はじめに
文系の皆さんがAI人材になるためのノウハウを投稿していきます。AIの技術が発展するにつれわたしたちの職業も失われていく中で,どうすればいいのかを考えていきましょう。
5つの「共働きスタイル」
実務現場でのAI活用が進むにつれて、人とAIのさまざまな分業のスタイルが生まれてきます。すべての業務がAIによって取って代わられるわけでもないですし、すべての業務を人だけで完結させていけるわけでもありません。人とAIがそれぞれどの領域で仕事を任し任されていくのかを、業務ごとでパランスをとっていく必要が出てきます。人とAIの分業パランスを、うまく業務内で設計できるかどうかが今後のビピジネスや店舗の生産性につながっていくのです。
人とAIの分業スタイルは大きく次の5パターンに分類することができます。
- 人だけで仕事をする「一型」
- 人の仕事をAIが補助する「T型」
- 人の仕事をAIが拡張する「O型」
- AIの仕事を人が補助する「逆T型」
- 人の仕事をAIが完全に代行する「I型」
今回は共働きスタイルの中から「一型」「T型」「O型」を紹介します。
人だけで仕事をする「一型」
人とAIの分業は「人中心」なのか、もしくは「AI中心」なのかによってスタイルが分かれます。「一型」(漢数字の一型)は、AIに頼らず人だけで仕事をする従来通りの変わらない仕事になります。たとえば、次のような仕事と
なります。
- 管理業務
- クリエイティブ業務
マネジメント経営業務といった、人を管理したり会社を経営したりする「管理業務」やデザインや各種創作を行なう「クリエイティプ業務」が「一型」の業務の代表例です。
これらの業務の一部については、間接的にAIが補助をする可能性もないわけではありませんが、AIに頼らずに人だから こそ生み出せる価値を提供しやすい仕事といえます。
人の仕事をAIが補助する「T型」
人を表す横棒をAIが下から支える形を表したのが「T型」の分業スタイルになります。T型」ではもともと人が行なっていた業務を、AIが一部を代行・補助してくれます。T型の分業スタイルに当てはまるのは、次のような業務になります。
- 接客業務 → 店舗接客業務
- 営業業務 → 不動産営業、保険営業、法人営業
- 教育業務 → 学習指導業務
- 企画・執筆業務 →ライティング業務、企画業務
- ソーシャルワーク業務 →介護業務、社会福祉業務
このようなT型の分業スタイルにおいては、業務を行なう際に人とAIの関わりが増え、人がAIについて知識をもっているかどうかで業務効率化が変わってきます。T型に該当する業務に関わる人が、AIが何が得意で何が不得意か、AIはどのようにできているのかをある程度理解しておくことで、AIを使って自分の業務をより効率化できるようになります。
店舗の接客を例にしてみましょう。たとえば、アパレル店舗でAIを搭載した接客用のディスプレイ端末が導入されたとします。お客様の対応をAI搭載のディスプレイ端末が代行することで、お客様が探しているアイテムを見つけ出し、過去の購入履歴から推薦することができるようになるかもしれません。ただし、AIによる接客対応だけでは、お客様全員が100%の満足を得ることはきっとできません。
たとえば、あるお客様は馴染みの店員の意見を聞きたかったり、会話を楽しみながら買うものを決めたかったりすることもあるでしょう。お客様に対してAIがどのような接客ができて、どのような接客ができないかを人である従業員が十分に理解をすることによって、AIに接客代行してもらう部分と、人によって接客を手厚くすべき部分を振り分けてコントロールすることができるようになります。
AIを知りAlをコントロールすることで、よりT型の分業が力を発揮するのです。
人の仕事をAIが拡張する「O型」
人がもともと行なっていた業務を代行·補助するのがT型の分業スタイルでしたが、「O型」は人がもともとできないことをAIが拡張してくれるスタイルになります。Oの文字では、人の業務の中にAIが入ってくることによって、できることの範囲が広がるイメージが表されています。
人の仕事をAIが拡張する「O型」の代表的な業務は次の2つです。
- 高度な専門業務 → 医療業務、看護業務、弁護士業務、会計士業務
- 予測分析業務 → トレーダーやアナリスト、マーケティング分析業務
人間の仕事を拡張してくれるという点で、すでにさまざまな事例も出てきているのが医療業務です。画像診断をより高精度にする事例では、医師の判定よりもAIによるがんの検出率が高くなったり、アルッハイマーの疑いがどれくらいあるかを脳の収縮状態をAIによって判断するケースがあります。
また、生活習慣病をAIによって事前予測したり、インフルエンザの流行をAIで事前予測したりと、医療従事者の業務を拡張するような事例も多く出てきています。
また、弁護士業務を拡張するケースもあります。数えきれない過去の裁判の判例をAIがインプットし、今回の裁判のケースではどのような展開になるのか、何がキーになるのか、判決がどうなるかを予測するなど、弁護士やその助手の仕事を拡張することもできるでしょう。
「O型」のスタイルでAIと向き合う場合、まず人が何ができて何ができないかを把握します。次に、人ができないことのうちで、
「AIによってできるようになることは何なのか?」
「AIによってできるようになることで価値が大きく上がることは何か?」
を見つけ出しましょう。業務や業界における深い知識と、AIの基礎知識を掛け合わせることで、現在の業務に大きな変革をもたらすことができるようになるでしょう。
AIが人を拡張するO型においては、AIのことしかわからないAIの専門家だけではAI活用度を上げることが難しいです。高度な専門業務は、深い業務·業界知識がないとまっとうできない難易度の高い業務領域だからです。
そのような理由から、深い業務·業界知識があり、またAIの知識も保有する文系AI人材がAI活用度を引き上げる鍵になるのです。これは、「予測分析業務」においても同様です。既存業務知識を保有するビジネスマンが、AI利用を牽引するのです。
次回は「逆T型」・「I型」について書いていきます。