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悪堕ち〝元〟魔法少女は怠惰な日常を変えたいみたいです。 〜 毎日毎日しっぽりだけでは流石に飽きてしまいますの 〜 作者:ちむちー

第1章【導入編】

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この虫野郎ッ!!

 


「私、最近すっごく暇なのでございます」


「……お、おう?」


 ようやく本題に入れましたわ。


「この暮らしに慣れてもう2年、いや3年ほど経ちますでしょうか。代わり映えのない生活に飽き飽きしているのです。退屈すぎて鬱になってしまいそうです」


 起きて、食べて、喰べて、寝て、そしてまた眠っての繰り返しです。毎日微々たる変化こそありますが、希望の流れはこれからブレることはありません。勿論分かっているとは思いますが、似たようなワードがあるのは故意ですからね。


「あー、またこの話か」


「またとはなんですの!? 死活問題なんですよ。女とは、絶えず変化がなければすぐに老いさらばえ萎え縮んでしまう、朝顔の如き儚くか弱いモノなのでございます」


「いや、朝顔は水と光あげてりゃ勝手に育つし……。お前はどちらかっていうとほら、回遊魚のマグロみたいなもんだろ。止まると息できなくなるから寝ながら泳いでるってやつ」


「なんですって!? 誰よりも麗しく献身的なこの愛奴めをマグロ呼ばわりとは、まったく失礼な主様ですわ。よりにもよって女性相手にマグロだなんて! ゲス野郎にも度が過ぎますわ」


「いや、そういう意味でいったわけでは」


「冗談です」


 あー、楽しい。


 私はマグロはマグロでも冷凍マグロの方ではございません。後々で美味しく調理される採れたて新鮮なナマモノにございます。私は自分から動くのが好きですし、受身より献身が信条の一つですから。


「ともかく私が言いたいのは、この生活には娯楽があまりにも少なすぎる、ということなのです」


 脱線させたのは申し訳なく思いますが、この会話だって立派な私の暇つぶしなのです。戯言の一つや二つ挟まないではやっていられません。


 私の言葉に、総統の頬杖がより深くなられました。


「……まぁ、お前の言いたいことも分からないでもないよ。つってもなぁ。そんなこと言ってくるのお前くらいのもんだからなぁ」


 それは何となく察しております。


「皆様それぞれお忙しいようですし」


 同じ社員寮の怪人さんは一日の大半は外回り営業で忙しいのでそもそも暇はおろか絶えず休みを求めていらっしゃるでしょうし、

 反対に寮から出ない大抵の〝元〟の皆様も、暇を感じる余裕もないほど昼夜関係なく器械体操に勤しんでいらっしゃるでしょうし。


 私も毎日獣のように盛っていられれば楽しく過ごせるのでしょうが、生憎私はそう単純にはなれそうにないのです。ある意味私のこれも一種の賢者タイムのようなものなのでしょう。

 たしかに肉欲に溺れることは簡単ですが、溺れれば溺れるほど反動で理性の岸辺に上がってしまう性でして。



「会ったときから思ってたんだけどさ、ブルーってホント難儀な奴だよな。他の奴みたいにもっと開放的になればいいのにって言ってやりたいもんけど、それがお前にとっての自由なんだもんな」


 少し困ったかのような顔でこちらを見てくるので、私も同じ顔で微笑みを返します。


「ええ。ご主人様こそとっくの昔にご存知でしょう」


「ああ、それはそうなんだがな。ふむ」


 なんでしょう。ご主人様にも何か思うことがあるのでしょうか。


「そうは言っても、お前だってこの生活気に入ってるんだろう? ほら、この前だって聞いたぞ。カマキリ怪人との話」


 気に入っていないと言えば嘘になります。といいますかその話題、もう総統の耳にまで届いていらっしゃるのですね。

 まぁ無理もないでしょう。まさかあんな展開になるとは思っていませんでしたし。


「あ、その話題触れてしまいます? よろしいんですの? 話長くなりますが」


「なんかあったのか」


 誰かに話したかったのですが、ご主人様に聞いていただけるのなら、思い切ってぶち撒けさせていただこうかと思います。


 すー、ふぅ。深呼吸を一つ。



「……聞いてくださいます!? ガッカリなのですわ! もうあんな粗チン短小虫野郎のことなんて知りませんわ!」


「おうおうどうしたいきなり。何があった」


 聞いてくださいまし。


「カマキリ怪人さんったら、私の隣で物静かにた食べていらっしゃる姿がダンディでグッと来たのに、それでお誘いにお受けしたというのに……その後ときたら、思い返しただけで腹が立ってきますわ。


どうしたもこうしたもありませんの。

何ですのあの方! 自分から誘っておいて!

あんな人だとは思いもしませんでしたわ!

ご自慢の鎌で首刈り傷付け脅しプレイしていただけるかと思いましたのに!


嫌よ嫌よも好きのうちといいますでしょう?

多少傷付くのは覚悟の上です! 

それなのにちょっとこちらが反抗しただけで何ですのあの萎縮ぶり!

途端にビビり散らしてナヨナヨして挙げ句の果てには謝り倒してきて!

まったく心のち○ぽがガン萎えですわ!

私ガツガツ来られるのが好きなのに!

男性オラオラ優位プレイが大好物なんですの!


わかります!?

期待を裏切られたこの乙女の心!

いつだって私は殿方にリードされていたいのですし、ちやほやされていたいのですし、ワイルドで野生なる姿を楽しみにしているのです。


なのに、涙目で部屋の端に縮こまる姿を見せられて、私の心はどうすればよろしいのです!?


どうしてあの方、基本受身プレイなんですの? 腕押さえ騎乗とか久しくやっていないので戸惑いましたのよ!

まして私は虫ではございませんので産卵管など持ち合わせてはいませんし、ちんぐり返しなる体勢で行為を要求されるとは思いもしませんでした。とんだ弩級のドM野郎だったのです!」



 ふぅ、ふぅ……息継ぎする間もございませんでしたので、少々息切れ気味にございます。


「仕方ないだろ、カマキリなんだから。アイツら女性には強く当たれない性なんだよ。ほら、いつだって最後には奥さんに美味しく食べられちゃうんだから」


 冷静なご意見ですわね。ですが、今の私には関係ございませんの。よろしいですか。


「女性優位がカマキリ本来の習性ですって?

そんなの知ったこっちゃありませんの。

期待が無駄になって不完全燃焼で終わるのが一番ムラつきイラつくんでございますの!

私は多少乱暴でも粗雑でも構いませんから、いつだって無抵抗の即入れガン突き希望なんですのッ!!」


 覚悟してくださいまし…ッ! この虫野郎ッ!!

 いつか必ずヒィヒィ言わせる側に立たせてやりますの!


 ふーっ、ふーっ。


 ここまで話してしまうと、溜まりに溜まった他の鬱憤も晴らしてしまいたくなってしまいました。積もる話題は何もカマキリ怪人さんだけではありません。


「はー! これだから昆虫系は!

この前お供したバッタ怪人さんは妙にばぶばぶしておんぶとかねだってきやがりますし。なんですの!?私はママではありません!

ミツバチ怪人さんに至ってはぐうたら私ばっかり動かせて自分は何もしない糞手抜きマグロ野郎でしたし」


「ハチなのにマグロとはこれいかに」


「黙って聞きなさい!」


「あ、はいすみまけん」


「他の方にしてもそうです!

セミ怪人さんは口だけ達者で煩いだけの根暗イキリ引きこもり野郎ですし!

ノミ怪人さんだって……あ、いや、吸血プレイにはちょっと興奮しましたが、それにしたって吸うならもっと分かりやすいところがあるでしょうに何故足首!? 女性には!三箇所くらい!もっと!イイとこ!ありますのよ!」


「俺に言われてもなぁ……。全部改造元の習性が原因だし」


 ふつふつと湧き出る怒りが収まりません。次から次へと言いたい愚痴が飛び出してきます。脳髄が沸騰して頭から湯気が出そうです。


「あー、まぁブルーの言い分もわかったよ。

今度俺がしっかり相手してやるから機嫌直してくれ」


「その言葉を待っておりましたわ!」


「お前…」


 分かればよろしいのです。私は沢山の殿方と致すのが好きですが、そうは言ってもやっぱりご主人様に求められ与えられるのが何よりのご褒美なのでございます。

 抱いていただけるのであれば、損ねた機嫌だってすぐに正座で定位置待機させますわ。


 今すぐですの!? ここでですの!?

 秒で脱げばよろしいのかしら。

 

いつか

まだ俺のバトルフェイズは終了していないぜ!も

HA☆NA☆SEも☆やりたい。

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