、それ以上に『世界の平和』を考えなければならない。
この状況になれば、さすがの俺様も『虫ケラほどの生命』なんて捨てるしかないんだ。
涼太が声にならない悲鳴をあげた。
その時、天野の視界に1人の男が入った。
天野勇二
おっと……。
すまんな。
切るぞ。
また連絡する。
佐伯涼太
ええぇっ!?
ウソでしょ!?
勇二待って……!
あっさり電話を切り、視界に入った男に手を振る。
男は天野のスマホを見ながら尋ねた。
黒崎
電話していたのか……。
大丈夫だろうな?
天野勇二
お前に心配されるまでもない。
大丈夫に決まっている。
黒崎
黒崎は天野の首元を眺め、小さく息を吐いた。
天野勇二
外務省はリカルドを保護するために動くんだろうな。
黒崎
ああ、問題ない。
1時間後にはうちの精鋭部隊が到着する。
そのまま空港へ向かう。
天野勇二
リカルドを高飛びさせるのか。
黒崎は慎重に言葉を選んだ。
黒崎
……いや、
ソウルまで運ぶ予定だ。
天野勇二
それが賢明だろう。
俺様も同行させてもらうぞ。
黒崎が驚いて尋ねた。
黒崎
お前も行くのか……?
友人の件はどうするんだ?
天野勇二
レイチェルとの
『毒物』が効果を発揮するまで時間もある。
海外で『解毒剤』を精製させ、すぐに日本へ戻れば間に合う。
黒崎
『毒物』の正体は掴めるのか?
どんな『毒物』に対する『解毒剤』を用意させるつもりだ?
天野勇二
それは諦めた。
『毒物』の正体は掴めない。
リカルドにはありとあらゆる『解毒剤』を作らせる。
それでもダメなのであれば……。
天野は首を横に振った。
天野勇二
友人には死んでもらうさ。
それしかあるまい。
黒崎は冷たい瞳で天野を見つめた。
黒崎
そうか……。
すまないな。
本当に、すまないと思っている。
天野勇二
その代わりレイチェルは殺すぞ。
報復としてなぶり殺す。
俺は『殺し』なんて好まないが、ここまでくれば話は別だ。
死体はお前らが処理してくれ。
黒崎はしばし迷ったが、苦しげに頷いた。
黒崎
……いいだろう。
必要なものがあれば言え。
手配してやる。
天野勇二
話のわかるスパイだ。
助かるぜ。
黒崎
応援が来るまで時間がある。
俺の車で待機しよう。
天野は黒崎に先導され、ホテルの入り口近くに停められたセンチュリーに乗り込んだ。
いつか天野が涼太にプレゼントした『防弾仕様の高級車』だ。
黒崎は運転席で唸った。
黒崎
あと1時間か……。
ここが正念場になるな。
天野勇二
『毒蛇』の『取引相手』がいつ襲撃に現れても不思議じゃない。
俺様に武装をさせないのか?
黒崎は懐に手を入れた。
天野の表情を確かめ、首を横に振りながら告げる。
黒崎
……バカなことを言うな。
民間人の武装なんて許せるはずがない。
天野はヘラヘラと口唇を歪めた。
天野勇二
それは残念だ。
俺様は丸腰か。
いざとなれば、お前の死体から
黒崎は生唾を飲み込んだ。
天野の顔を呆れたように睨みつける。
黒崎
お前は本当に、恐ろしい男だな……。
まだ医者の道に
うちはいつでも歓迎するぞ。
お前なら良いエージェントになれる。
天野勇二
残念だが、医者はスパイになんてなれないのさ。
2人はそこで無駄なお喋りを止めた。
車で待機したまま30分の時が流れる。
ホテルの出入口には沢山の人々が行き交っている。
その中に見覚えのある顔が現れた。
黒崎
なに……?
あれは『リカルド』じゃないか……。
アイツ、どこに行くつもりだ?
黒崎が慌てて車を飛び出した。
ホテルからリカルドが出て来たのだ。
リカルド・ヴェレーノ
先程と同じシックなスーツ姿。
荷物などは持っていない。
天野も車を出ると、素早くリカルドの周囲を見回した。
天野勇二
アイツは1人だな。
黒崎よ。
呼び止めろ。
黒崎
ああ、言われるまでもない。
黒崎が小走りで駆ける。
リカルドはすぐさま天野たちに気づいた。
リカルド・ヴェレーノ
クッ……。
背を向け、逆方向へ走り出す。
完全に天野たちを避けている。
黒崎の顔に緊張が走った。
黒崎
まさか、このタイミングで逃亡するつもりか!?
まずい……!
ここでヤツを逃がす訳にはいかん……!
黒崎はリカルドを追いかけようとしたが、足を止め、顔を歪めながら天野を見た。
天野を連れて追うべきか。
この場に残すべきか。
それとも……。
天野は瞬時に灰色の脳細胞を回転させて言った。
天野勇二
俺も別方向からヤツを追う。
お前はこのまま追いかけろ。
黒崎は迷ったように目を伏せた。
天野勇二
俺様を信じろ。
お前の悪いようにはしない。
お互い『
天野の言葉を聞き、黒崎は迷いを吹っ切るように言った。
黒崎
……わかった。
天野、死ぬなよ。
天野勇二
言われるまでもない。
お前も気をつけろ。
黒崎は頷き、急いでリカルドの背中を追いかけた。
2人の影が
天野はそれを確かめると、迷うことなくホテルの
ロビーを駆け抜ける。
そのままエレベーターに飛び込み、スマホを取り出し耳に当てた。
天野勇二
……天野だ。
留守電か。
これから『毒蛇』の部屋に行く。
この伝言を聞いたらすぐに俺様を追え。
最上階の角部屋だ。
エレベーターが最上階に到着。
天野はスマホの画面を器用になぞると、それを握りしめたまま分厚い
目当ての角部屋に到着。
思い切り扉を蹴り上げる。
2発、3発、4発。
廊下に激しい衝突音が響く。
5発目の蹴りを叩きつけた時、扉は勢いよく開かれた。
マルコ
やめろ!
テメェ何を考えてやがる!?
青ざめたマルコが扉を開けた。
慌てて天野を部屋に引きずり込む。
マルコ
オレは追われてんだよ!
目立つことをすんじゃねぇ!
殺されてぇのかバンビーノが!
天野はマルコの手を振り払った。
不敵な笑みを浮かべながら部屋を眺める。
天野勇二
なんだ。
お前1人なのか。
誰かと逢引しているのかと思ったが……。
日本政府に救助を求めるほど孤立しているのは、紛れもない真実であるようだな。
マルコは目を見開いた。
天野の首元を睨みつけている。
マルコ
テメェ……。
マジで何を考えてやがる……。
なぜここに来やがった。
しかもまさか……。
お前1人だってのか?
天野勇二
ああ、そうだ。
黒崎は『リカルド・ヴェレーノ』を追っている。
アイツはなぜ、このタイミングで逃げ出したんだ?
日本政府からの救援を待つんじゃないのか?
マルコは苦しげに唸った。
マルコ
そんなことテメェに関係ねぇ。
リカルドの考えなんか知ったことかよ。
天野勇二
随分と冷たいじゃないか。
アイツはお前の頼れる相棒だろう?
いや、正確にはこうか。
アイツはお前の……。
マルコ
マルコが両手を広げて叫ぶ。
マルコ
この
テメェ何者だ。
何を考えてやがる。
どこの国の人間だ?
天野勇二
どこの国?
何を言っているんだ。
俺はただの
マルコ
そんなもん信じられるか。
なぜ外務省の
アイツは本物なのか?
お前だけが偽物なのか?
2人してオレをハメるのか?
おい何か言えよバンビーノ!
天野はおどけるように両手を上げた。
天野勇二
そんなに怯えるな。
俺は『パレスチナ』でも『イスラエル』でもない。
ましてや『アメリカ』の人間でもない。
ただのハメられた
『
マルコが困惑の表情を浮かべる。
天野は「クックックッ…」と嫌らしい笑みを浮かべ、偉そうに言い放った。
天野勇二
お前は『マルコ』じゃない。
正しい名前は『リカルド・ヴェレーノ』。
ホテルから逃げ出したのは『影武者』だ。
つまり、お前こそが『
23,580
まさかの国際問題を絡めた『毒殺編』もそろそろクライマックスを迎えます。
天野くんとマルコ(リカルド?)がどのように対峙するのか。
レイチェルは事件にどう絡んでいるのか。
リカルド(影武者?)はなぜホテルを飛び出したのか。
そして、涼太はこのまま死んでしまうのか……。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
ではでは、いつも応援やコメント、本当にありがとうございます!\( 'ω')/
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