宇都宮大学側(手前)に説明を求める「軍学共同反対連絡会」の人たち=2021年12月10日、宇都宮市陽東7丁目、中野渉撮影

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 宇都宮大が今年度の防衛装備庁の公募に応じて研究助成対象に選ばれたことに対し、科学者の軍事研究を問題視する市民団体「軍学共同反対連絡会」は10日、中止するよう申し入れた。

 大学側は「軍事利用の研究ではないと判断したもので問題ない」と回答した。

 宇都宮市の同大学を訪れて抗議したのは、連絡会の小寺隆幸事務局長(元京都橘大教授)ら研究者4人。

 宇都宮大は今回初めて選ばれた。研究テーマは「グラフェン被覆アルミ粉末からなる高熱伝導焼結合金の界面設計」というもので、熱伝導性が高く強度なアルミニウム合金の創出などをめざすとしている。防衛装備庁のテーマ「耐熱技術に関する基礎研究」として採択された。研究期間は3年間で予算配分額は最大で計3900万円。

 連絡会は、研究テーマが極超音速飛翔(ひしょう)体やジェットエンジン、通信機器など広い分野で活用される可能性があると指摘している。

 連絡会の一行はこの日、極超音速飛翔体は米ロ中などが開発にしのぎを削っている最新鋭兵器で、「将来そのような兵器に応用されても貴学には責任はないと考えるか」と見解をただす申入書を手渡し、応募した経緯や学内での審査状況などを尋ねた。

 これに対して大学側は、2019年にまとめた「軍事研究に関する基本方針」などに基づいて学内の審査委員会が審査し、公開性が担保され基礎研究であることから「戦争を目的とした研究ではない」などの基準をクリアしたため申請を認めたと説明した。

 対応した塚本英則学術研究部長は「経費の申請は研究者が判断するもの。審査委員会に適正だと認められたので申請された。軍事研究と判断すれば大学として認めないことになる」と話した。(中野渉)