エンディングノートは自分に万一のことがあった場合に、家族に自分の思いや情報などを伝えることで、自分の意向を理解してもらったり、遺された家族が困ることのないようにしておくために書き記しておくものです。
最近は高齢者でもスマホやパソコンを使う方が増えており、アプリを活用するデジタルエンディングノートというものも見られています。
今回は、終活のプロがデジタルエンディングノートの種類やメリット、デメリットについて解説していきます。
エンディングノートのアプリでは何ができるの?
エンディングノートのアプリには、自分自身のことや身近な人の連絡先、財産や相続のこと、医療や介護に関すること、葬儀やお花のことなど市販のエンディングノートを活用する場合と同様の内容を書き留めておくことができます。
その他、スマホやタブレットの利点を生かしてアプリ内に写真や動画などを保存できるものもあります。
エンディングノートをアプリで書く4つのメリット
アプリを利用してエンディングノートを書くメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
1.エンディングノートの管理がしやすい
エンディングノートのアプリでは項目ごとにアイコンが分けられてており、記入や修正したい項目を容易に見つけることができます。
また、エンディングノートは1度書けばそれで終わりではなく、定期的に見直したり気持ちの変化に応じて書き直しが必要です。そのため、手書きのエンディングノートではどれが最新のもがが分からなくなることがあります。
しかし、アプリを利用したエンディングノートでは、古いものに上書きをしたり、記入した日付や更新日が自動的に記載されるため、最新の情報を見つけやすくなります。
2.エンディングノートを無くす可能性が低い
手書きのエンディングノートはどこに保管しているのかを忘れてしまったり、なくしてしまうリスクがあります。しかし、アプリを利用したエンディングノートではスマホやパソコンに保存してあるため、保管場所を忘れたりなくしたりする心配がありません。
また、IDやパスワードで入力した情報を管理し、クラウド上に保存できるアプリではスマホを失くしてしまったり、機種交換をした場合でもアプリを再度ダウンロードすれば、保存データーを引き継ぐことが可能になります。
3.無料・値段が安い
ほとんどのエンディングノートのアプリは無料で利用することができます。有料のアプリであっても数百円程度のため、気軽にインストールすることができるでしょう。エンディングノート初心者にも試しやすいといえます。
4.画像や音声ファイルも残せる
アプリを使ったエンディングノートは情報をデータで保存します。一緒に写真や動画を保存しておくこともできます。また、家族や友人へのメッセージを音声で残すことで、より思いの詰まったエンディングノートになることでしょう。
iPhone・Android対応のエンディングノートのスマホアプリ
iPhone・Androidのどちらにも対応している無料のアプリをご紹介します。
100年ノート
アクティブシニア向けに使いやすく開発されたスマートフォンアプリとクラウドサービスで構成されています。スマートフォンにに使い慣れていないシニアでも迷うことなく利用できるデザインと操作性を実現しています。
一般的に遺言の保管は手続きの敷居が高く、保管料も毎年発生します。遺言は、財産分与などの法的な目的に限ることなく、「残される家族のための情報を生活の中で少しずつ無理なく残せるべきである。」という考えのもと実現したものです。
遺言の形式はいくつものテンプレートが用意されており、簡単に保管できます。文字だけでなく、音声や画像でも簡単に保管できるように工夫されています。
保管された情報はスマートフォンがあれば、クラウドサービスからいつでもどこでも取り出すことができます。
最大の特徴は、利用者が亡くなった場合に利用者があらかじめ情報開示先として指定している人からの要求があれば保管情報を閲覧できることです。情報の閲覧には、身分証明などが必要です。情報開示の際に事務手数料が発生します。
100年ノートのアプリは文字が大きく、見やすいのが特徴です。トップページもシンプルなつくりになっており、項目によっては音声入力ができる機能がついています。
プライバシーの保護のために、アプリに4桁の番号を設定することでアプリに鍵をかけることもできます。
エターナルメッセージ
エターナルメッセージは大切な家族に動画や写真を通じて想いを残しておくアプリです。宗教や葬儀についての項目が主となるためエンディングノートとしては物足りないと感じる方がいらっしゃるかもしれません。
エターナルメッセージの最大の特徴は、万一の時にご家族からの連絡をうけることで、登録されたメールアドレスに撮影された動画やエンディングノートをお届けするサービスがあることでしょう。
iPhone対応のエンディングノートアプリ
こちらは、現在はiPhoneのみに対応しているアプリです。
エンディングノート:デジタル遺品整理-家族へ終活の記録
このアプリは機密保持のため通信機能を持っていないため、記録したデータは外部と通信することなくアプリのみに保存されるため、情報が漏れる心配がありません。閲覧可能な人を設定し、ロックをかけることもできます。万一の時には設定された人が質問に答えて本人の端末からアプリを開き、手軽に内容を確認することができます。
項目数は多く詳細まで記載することができるため、必要な情報を漏れなく残しておくには適しています。しかし、無料バージョンではデーターの追加ができず、内容を更新すると以前のものは残らないため誤って消してしまわないように注意が必要です。
私ノート2
普段はなかなかお互いの様子を知ることができない状況で、手軽に近況を知りあえるツールです。介護や葬儀などに関して、あなたに万が一のことが起きた時に伝えたいメッセージをiPhoneやiPadのカメラを使って動画として残しておくことができます。
また、通常のSNS機能もありますので家族以外の方との交流も含めてたくさんの人とつながりを持つこともできます。公開機能もありますので日記のような使い方も可能です。
SNSとエンディングノートを融合したようなつくりになっていて、メールアドレスとパスワードで会員登録が必要です。その他、Facebookのアカウントを利用することもできます。エンディングノートとして利用する項目もありますが項目は少なめです。
Android対応のエンディングノートアプリ
こちらは、現在Androidのみに対応しているものです。
生前整理アプリ
無料会員では自分のことについての情報が入力できます。
内容は該当する項目を選択するタイプではないため、記入する項目を自分で考えておく必要があります。自由に書きたい人には向いていますが、すこし面倒に感じる人もいるでしょう。財産やお墓、葬儀などについての情報を残すためには有料会員(月980円)になる必要があります。
PCでダウンロードするエンディングノートアプリ・ソフト
パソコンにエンディングノートを残しておきたいという方のためのアプリもあります。インターネット上からファイルをダウンロードしてアプリをインストールします。
編みノート
無料でダウンロードすることができるデジタルエンディングノートです。個人情報やこれからやりたいことなどの自分自身についてのことや介護・医療や葬儀、お墓のことなど家族に伝えたい内容を記録できます。「編みノート」ではそれ以外にも自分が亡くなった後、他人に知られたくないパソコン上の情報を自動で消去してくれる機能がついています。
はじめてのエンディングノート2
こちらは有料のデジタルエンディングノートになります。(ダウンロード版標準価格3,990円)「筆まめ」の住所録のデータやExcelで作成した住所録もCSV形式にすることで取り込むことが可能なため、連絡してほしい人がたくさんいる場合には非常に便利です。
エンディングノートをアプリで書くときの注意事項
アプリを使ってエンディングノートを作成することは手軽で便利ですが、注意しておかないといけないこともあります。
サービスが終了することがある
アプリのサービスは運営者の都合によって突然閉鎖されることがあります。それにより、エンディングノートのデータを見ることができなくなってしまう場合があります。
データをスマホなどの端末に保存している場合には問題はありませんが、アプリの改善やアップデートはされなくなります。
ログインできなくなる可能性がある
アプリをパスワードなどで保護している場合、パスワードを忘れてしまうと内容が見れなくなるリスクがあります。このようなことがないように、パスワードをメモしておくなどの対策が必要になります。
データの閲覧に費用がかかる場合も
基本料金は無料であっても、オプションやデーターの情報を開示してもらうために料金がかかる場合もあります。そのため、無料のサービスでどこまで可能なのかを事前に確認しておく必要があります。
広告表示がある
無料のアプリは入力している最中に広告が出てきたり、有料会員への登録を促されたりということがあり、うっとうしいと感じる方もいるでしょう。
マニュアルが十分でない
スマホのアプリでは、使い方のマニュアルが十分ではないために、慣れるまでは戸惑うかもしれません。やっとの思いで入力したのに間違って消してしまったというようなことがないように注意しておかなければなりません。
アプリ以外のエンディングノートの種類
このようにアプリを利用したエンディングノートは手軽で便利ではありますが、やはりエンディングノートは形のあるもので残しておきたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
エンディングノートを形として残しておきたい場合、市販されているエンディングノートを購入する、無料で手に入れるなどさまざまな方法があります。
無料で入手できるおすすめのエンディングノートについてはこちらの記事も参考にしてください。
▶【デジタル終活のすすめ】エンディングノートを無料でダウンロードできるおすすめサイト7選【PDF・Excel・Word】
まとめ
このようにアプリを利用したデジタルエンディングノートにはメリットもデメリットもあります。内容や使い勝手を考慮して自分に合いそうであれば、活用してみるとよいのではないでしょうか。
エンディングノートの書き方については、こちらの記事も参考にしてください。