2020.4.30 2021.8.1
MBAとMOTの違いとは?基本知識と選択基準をわかりやすく紹介
574 PV

国内MBAというキーワードで検索していると、MOTという単語が出てきたことはありませんか。
本コラムでは経営学を学びたいと考えている方に、MBAとMOTの違いをご説明します。
今回はMBAとMOTの違い、基本知識と選択基準についてご紹介いたします。
MBAとMOTの違いとは
MBAとMOTの違いについて見ていきましょう。
MBAとは?
MBAとはMaster of Business Administrationの略で、日本語に訳すと「経営学修士」もしくは、「経営管理修士」と呼ばれる学位です。
この学位は、経営学の大学院修士課程を修了すると授与されます。
MBAで学ぶ内容は、経営学に関する全般的な知識です。
具体的には「経営戦略、マーケティング、組織論、組織行動学、アカウンティング、ファイナンス、オペレーションマネジメント、生産管理、情報マネジメント、経済学、統計学」など、企業経営をしていく上で必要となる科目を学びます。
このように経営学全般に関することを学ぶため、MBA修了後は経営者、起業家、コンサルティング・ファーム、ベンチャーキャピタル、投資銀行などに就業する方も多いです。
パートタイムMBAと呼ばれている働きながら通うビジネススクールの場合にはそのまま同じ会社で働き続ける方もいます。
MOTとは?
MOTとは、Management of Technologyの略で、日本語に訳すと「技術経営修士号」と呼ばれる学位です。
MOTでは技術力をベースにし、研究開発の成果を商品・事業に結び付け、経済的価値を生み出すための経営管理手法を学びます。
技術をベースにした新たな価値創造ができる戦略的な人材を育成することを目的としています。
MOTで学ぶ内容は、MBAと重複する部分が多いのですが、「技術をベースにした人材育成」という点が異なるポイント。
クリエイティビティが高く、技術者向けのカリキュラムが用意されています。
「技術と市場ニーズを結びつけるマーケティング手法・リスク管理手法、新たな技術を用いたビジネスモデル構築方法、創造力の育成法」といった点がMBAよりも重視されています。
MOT修了後は、技術者を束ねる研究開発部門のリーダー(候補)、技術系のベンチャー企業の経営者、技術系ベンチャーの起業などの実務に従事する方が多いです。
No | 学校名 | 入学条件など |
---|---|---|
1 | 早稲田大学大学院経営管理研究科(WBS) | 夜間主総合・夜間主プロフェッショナル マネジメント専修/ファイナンス専修: 4年制大学卒業後、3年以上の実務経験がある方。 ※この他にも全日制のプログラムがあります。 |
2 | 東京工業大学環境・社会理工学院技術経営専門職学位課程 | 実務経験のある社会人及び、大学及び大学院修了見込みの学生 |
3 | 東京農工大学大学院工学府産業技術専攻 | 社会人及び学部卒(実務経験3年以上は上長推薦により特別選抜枠)。 企業の経営企画、技術戦略、管理、知的財産管理者等。産業化学政策、経営、技術コンサルタントを目指す者、起業家 |
4 | 日本工業大学大学院 技術経営研究科技術経営専攻 | 学部卒後5年以上の実務経験を有する者。 中堅・中小企業の経営者及びその後継者。 新事業・プロジェクトの立ち上げ、マーケティング担当者。 社内又は個人の起業家・起業予定者 |
5 | 山口大学大学院 技術経営研究科 | 経営者、CTO予備軍、イノベーションを目指す地域人材 |
6 | 九州大学大学院経済学府 産業マネジメント専攻 | 実務経験2年以上の方 |
7 | 関西学院大学 経営戦略研究科 経営戦略専攻 | 4年制大学卒業後、3年以上の実務経験がある方。 (4年制大学を卒業されていない方への入学資格審査制度あり。) |
MBAとMOTの違いは、事業創出プロセスにおいてどこに力点を置き学ぶか
ここまでMBAとMOTの学び、キャリアへの活かし方の違いを説明しましたが、次は、MBAとMOTの違いを根本的に説明します。
この2つの違いを説明するには、企業活動の肝である「事業化」(商品化)を例に挙げてみましょう。
事業化について4つのステージに分けて整理すると、「研究」→「開発」→「事業化」→「産業化」となります。
「研究」を進めて技術シーズを市場ニーズに結び付け、具体的な製品の構想(イメージ)ができなければ「開発」ステージに進めません。
「開発」ステージに進んだものを製品として仕上げ、適切な経営資源を配分し、製造・販売して売上までつなげられなければ「事業化」ステージには至りません。
「事業化」を成功させるためには、競争優位性を構築し、多くのライバル企業と生き残り競争に勝つ必要があり、これが実現できなければ「産業化」ステージには到達できません。
新規事業創出の成功確率が低いといわれる理由は、このプロセスの困難さにあります。
各ステージへの移行時の障壁を乗り越えていく不確実性の中で、いかに成功への確度を上げていくか? その方法論を学ぶのがMBAであり、MOTなのです。
極論すると、上記ステージの中で、MBAでは「事業化」、「産業化」ステージでの経営管理手法を学ぶことが中心になります。
MOTでは「事業化」を意識しながら、「研究」「開発」ステージでの経営管理手法を学ぶことが中心になります(ただ、「事業化」「産業化」ステージを学ばないということではありません)。
以上のように、事業創出プロセスにおいて、どのプロセスに力点を置いて経営学を学ぶか、というのがMBAとMOTの違いだと言えるでしょう。
自分が重きを置きたいフェーズに合わせて選択しよう
MBAとMOTでは同じようなことを勉強したり研究することも多いですが、自分が重きを置きたいフェーズに合わせて選択することがおすすめです。
MOTを学べる学校の方がMBAと比べると少ないため、学生の数も少ない学校が多いのが特徴でもあります。
RECOMMEND
-
2020.2.26
国内MBAは役職なしで入学可能?入学者の属性データを紹介
-
2019.4.1
MBA ( 経営学修士 ) は 起業 、ベンチャー 経営 に役立つのか
-
2020.8.30
コンサルティングファームに業界未経験で転職するために必要なスキルとは
-
2021.2.12
名古屋商科大学ビジネススクール(NUCB)の授業内容や評判、卒業生の進路先とは
-
2021.5.10
グロービス経営大学院の授業内容や評判、卒業生の進路先とは
-
2020.1.25
国内MBAの倍率から見る難易度と、人気大学院合格に必要な勉強期間とは
-
2021.9.24
転職の際に給与交渉は行うべきかどうかについて解説
-
2020.6.8
MBAはもう古い?欧米で注目のハイパーフォーカスマスターについて解説