日記
ノイズカットトランス の 逆相
今夜は、電研精機研究所のノイズカットトランスTMの
NCT-I3 が 逆相であることを確認してみました。
逆相というか 『加極性』 だという事。
加極性とはいうのは入力と出力とで位相が180°異なる。
つまりは逆相って事を言っています。
日本では その逆の 『減極性』が 標準的です。
http://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/print/faq/13064?category_id=1908&site_domain=アーシault
話は少し脱線しますが、コンデンサーやコイルというのは
ノイズの流れて行く先を変えたり、ノイズを跳ね返したりしますが
ノイズを消費(熱に変える)という事は基本的にしません。
容量性リアクタンス、誘導性リアクタンスです。
ノイズカットトランスは一味違います。結果的に?ノイズを熱に変更するといいます。高周波に対しては抵抗成分が出てきて熱に出来る!?
テクニカルブレーンさんでは渦電流というキーワードを使ってYoutubeで説明している動画を公開されていました。
そんな背景から、副作用というか音質への影響も無い感じ。
MJ誌2014年04月「特集 AC電源とアースにまつわるノイズ対策」、テクニカルブレーン TB-1000の紹介記事より
前者は著者[井上千岳]氏、後者の著者[小林貢]氏。
オーディオとは別の、普通のノイズ対策でも、当然おなじです。
コンデンサーやコイルはノイズを消費して熱にしません。(インピーダンスの虚数部)
してくれるのは抵抗だけ。(インピーダンスの実数部)
「イラストでよむ アースとノイズのはなし」伊藤健一[著]より
クルマに例えるならば、コイルはサスペンションのスプリング、
抵抗はダンパーです。ダンパーが抜けると びよんびよん 車の揺れが
収束しません。ダンパーでびよんよんの跳ねるエネルギーを熱に変えて
揺れを鎮める必要があるのですよね。同じような機構は、車の
運動エネルギーを熱に変換する装置、そう、ブレーキです。
オーディオに於けるノイズ対策では ブレーキ や ダンパー が
副作用が無くていい感じなのです。
さて、本日の本題の 逆相 です。
ノイズカットトランスの 説明書? を引っ張り出します。
これの最終頁に 答え が、ありました。
『加極性』ですね。
これだけでは面白くないので、実際に測定して確認しましょう。
まずはコンセントの極性を確認します。穴の大きな方がアース接続側で
小さい方が活線というかLIVEで、人体との間には30V以上の
電位差を生じていることを確認したところ。
図:穴の小さい方がL極だ
極の確認ができたので、ノイズカットトランスのプラグを挿し込みます。
今回は TOEI の トランスで電圧を下げて測定します。
穴の大きな方は一般的に N極なので 白い線 にしておきます。
小さい穴の方は 赤い線 にしておきます。
これで準備完了。
測定してみると・・・・
見事に 逆相ですね~。
---------------------------------------
黄色:ノイズカットトランスの2次側波形
水色:ノイズカットトランスの1次側波形
---------------------------------------
測定するまでもなく、
取扱説明書に 「加極性」と 書いてあるのだから
「加極性」なんだろうと思っていましたが、測定してみたら
取扱説明書の 「加極性」 という文字が示す通り 2次側は『逆相』でした(^^
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、家庭のコンセントも
場所によっては『逆相』です。L1相のコンセントとL2相のコンセントは相対的に位相が反対、180°位相が異なります。
オーディオがL1相の100Vを使用しているならば、
L2相のコンセントからNCT-Iに給電すれば、
NCT-Iの2次側の位相は、L1相の100Vと同じになります。
逆の逆は正。
※上図はアイーデータさんのPLCアダプタ情報のホームページ画像の左側の電柱などを描き替えたものです(位相を示したい意図での描き替え)
ノイズカットトランスの3pinコンセントも、左側の穴が大きいですが
絶縁されているので、当然の事ながら左側の穴はアースと繋がっていません。接地側なんて事はなく関係なし。左の穴も、右の穴も、アースとは縁が切れています。これが家の壁コンセントとの違いです。
■注意喚起:
私は、水回りに、ノイズカットトランスを設置する事には反対です。
絶縁トランスの2次側からは漏電する事はありません。ご自宅の
家の漏電ブレーカーは、絶縁トランスの2次側が水に浸かっても作動しません。
それが絶縁です。
どうしてもトイレなど水回りにトランスを設置する場合は、
その場用の「漏電ブレーカー」と「アース接続」を設置する方が良いと私は考えています。安易に、トイレなど水回りに絶縁トランスを設置すると
水に浸かっても、人に電気が流れていても、ブレーカーは落ちません。
15Aなどブレーカーが落ちる程度の大電流が流れればブレーカーは落ちますが・・・感電事故と電流の関係では、
-------------------------------
0.1A=100mA:生命の危険が高い
-------------------------------
と、されています。人命を奪うには1Aの十分の一でも十分?
だからこそ、それより下、数十mA程度で作動して電力供給をストップする漏電ブレーカーが重要なんですね?。15Aの子ブレーカーだけでは命を守れません。
私は、水回りに、ノイズカットトランスを設置する事には反対です。
”水回りでなければ”、日本ではコンセントにアース端子が無いのが普通なので、
リビングなどでの絶縁トランス使用は問題ないと考えています。
アンプの電源トランスも、絶縁トランスそのものですしね(^^
水回りに絶縁トランスを置くならば
是非、漏電ブレーカーもセットで 設置して欲しい思いがあります。
繰り返しますが、
「”水回りに” ノイズカットトランスを設置する事」、
「または、安易に ”水回りに” 設置を推奨する行為」 に対して、
私は反対の立場です。
注意喚起ここまで。
■おまけ
”冷蔵庫に”、豊澄のトランスを使ったら ”イマイチ”だった。
そんな報告もあります。
MFさんの日記「豊澄電源機器株式会社ノイズ対策専用トランス③」です。
トランスは音を良くする魔法の道具ではなく、あくまで、
絶縁したりノイズ対策に用いるものなので・・・
ポン付けで音が良くなる事を期待すると裏切られる場合があります。
闇雲に試すよりも一旦落ち着いて、ノイズというものの性質を知っておいてから使用する必要があるかもしれません。
.
レス一覧
-
nightさん、おはようございます。
電研精機のNCTは「加極性」=逆位相となる!なんて使う側からは面倒でイヤだなと思ったのですが、これも「ノイズ遮断」をしている証なのですね。
【2021年版】ノイズカットトランス3選 / メーカー13社一覧に下記とあります。
《ノイズカットトランスの構造》
「・・・ノイズカットトランスの構造的な特長は、従来からある絶縁トランその構造に加えて、コイルトランスの外周に、多重の包覆電磁遮蔽版を設けています。ここが最大の特長になります。さらに、コイル配置や磁心材質と形状を高周波ノイズの磁束がコイル相互に鎖交しないように作られており、分布する静電容量結合と電磁誘導によるノイズの伝達を防止しているノイズ遮断に対して非常に優れたトランスです。」
※ここの記載はわかり易いのでURLを添付しておきます。
https://metoree.com/categories/noise-cut-transformer/
◆磁束がコイル相互に鎖交しないように作られているから、電源の位相が逆相となるのですね。
使いこなしに工夫が必要ですが、廉価高性能を得るための工夫ですね。
電研精機NCTは更に1次側と2次側のコア配置も工夫して、ノイズ遮断を実施していますね。
NCT-I:異軸同芯
NCT-F:異軸同芯
NCT-G:異軸異芯
NCT-Z:異軸異芯ツイスト
◆トランスの基本構造から複数な構造を採用しているメーカーなど、電研精機研究所だけです。ノイズフィルターを追加して「ノイズカットトランス」などと称しているメーカーとは格が違うのがわかりますね。
byヒジヤン at2021-12-10 08:36
-
おはようございます~♪
nightwish_daisuさん、情報サンクス!
私はノンアース派なので2極プラグを使ってますが、ノイズカットトランスを通すとプラグの向きでの音質差を感じなかったので極性は気にしてませんでした。
トランス購入時に説明書は付いていなかった(見た記憶が無い)のですが、加極性(=逆相)だったんですね。
ってことで、改めて人体アース電圧測ってみましたが、、、
壁コンセント:29V、16V
↓
NCトランス(NCT-I1):9V、12V
なるほど逆相ですね。
byspcjpnorg at2021-12-10 09:05
-
ヒジヤンさん レスありがとうございます
なぜNCT-Iが加極性な理由は問い合わせしていないので、現時点では分かりません。何か理由はあるでしょうが、安価に性能を実現可能するための策だったのかな?とはそうぞしています。
NCT-Gの回路図を見ると、減極性に見えます。異芯に出来るなら減極性飲ままで性能を出せるのかな???なんて。
https://www.denkenseiki.co.jp/products/nct-g_1kva/
極性が反対なら、線の白色をHOT扱いにどこかで繋ぎかえるか、もう1台カスケードするか、状況を理解さえしておれば対策は容易ですよね。
3Pプラグが付いているから正相に違いない。思い込みで留まってしまうのか、常に確認する姿勢を持つかが、その後の成長に関わってきます。
bynightwish_daisu at2021-12-10 09:15
-
spcjpnorgさん レスありがとうございます
絶縁された2次側の、それぞれの極の対人体電位(仮想アース)を測定された初めての報告ですね!!貴重な情報ありがとうございます。
>壁コンセント:29V、16V
>↓
>NCトランス(NCT-I1):9V、12V
関連する情報を以下に転載しておきますね(^^♪
↓↓↓
----------------------------------------------------
ヒジヤンさん
以前質問した時の電研精機の担当者からの回答です。
>NCT-I1型は一次側も二次側も共に絶縁されておりますので、ホット・コールドの
取り扱いはしておりません。
NCT-I1型は加極性で、一次側・二次側の電力には180度の位相差があります。
商用電源や周辺機器との位相制御を行っていない機器であれば、どちらをホットとして
扱っていただいても構いません。
その上で、敢えてホット・コールドで取り扱うとすれば、コイルの巻き始めが
最も鉄芯に近く、高周波に対するグランドインピーダンスが低くなりますので、
巻き始めである黒線をコールドとし、白線をホットとして扱ってください。
ご参考まで。
byデーンちゃん at2021-03-20 00:13
----------------------------------------------------
bynightwish_daisu at2021-12-10 09:26
-
nightさん
オーディオにおける電源の極性=電源の位相は、ホット/コールドなどの電気的な扱いではなく、再生の定位に現れて来ます。
自分のところのホット/ホットの200Vでは、おかしいおかしいと思った"カノン"の定位が、2芯の電源線をくるっと入れ替えただけで、正確な定位が出るようになりました。
だから耳で判断する必要がありそうです。
byヒジヤン at2021-12-10 10:03
-
ヒジヤンさん
200VにはHOTとCOLDという分け方が無いので確かに
表現がややこしい。
一般的に、100Vと200Vの混在環境を考えたとき、
200Vと同相なのはL1相だけです。
L2相は相対的に位相が180°ひっくり返りの逆相です。
ヒジヤンさんの環境がどうか分かりませんが、100V混在で、
100VコンセントがL2ならば、200Vのひっくり返しで位相が合います。
第3者の方々も、この理屈だけで解決可能かも?。
もしかしたら 難しい ”耳に頼った調整” は、
必須ではないかもしれないと思い、応レスしてみます。
応用として、100V環境でのお話で、
オーディオ機器がL1から電源をとっているならば
NCT-Iの電源をL2からとれば配線を逆にする事なく
電源波形の位相が合います。
※L2は逆,NCT-Iも逆、逆の逆は正。これでL1の100Vと位相が合う。
.
bynightwish_daisu at2021-12-10 11:43
-
nightさん
確かにそうですね。。。
オーディオ全般に言えますが、理屈がわからなければ手の出しようがないですし、理屈だけでは通用しない世界
だから、
『理屈でやってみて、耳でチェックをする』
こんな進め方がよさそうです。
◆電研NCTは「おかしいな?」と思ったら、コンセントを逆向きにして確認する!ことがよさそうです。
byヒジヤン at2021-12-10 12:15
-
ヒジヤンさん こんばんは
バブル期?は、ミニコンポですら電源ケーブルに極性を示す白線が付いていたものですが?最近はそれほど極性に煩くない気がしています。
安価な製品ではコンセントの向きはどっちでもOKで、
明確な差異は感じられなかったり?
極性管理されていない製品やスイッチング電源では、コンセントプラグの向きはクリティカルでは無いと想像しています。そうだとすると、最後の詰めは耳だけが頼り。
そう考えると高級機は、扱い易いとも言える感じですね。
結局『理屈でやってみて、耳でチェックをする』
こんな進め方がよさそうですという事に(笑)
.
bynightwish_daisu at2021-12-10 20:30
-
nightwish_daisuさんこんばんは
電圧上昇を抑えようと電研精機NCTのカスケードは
4段か2段の偶数に統一するようにしていたのですが
気付いてなかった位相においてもどうやら正解であった感じでしょうか
勉強になるばかりです
これからも精力的な日記投稿でどしどし御教示ください
byA-5000 at2021-12-11 00:36
-
nightwish_daisuさん、こんにちは。
電研精機製ではないダウントランスを使っています。
日記を拝見して位相が気になったので、電圧を測定してみました。
一般コンセントのコールド側とトランスの二つの出力側間はともに50Vでした。
一般コンセントのホット側とトランス出力のホット側間は150V、コールド側間は50Vでした。
これは正解なのでしょうか? 150Vと50Vが逆が正解なのでしょうか? 両方とも50Vが正解なのでしょうか?
byミネルヴァ at2021-12-11 10:46
-
A-5000さん レスありがとうございます
NCT-Iのカスケード、偶数台は位相という意味で正解ですね。
それにしても4台カスケードは初耳です。
そこまでされるなら・・・NCT-Gを1台でスペースを節約というのも選択肢としてアリなのかもですが、逆に唸りの問題も出てきますもんね・・・。スペースが許すなら4台がいいか(笑)
こちもら4台カスケードという、エンスー(熱狂的)な報告を聞くと気分が上がります。
情報ありがとうございました!!
.
bynightwish_daisu at2021-12-11 11:33
-
ミネルヴァさん レスありがとうございます
お問い合わせの内容から答えは導き出すは難しいです。
お話の内容から、当該トランスは単巻ではなくて複巻だろうとの
アタりは付けられましたが、複巻の場合、1次側と2次側のそれぞれにテスター棒を当てても、閉回路を形成していないために 電圧は 「不定」 となろうかと思います。※テスターに電圧値は出ると思いますが、そこから電流(電力)を取り出せるとは限らない。
テスターで位相差を測定できたらいいなとは思うのですが、良い方法が思いつかなかったので・・・私はオシロに頼りました。
.
bynightwish_daisu at2021-12-11 11:51
-
【アース配線は危険がいっぱい】
NCTの使いこなしでアース接続の話題をよく見かけるようになりましたが、電源アースは使い方を誤ると危険なことが沢山あるので注意点と対策について書いてみました。参考にしてください。
絶縁トランス類の2次側をアースすると、感電する可能性は高くなります。
2次側ホット →電気機器(絶縁不良) →人体 →アース →2次側コールド
上記の電路が新たに出来てしまうためです。
漏電ブレーカーを設置してもそれが作動するまでの感電は避けることができず、人体にとって危険なレベル(30mA程度でも昇天)の電流が流れてしまうことがあるので安心はできません。
また絶縁トランス類の2次側はアースからも絶縁されているので、2次側両端子に障らなければ感電しないです。
したがって、余程の理由が無い限り2次側の接地は実施しないほうが良いと思います。
それでもアースをするときは「漏電ブレーカーが必須」になりますが、nightwish_daisukiさんはこの点についてちゃんと書かれていますね。
絶縁トランス類の2次側に複数の電気機器があり、それぞれが2次側別々の端子で絶縁不良を起こしていて、人が同時にこれらの機器に触ると感電することがあります。
レアケースだと思いますがこれを気にされるのであれば、2次側に接続されるすべての電気機器について「筐体のみアース」し、一次側のブレーカーも遮断電流値を絞っておくのが良いと思います。
この筐体アースを取る際は、壁コンセントに設けられているアース端子と電気機器の筐体を接続してください。
間違っても、単相三線200V電源の中点アースを電気機器へ接続しないでくださいね。
アース配線はこのような面倒で危険なことが沢山あるので、電気工事士の資格を持った人に依頼しましょう。
byED at2021-12-11 14:14
レスを書く