天野は倒れてしまいました。
彼の代わりに犯人を探し当て、事件の真相に辿り着くことを願います。
☆緊急告知☆
『天才クソ野郎の事件簿』がcomico漫画になります!
6月28日(水)より連載開始!
作画は『ぼく りゅーちゃん!』でお馴染みの篠月梟太郎先生! 読んでください!ヽ(*´∀`*)ノ.+゚
小谷野小太郎
……もう……手遅れだ……。
川島くんは、死んでる……。
小谷野は深くため息を吐いた。
もう手遅れだ。
死んでいる。
そう判断できる材料は目の前にあった。
川島の胸には刃物の柄。
そこを中心に真っ赤な液体が流れ、地面を赤く濡らしている。
刃物の長さは不明だが、心臓を一突きされれば、どんな人間でも死に至る。
天野勇二
くそっ。
落ち着け。
天野は頬を強く叩いた。
パニックを飲み込む。
冷静になるよう努める。
すぐさまスマホを取り出した。
天野勇二
圏外か。
前島、どうだ?
前島も自身のスマホを見つめ、涙目で首を横に振る。
天野勇二
ダメか。
まいったな。
どうやって警察を呼ぶべきか……。
天野は川島の顔を見つめた。
苦しげに
目立った外傷は見当たらなかったが、
天野勇二
あれは、なんだ……?
真っ赤に塗り潰された印だ。
川島の血液によるものだろうか。
それとも殺した後、何らかの塗料で描いたのだろうか。
天野勇二
(詳しく調べたいが、これは間違いなく『殺人事件』だ。手を出さずに現場を保存すべきだろうな……)
天野はそう判断すると、全員に尋ねた。
天野勇二
最初に死体を発見したのは誰だ?
宇佐美が震える口を開いた。
宇佐美梨花
わ、私です……。
川島さんも奥田さんもすぐに湖へ行っちゃって……。
木嶋ちゃんと別荘に残っているのが、怖くなったんです……。
そしたら……。
天野勇二
川島を見つけて悲鳴をあげた。
その後に小谷野が来た、ということか?
小谷野は重苦しく頷いた。
天野勇二
俺と前島、そして宮内は3人で行動していた。
俺たちのアリバイはある。
つまり……。
宇佐美と木嶋を厳しい目で睨む。
天野勇二
お前らが殺したのだろう?
なぜ川島を殺した?
動機はなんだ?
木嶋が慌てて首を横に振る。
木嶋彩乃
こ、殺してません!
そんなことしませんよ!
天野勇二
小谷野が川島を殺すなんて考えられない。
犯人はお前らしかいないんだ。
宇佐美がすぐさま反論した。
宇佐美梨花
私たちが湖に来たら、もうすでに殺されていたんですよ!?
あなたたちのほうがずっと怪しいわ!
天野勇二
そう思うのも当前だろう。
だがな、小谷野も『俺たちが川島を殺した』とは考えていないはずだ。
民主主義に則れば、お前らが犯人で決まりなんだよ。
天野は鬼の形相を浮かべ、全身から殺気を放っている。
天野勇二
まず気になるのは『凶器』だ。
この刃物は俺たちが用意したものではない。
川島の胸元を指さす。
天野勇二
お前らの荷物は不自然に多かった。
山で夜を明かすのが前提の量だ。
その中に凶器を隠していたんだろう?
悪いが調べさせてもらうぞ。
宇佐美は慌てて口を開いた。
宇佐美梨花
嫌よ!
なんの権利があってそんなことするの!?
天野勇二
無論、お前らが犯人として疑わしいからだ。
宇佐美梨花
嫌!
絶対に嫌よ!
天野勇二
グダグダとやかましい女だ。
俺様は女だろうと遠慮なく殴るぞ。
宇佐美梨花
殴りたければ殴れば!?
そんな脅しには屈しませんから!
天野と宇佐美が言い争っていると、木嶋が震える声で言った。
木嶋彩乃
……教祖様が……。
教祖様がやったのよ……。
そうだわ……!
そうに決まってる……!
教祖様が
天野はその声を冷静に捉えた。
宮内も同感だったようだ。
宮内圭吾
そ、そうだ……。
その可能性がある……。
俺たちの知らない『第三者』が、この別荘付近に潜んでいるのかもしれない。
それに……。
慌てて周囲を見渡した。
1人足りない。
宮内圭吾
イベリコは……?
どこに行ったんだ……?
その声を聞き天野たちは青ざめた。
湖に向かったはずの奥田がいない。
あの悲鳴を聴けば飛んでくるはずだ。
天野は冷静に言った。
天野勇二
一旦、全員で別荘に戻るぞ。
川島をそのまま残し、天野たちは小走りで別荘に戻った。
別荘から湖までは一本の道しかない。
徒歩1分ほどの道だ。
別荘には明らかな変化が訪れていた。
前島悠子
そ、そんな……。
なんですかこれ……!?
バーベキュー道具や食材は荒らされ、ほとんどが地面にぶちまけられている。
別荘の壁には何かのマークが描かれている。
真っ赤な『丸い印』。
川島の額にあったものと同じ形だ。
そして別荘の入り口の前に、川島と同じように心臓付近にある刃物の柄を押さえ、ピクリとも動かない奥田の身体があった。
宮内圭吾
……奥田!?
宮内は誰よりも早く駆け寄った。
宮内圭吾
ウソだろ!
奥田!
な、なんでだよ!
奥田の胸にも真っ赤な液体が溢れている。
宮内は奥田の脈と瞳孔を確かめると、絶望に満ちた声を吐いた。
宮内圭吾
ダ、ダメだ……。
し、死んでる……。
ウソだ……!
こんなのってあるかよ!
宮内は涙をボロボロ流しながら、宇佐美と木嶋に叫んだ。
宮内圭吾
おい!
お前らがやったのか!?
なんでだ!?
奥田にはこれから子供が産まれるんだぞ!
なんで奥田を殺したんだ!?
天野は冷静に奥田の顔を見つめた。
奥田の額にも『丸い印』がある。
川島と同じものだ。
宇佐美梨花
殺してないわ!
誰も殺してない!
私たちは何も知らない!
宇佐美が涙目で叫ぶ。
木嶋がうつろな瞳で呟いた。
木嶋彩乃
……やっぱり……。
教祖様なんだわ……。
狂ったように叫ぶ。
木嶋彩乃
蘇ったんだ!
教祖様が蘇ったのよ!
宇佐美梨花
き、木嶋ちゃん!
落ち着いて!
木嶋彩乃
教祖様よ!
教祖様がついに帰ってきてくれたんだわ!
天野は木嶋を無視して周囲を見渡した。
別荘付近に人の気配は感じられない。
天野勇二
(こんな短時間で、男2人を刃物で即死させただと? ありえない。人間業じゃないぞ)
状況から推測される犯人は『宇佐美と木嶋』。
もしくは森に潜む『第三者』。
どちらかしか考えられない。
前島悠子
し、師匠!
この隙に、荷物を!
前島が宇佐美たちの荷物を指さす。
天野は迷うことなく2人の荷物に飛びついた。
宇佐美梨花
あっ!
ちょっと!
やめてよ!
何すんの!?
天野勇二
うるさい。
黙れ。
宇佐美の手を振り払い、荷物を確かめる。
ほとんどが衣服など。
しかし、リュックの奥には、決定的な異物が隠されていた。
天野勇二
おい……。
この『刃物』はなんだ?
天野は刃渡りの長い包丁を取り出した。
1本どころではない。
4本も入っている。
心臓を貫くことも可能な長さだ。
宇佐美は「ふぅ」と重い息を吐いた。
宇佐美梨花
……殺すためよ。
天野勇二
なんだと?
やはりお前が殺したのか?
宇佐美梨花
違うわ。
諦めたように言葉を続ける。
宇佐美梨花
私と木嶋は
それは蘇った
蘇った教祖は2本の刃物で、2つの心臓を刺して殺す必要がある。
そのために用意したの。
天野勇二
なるほど。
お前らは初めからこの別荘に泊まるつもりだった。
買われているとは知らなかったのか。
宇佐美梨花
そうよ。
今日は教祖の『命日』なの。
教祖は『救済』を与えると、湖に死体を引きずり込んであの世に送る。
その前に教祖を殺し……
そこまで言った時、ジャボンという大きな音が、湖から聴こえた。
何かが飛び込んだような音だ。
木嶋彩乃
ああああッ!
教祖様!!!
木嶋が狂ったように叫び、走り出した。
木嶋彩乃
ずっとお待ちしておりました!
私を
宇佐美梨花
ま、待って!
ダメよ!
行っちゃダメ!
宇佐美が2本の刃物を持ち、木嶋の後を追いかける。
全員がその後に続いたが、天野はこっそり宇佐美たちの荷物に手を伸ばし、刃物を1本拝借した。
そして、刃物の構造に驚いた。
天野勇二
ど、どうなってやがる。
これじゃ
とりあえず懐に隠し、急いで木嶋たちを追いかける。
全員は湖に向かっている。
追いついた天野は更なる変化に仰天した。
川島の身体が消えている。
木嶋彩乃
教祖様!
私はあなたを信じておりました!
木嶋は迷うことなく湖に入り、中心に向かっていく。
宮内圭吾
ダメだ!
行くな!
戻れ!
宮内が必死に叫ぶ。
木嶋は狂ったように叫び、走り続ける。
木嶋彩乃
教祖様!
教祖様!
教祖様!
教祖様!
教祖様!
教祖様!
教祖様ぁっ!
木嶋の身体が湖に沈んだ。
何かに引きずり込まれるように、一気に湖の底へ消えていった。
天野たちはそれを呆然と見ることしかできなかった。
宮内圭吾
お、おい、何かに、引っ張られなかったか……?
宇佐美梨花
きょ、教祖が、引きずり込んだの……?
宮内と宇佐美は顔を合わせて震えている。
小谷野の顔も真っ青。
ガタガタ小刻みに震えている。
まだ木嶋は浮かんで来ない。
天野勇二
なぜ浮かばない……?
湖の中に誰かがいるのか……?
そして、なぜ川島の遺体が消えている……?
川島の身体があった周辺を探してみるが、真っ赤な液体が残っているだけだ。
何かを引きずった形跡もない。
まるで川島の身体だけが、すっぽり消失してしまったかのようだ。
そして、木嶋はまだ浮かんで来ない。
宮内圭吾
ど、どうする……?
天野、湖に行くか……?
宇佐美梨花
ダ、ダメよ!
教祖は殺して湖に引きずり込むのよ……!
あの湖の先に、極楽がある……!
木嶋が沈んで10分ほどの時間が経過した。
天野は奥田のことが気になった。
奥田のことも置き去りにしている。
天野勇二
違和感がある。
別荘に戻ろう。
天野がそう言うと、他の4人は黙って従った。
別荘に戻ると、そこでも異変が発生していた。
奥田の身体が消えている。
こうなると間違いなく、この場にいない『第三者』の犯行ということになる。
宮内圭吾
奥田も消えちまった……。
川島と同じだ……。
な、何が、どうなってるんだよ……?
俺は夢でも見てるのか……?
宇佐美梨花
教祖様だわ……。
宇佐美が震える口を開いた。
宇佐美梨花
教祖様が殺したとしか考えられない……。
あの『丸い印』を見て……。
別荘の壁に描かれた『赤く塗りつぶされた印』を指さす。
宇佐美梨花
死体の額にも『丸い印』があった……。
あれは
そして教祖は自分が殺した人間の額に……。
ガタガタ震えながら自分の体を抱きしめる。
宇佐美梨花
あの『丸い印』をつけることになってるの……。
ああ、なんてこと……!
確かに奥田と川島の額には『丸い印』が残されていた。
天野は奥田が倒れていた場所を見つめた。
何かを引きずった形跡はない。
こちらもまるで奥田だけが消失してしまったかのようだ。
前島悠子
し、師匠……。
どうしましょう……?
前島が涙目で尋ねた。
前島悠子
警察に連絡しないと……。
だけどここは圏外だし……。
誰かが、山を下りますか……?
天野勇二
いや、その必要はないだろう。
前島を軽く制すると、
天野勇二
少し1人にさせてくれ。
気になることがある。
天野は立ち上がって湖に向かった。
前島が慌てて声をかける。
前島悠子
わ、私も行きます!
天野勇二
ダメだ。
ちょっと調べるだけだ。
1人にさせてくれ。
前島悠子
で、でもぉ……!
天野勇二
言うことを聞け。
いいな。
絶対に誰も来るなよ。
天野は1人で湖へ向かった。
残された宮内と小谷野と宇佐美は、困惑して顔を見合わせた。
小谷野小太郎
……ど、どう……する……?
宮内圭吾
天才クソ野郎の行動は読めない。
ちょっと様子を見よう。
宮内がそう言った時だった。
ぐあああああああッ!
湖から大きな悲鳴が聴こえた。
天野の悲鳴だ。
前島悠子
師匠!?
前島たちは急いで湖に走った。
そして、湖の入り口に倒れている天野の姿を見て、全員が仰天した。
心臓付近には刃物の柄。
そこから大量の真っ赤な液体が流れている。
前島は誰よりも早く駆け寄り、天野の身体を抱きしめた。
前島悠子
師匠!
イヤです!
しっかりしてください!
天野は口から「ゴボッ」と赤いものを吐き出すと、最後の力を振り絞るように言った。
天野勇二
油断した……。
あ、あいつだ……。
その言葉を最後に、天野の身体から力が抜けた。
前島悠子
師匠!?
そんな!
こんなのイヤです!
死なないでくださぁい!
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天野は倒れてしまいました。
彼の代わりに犯人を探し当て、事件の真相に辿り着くことを願います。
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