特に運用を始めた当初は、利益が積みあがるスピードよりも、含み損が増えるスピードの方が速い 場合がありますが、長期的な運用を続ける前提でのトレード手法ですので、驚かないでいただきたいです。
つきましては、定められたロットで、少なくても3か月間は稼働させて利益を積み上げていただくことを推奨します。
その上で、短期間の含み損の額に一喜一憂することなく、長期的な目線で運用をしていただくことを前提とさせていただきます。
「含み損」ポジションは、時間が経てば自然に利益確定されて決済されるのが基本ですが、長期間残っているポジションについては、一定数の含み損ポジションが溜まったら 自動的にまとめて利益確定して決済する仕組み「中値決済」も取り入れてありますので、長い時間溜まっていた含み損も、 この仕掛けにより一気に決済が進むようにしてあります。
上記の通り、常に含み損ポジションを抱えながらの運用になりますが、 発注ロットをしっかりと守って稼働させていれば、含み損ポジションが運用を危うくする可能性は極めて低くなります。
過去の検証データや実績においては、勝率は基本的には70~80%を維持しております。
20%程度の負けは、中値決済において含み損処理をする際に利益確定と合わせて損失を出すポジションが含まれるためのもので、損失だけを出すことはありません。トータルでプラスの決済の中の損切ポジションがカウントされています。
上記の性質を利用して、トレーダーによっては、裁量トレードなど別の方法で利益を獲得したならば、 その利益と含み損ポジションを相殺する形で含み損処理を進めていただいても良いです。
つまり他のトレード手法で利益が出せるトレーダーは、このEAを併用することで、さらに利益率を高めることも可能です。
●本EAの特徴
1)究極の網掛け方法を自動売買化
『網掛けFX』の中で紹介している発注方法のうち、究極のやり方(※本書の中では発注方法4として紹介)を自動売買化したものです。
予約注文という名の「網」を張って、マーケットの変動を利益にしていくメカニズムはそのままですが、ひとつだけ、ほかの発注方法と明らかに異なる点があります。それは、ひとつのレートで「買い(ロング)」と「売り(ショート)」を両方とも発注する点です。この設定をすることで、マーケットの変動を逃さずに、絶えず利益を積み重ねていくことができます。
この発注方法の特徴をひと言で表すならば、「一番、利益が溜まりやすい」ということになります。
2)利益は溜まりやすいが、含み損も溜まりやすい
ただし、このままでは運用上の問題が出てきます。「買い(ロング)」と「売り(ショート)」を両方とも発注するため、片側(トレンドが出ている側)では「利益が溜まりやすい」一方、その裏側で「含み損も溜まりやすい」という話になるからです。
例えば、10pips間隔で網を張ったとします。極端な例になりますが、その後、買いの方向に100pipsの変動(上昇)があったとします。このとき、買いは100pipsの利益になっています(※話をわかりやすくするため、スプレッドなどの諸経費は考慮してません)が、売りには550pipsの含み損がたまります。
3)中値決済機能付きなので、含み損処理も自動
そこで登場するのが「中値決済」という機能です。溜まった含み損ポジションを“「すべてのポジションの利益確定値の平均値+元々の利益確定幅」に集約すること”によって、すべての含み損ポジションをより早く、そしてすべてのポジションが利益確定になったのと同等の利益の確保を可能としています。
『網掛けFX』を読まれた方には周知のことだと思いますが、このトレード手法には、含み損を処理する方法が複数あります。それらを駆使して、積極的に含み損を解消できるようになることが理想ではありますが、仮に含み損処理がうまくできなくても、この中値決済機能があれば、含み損を自動で処理してくれるので、含み損を抱えるストレスはかなり軽減されます(注:中値決済で処理されるまでは含み損を抱えることになります。また大きなトレンドが発生してしまった場合には、ある程度の期間、耐える必要もあります)。
あとは、この流れの繰り返しです。トレンド方向への利益を重ねつつ、含み損が溜まったら中値決済で処理して、含み損を利益に変換していきます。
4)中長期狙いの全自動FX
『網掛けFX』の中で、再三申し上げているように、この「網掛け」というやり方では、週足でレンジとなっている通貨において、含み損と上手に付き合いながら「中長期ベース」で運用していくことになります。
想定される含み損の最大値はレンジの上限と下限の「差」ですが、マーケットは上げ下げを繰り返しながら変動しますので、その最大値まで一度も含み損が処理されないまま動くことは滅多にありません。レンジの動きをしている限り、常に含み損を抱えるものの、その抱えた含み損以上の利益を積み重ねていきます。長く続ければ長く続けるほど、その効果は大きくなります。
しかも、全自動です。例えば、サラリーマンなど、ほかの仕事をしている人が“副業感覚”で取り組むことも可能です。
5)想定質問
このEAに関する質問を想定して、回答します。
Q1:この網掛けのやり方で、一番、気をつけないといけない点は何でしょうか? 破綻することはないのでしょうか?
(回答)
網掛けFXに限った話ではありませんが、ロットの管理には注意が必要です。適正のロットで運用していれば、50年間のデータで検証しても、破綻することはありませんでした。しかし、過度に大きなロットで運用したときには、破綻する可能性が高くなります。実際、ロットを大きくして望んだところ、当初の投資資金を失ってしまった人もいます。
網掛けFXをしばらく続けてくると、含み損を抱える以上に利益が溜まることがわかってくると思います。このとき、「利益が溜まる」というところにだけ意識を集中してロットを必要以上に上げてしまうと、思わぬ失敗につながることがあります。
そういう意味では、「ロットを上げ過ぎたことに起因する破綻」は、可能性として考えられます。
ただし、普通に運用している限りは、心配しすぎることはありません。このEAでは、時間を味方にしてコツコツ利益を溜めることを目的としています。その意味を汲み取って運用していただければと思います。
Q2:適正のロットはどのくらいでしょうか?
(回答)
『網掛けFX』の書籍の中では、ガイドラインとして、以下のようなロットを提案しています。
投資資金10万円 → 1,000通貨
投資資金100万円 → 10,000通貨
投資資金1000万円 → 100,000通貨
ただし、これは、一番ベーシックな網掛けの場合の理想の数字です。実際は、この手法に慣れるまでは、もっと安全な数字にするべきです(例えば、投資資金50万円で1000通貨取引にするなど)。
加えて、このEAの場合には「両建て」という点も考慮しないといけません。2つのポジションを同時に必要とするので、それだけリスクも高まります。
以上を踏まえて、このEAに限っては、以下の数字をガイドラインとしています。
投資資金100万円 → 1,000通貨(※)
※使用口座のレバレッジが25倍と想定
「破綻しないこと」を目的にしているので、かなりの安全策となっています。
最終的に「ロット数をいくつにするのか」はトレーダー各々の判断になるかと思いますが、上記の数字を忘れずに、投資資金に対して大きすぎないロットで運用していただきたいと思います。
繰り返しになりますが、むやみに発注ロットを大きくしないでください。ひとつひとつのリターンが小さいという理由で、レンジ的な動きを繰り返している場合には、「もっと大きな注文を入れても大丈夫ではないか」と考える人がいらっしゃいますが、それは違います。長く続けるためには、大きく変動したときにでも十分な安全度が保たれていることが大事なのです
Q3:お勧めのFX会社あるのでしょうか? FX会社選びのポイントは何でしょうか?
(回答)
結論から言いますと、「どのFX会社がよいのか」については、固有の名前を挙げて「このFX会社がお勧めです」と、紹介することができません。ご自身で調べていただくことになります。
このEAは、Metatrader4のExpert Advisor機能を使った自動売買プログラムなので、「Metatrader4が使えるFX会社を選ぶ」という大前提のほか、以下の2つのポイントに注意する必要があります。
◎スワップポイント
◎保有ポジション数
中長期狙いの運用ですので、スワップポイントには注意が必要です。できるだけ、スワップポイントの小さいFX会社を選んでください。スワップポイントの比較については、インターネット上の比較サイトを利用するのがよいと考えます。詳しくは、『網掛けFX』のスワップポイントの項目(38~39ページ、89~92ページ)を読んでください。
もうひとつ、保有ポジション数にも注意が必要です。大きなトレンドが出たとき、保有ポジションに制限があると、以下の2点で問題になってきます。
A:トレンド方向の新規ポジションを作ることができない
B:不利なレートで中値決済されてしまう
「A」について。トレンド方向へのポジションを作ることができないのであれば、機会損失につながります。思惑通りに変動したとしても、(その部分に)注文を入れることができないので、“取れるはずのリターン”が取れない状況になるのです。
「B」について。保有ポジション数に制限があると、中値決済にも影響が出てきます。例えば、10pipsの網掛けだとして、あるFX会社の保有ポジション数が「10個」だとします。このとき、大きな上昇トレンドが出て、11個目以上のポジションが取れないとしたら、このときの中値決済は「④」のところになってしまいます(なぜ「④」になるのかは、中値決済のところで説明済み)。
ところが、保有ポジションに余裕があると話は変わってきます。仮に20個のポジションを保有したときには「⑨(この例では、売りポジションに含み損が出るので、中値は「⑩(20÷2)」のところですが、決済は中値からひとつ下のポジションである「⑨」となります)」、30個の保有ポジションを持ったときには「⑭」というように、現在のレートにより近いところで決済されます。
以上の話は、やや極端な例ではありますが、似たような状況は起こりえます。したがって、保有ポジション制限には注意を払う必要があります。「FX会社 保有ポジション数」で検索すると、調べることができると思います。
このあたりの話は、実際にトレードしてみないと理解するのが難しいかもしれませんが、とにかく「保有ポジション数には余裕を持たせる」と覚えておいてください。
Q4:お勧めの通貨ペアはありますか?
(回答)
週足でレンジになっていて、値動きもあるならば、どの通貨を選んでも構いません。
やりやすい通貨は人によって変わってきますので、具体的な通貨ペアを推奨することはできませんが、『網掛けFX』の中で紹介しているユーロ円などは、比較的やりやすい通貨ペアではないかと思います。
「週足 レンジ 通貨ペア」などで検索して、最終的には、ご自身で決めていただければと思います。
Q5:書籍の中に出てくる「最大含み損失額」とは何でしょうか?
(回答)
週足でのレンジの上限と下限の差が「最大損失額」です。仮に、上限と下限の差が1000pipsあるのであれば、1000通貨で取引するときには、最大で「1万円」の損失額を抱えることになると認識しておく必要があります。
もちろん、ロットが増えればそれだけ、最大損失額も大きくなります。この例の場合、仮に2000通貨で取引するのであれば、2万円の最大損失額を想定しておく必要があります。同様に、3000通貨であれば、最大で3万円の損失額を考えておく必要があります。
Q6:含み損を抱えるのは心配なのですが……。
(回答)
網掛けFXの特徴は、「時間を味方につける」ところにあります。長期的に運用を続けていますと、利益が積み重なっていくのに対し、含み損失額は、途中から増えにくくなります。週足のレンジ幅に相当する含み損失額(=想定される最大損失額)に近いところで安定する状態となります。
その後、マーケットが週足のレンジ幅を 1往復半分変動すれば、その変動によって獲得できる利益が、最大含み損失額と同等程度になるのです。
つまり、レンジ幅を1往復半すれば、利益額が含み損失額をカバーするので、その後の獲得利益は純粋に資産の増加につながるのです。
したがって、必要以上に含み損を怖れることはありません。
Q7:中値決済機能があれば、含み損対策は必要ないでしょうか?
(回答)
結論から言うと、そんなことはありません。含み損対策(書籍にて解説)については、対応の幅が広がるという理由から、勉強しておくほうが絶対に有利です。
例えば、100pips程度の値動きの範囲であれば、中値決済機能で含み損を自動的に処理できる可能性が高まりますが、指標発表等、何らかのイベントがあって、200pips、300pips、あるいはそれ以上レートが動くケース(大きなトレンドが発生するケース)は、当然、考えられます。
このとき、含み損対策を駆使できれば、ストレスを溜めることなく、相場に立ち向かえます。
大きなトレンドが発生してしまった場合、仮に中値決済だけで対応しようとするならば、その保有ポジションが決済されるまで、数カ月単位の期間を要することもあり得ます。決済されるまで資金も拘束されますし、何より、長期にわたって大きな含み損を目の当りにするのは苦痛が伴うでしょう。
その意味からも、含み損対策は学んでおいたほうがよいと考えます。
なお、仮に含み損が大きくなったことで怖くなり、途中で損切りしてしまったとしても、その後、この網掛けの特長を生かすことで(=コツコツ利益を積み重ねていくことで)、損失分を取り戻すことは十分可能です。
もしも、含み損対策が難しいのであれば、思い切って、少額(あるいは、許容できる損失額)のうちに損切りして、いったん白紙の状態に戻してから再スタートを切るのも、ひとつの戦い方だと思います。
このあたりは、個々人の考え方によって異なりますので、じっくり練ったうえで取り組んでいただきたいと思います。
Q8:重要指標発表前はどういう対応をすべきでしょうか?
(回答)
米国雇用統計など、大きなトレンドが発生しそうな重要指標を控えてるときには、EAを一時的にストップしておくのもひとつのやり方です(もちろん、含み損対策がきちんとできるのであれば、EAを止める必要はないでしょう)。
指標発表のスケジュールをきちんと把握して、ご自身にできることを考慮したうえで、どう動くべきかを決めてください。
Q9:網掛けの幅は変更できますか?
(回答)
このEAでは、多数のポジションを作って利益を最大化することを狙いとしているため、10pips固定での網掛けにしています。
ただ、この設定ですと含み損を抱えるリスクも増えるため、今後、網掛けを変更できるようにバージョンアップする予定です。追ってまた、お知らせします。
Q10:例えば、1万通貨で取引しようと考えています。このとき、ひとつの通貨ペアに集中すべきでしょうか? それとも、複数の通貨ペアを候補として分散投資したほうがよいでしょう? どちらがこのトレード手法に合っているでしょうか?
(回答)
大前提として、このEAを使用するときには、「元本に対してどのくらいのロットの発注をするか」を検討する必要があります。慣れてきたら、使用されている口座のレバレッジの大きさなども考慮して、ロットを変化させることも可能だと思いますが、基本的には元本100万円に対して1000通貨単位のオーダーが原則となります。
そこを踏まえて、複数の通貨ペアにオーダーを入れることについて、お話しします。
通貨ペアが異なると、証拠金は、それぞれ別に加算されます。例えば、2つの通貨ペアにオーダーを入れるのであれば、発注数量はひとつの通貨ペアに出す場合の半分にしていただく必要があります。この点には、注意が必要です。
また、複数の通貨ペアのポジションを保有すると、ポジション管理をするときに約定価格などが入り乱れ、管理する作業が大変になります。この点も、考慮しておく必要があります。
上記の2点から、複数通貨ペアでの運用も可能ではありますが、運用の安全度などを考慮すると、それ(通貨の分散)を行う経済的なメリットは小さいと考えております。
Q11:CFDもできるのですか?
(回答)
CFDでもMetatrader4でトレードできるものであれば、利用することが可能です。
ただし、CFDでご利用される場合は、レバレッジの倍数も、オーダー単位も、証拠金率もFXとは異なりますので、それぞれ適正の数量を、別途、計算してご対応ください。