住宅・不動産

【終活のお勉強】自宅のリフォーム・建替え・買換え・住替えのポイント

今回はこんなことを勉強します

自宅のリフォーム、建替え、買換え、住替えのポイント

二世帯住宅のメリットとデメリット

自宅等を活用して生活資金を得る方法

終活を進めるうえでは、「人・もの・お金」と同時に、住まいについて考えておくことも重要です。

「今の家にこのまま住み続けたい」と思っても、家の老朽化、環境の変化、自分自身の体調の変化などにより、住まい方を変える必要が出てきます。

このレッスンでは高齢期の住まいで注意しておきたいことや、二世帯住宅、自宅等を活用して生活資金を作る方法について学びます。

自宅をリフォームする

自宅を終の棲家として考える人の中には、定年退職したタイミングで自宅をリフォーム(改築)しようとする人も少なくありません。

リフォームといっても、希望する住まいの形は人それぞれ違います。

ここでは、リフォームをする目的と、リフォームを検討する際に注意すべき点について学びます。

リフォームの目的を考える

リフォームをするときにまず考えておきたいのは、その目的です。

例えば、家が古くなったのでメンテナンスが必要になった、子供が独立して夫婦2人だけの生活になったので間取りを変更したい、キッチンやトイレ、風呂といった水回りが古くなってきたので、最新のものに取り替えたいなど、リフォームの目的は様々です。

この時に忘れてはならないことは、自分がその場所でその後もずっと年齢を重ねていくということです。

年齢に伴って、現在できている家事などを行うのが難しくなったり、できなくなったりしたときのことも考えなければなりません。

高齢期に備えたリフォームでは、年齢を重ねても安全に暮らし続けられる住まいにすることが求められます。

また、予算に合ったリフォームを検討することも大切です。

すべての設備を新しくすることが予算的に難しい場合は、優先順位をつけて、リフォームが必要な箇所を見極めていく必要があります。

また、同じ設備でも値段は様々です。

例えば水回りの設備のリフォームを考えているのであれば、浴槽やキッチンなどを展示しているショールームへ実際に足を運ぶとよいでしょう。

そこで、リフォームにかかる費用はどのくらいか、どの程度リフォームすれば自分の希望に見合うのかなどの確認ができます。

安全で暮らしやすい住まいを目指して

将来介護が必要になった場合に備えて、予算の許す限り大規模なリフォームを希望する人もいます。

しかし、将来自分が家族にどの程度の介護が必要になるのかは誰にもわかりません。

そこで、まずは必要最低限の箇所のみをリフォームし、状況が変わったら、それに合わせて対応すると言うように、段階的にリフォームを検討してみると良いでしょう。

加齢によって起こりうる事故や住みにくさへの一般的な備えとして、例えば、次に挙げるような対策があります。

■安全で暮らしやすい住まいの実現するための改修例

●トイレのトイレや風呂の扉を外開き、もしくは引き戸にする
●風呂場での転倒事故を防止するため、床を滑りにくいタイプのものに取り替える
●玄関の段差が大きいと上り下りや靴の脱ぎ履きが困難になるため、踏み台の設●置やリフォームで段差を解消する
●段落の上り降り時に釣りをつける。
●足元が暗いときには足元等をつける
●電源スイッチがどこにあるかわかりやすいように、大きめのスイッチに切り替える

ここに挙げた事は一例に過ぎませんが、このようなポイントを踏まえてリフォームすることにより、安全で居心地の良い住まいになります。

なお、高齢者が要介護認定を受けた人が住む家をバリアフリー仕様にリフォームする場合には、一定の条件を満たせば介護保険や自治体の助成金制度を利用できます。

建て替えや買い替え住み替えを検討する

現在住んでいる家では安全性に問題がある場合や、部分的なリフォームでは対応できない場合、相撲が生活スタイルに合わなくなった場合などは、建替え買換え住替えを検討しなければなりません。

ここではこの際に知っておきたいこと、注意しておきたいことを見ていきます。

建替え・買換え・住替えが必要なケース

リフォームよりも建替え・買換え・住替えを選択したほうが良い場合として、次のようなケースがあります。

建物が古くリフォーム費用が高い

リフォームのメリットは、思い出のある自宅を残せることと、建替えるよりも費用が安いことです。

しかし、建物によっては、部分的なリフォームでは安全性や利便性を確保できず、必要なリフォームを全て行うと、建替えるよりもかえって費用が高くなる場合もあります。

リフォームを選ぶことによるコスト面のメリットが感じられない場合には、建替えもしくは買替えを検討します。

家が広すぎて持て余している

子供が独立した後の家は広すぎる、と感じる人も多いようです。

このような場合も建替えや買替え、住み替えが選択肢のひとつとなります。

夫婦2人、あるいは1人で暮らしやすい間取りや広さの家の建て替え、あるいは一戸建てからマンションへの住み替え、さらには住みたい地域や利便性の良い地域への引っ越しも視野に入れて検討します。

近所に医療施設や買い物をする場所が少ない

若いうちは遠くの病院やスーパーまで出向くことができても、年齢を重ねるごとに遠方への通院や買い物は不便になります。

今住んでいる地域が、医療や買い物などの利便性が悪いと感じる場合は、住替えを考えた方が良いかもしれません。

子世代との同居や近居を検討している

近年では近くに住むことを希望する親子が増え、いわゆる「スープの冷めない距離」での近居が見直されてきています。

また、子世帯との同居を考えている場合は、二世帯への建替えなども選択肢となります。

二世帯住宅については後ほど詳しく学習します。

将来は子供の近くに住みたいと考える場合は、元気なうちから住替えについて考え、親子と話し合っておくことが重要です。

建替え・買換え・住替えで失敗しないためには

これまで見てきたいずれのケースにおいても、大切なことは、自分が望む暮らしを実現するために、建替えや買換え、住替えが本当に必要なのかを見極めることです。

また、住まいは生活の基盤となる大切な問題であり、建替え・買換え・住替えをすることによって生活スタイルが大きく変わってしまう可能性もあります。

そのため、子供や親族など将来生活するうえで頼ることになるかもしれない人に事前に相談するなど、慎重に検討することが大切です。

建て替えのポイント

リフォームの項目でも見てきたように、建替えについても、高齢期ならではの注意点があります。

自宅を建替える際には、主に次の点に注意しましょう。

■建て替え時のチェックポイント

●水回りの安全性を確保し、風呂やトイレでの事故に備える
●自分たちの生活スタイルに合った間取り、設備を選ぶ
●体力の低下や事故に備え、段差は無理のない高さにする

買換えや住替えのポイント

買換えや住替えのときには、次の点を確認する必要があります。

■買換え・住替えのチェックポイント

●交通機関などの移動手段や地域のサービス、病院・商店等、生活に必要な施設へのアクセスを確認する
●その地域に馴染めそうか確認する
●万一のときに子供や親族と行き来しやすい距離かどうか、子供や親族と相談する

これらのポイントは一例に過ぎません。

自分たちが住まい選びで大切だと思うことを書き出して、妥協することと、これだけは譲れないと思うことをよく見極めてから、実行しましょう。

なお、建替えや買換え、住まいの住替えの際には、大きなお金が動くので資金計画も大切です。

将来の生活資金が足りるかどうかを考え、どれくらいのお金を住まいの費用に当てられるか試算しておきます。

また、最後まで自宅で暮らしたいと考えていても、認知症や重度の要介護状態になると住み続けることが難しくなることもあります。

そのような場合に備えて、いざという時に売りやすい家貸しやすい家を選んでおくのも、ひとつの考え方です。

二世帯住宅

親世帯と子世帯など、2つの世帯がお互いの生活の独立性を保ちながら、同じ家に暮らす住宅のスタイルを2世帯住宅といいます。

二世帯住宅は、2つの世代が一緒に暮らすことで、建築コスト生活コスト税金の負担等を下げることができます。

また、ほどよい距離感で互いに助け合うことができるという点でも、人気のある住まい方のひとつとなっています。

二世帯住宅のさまざまな形態

二世帯住宅には、玄関は共有でキッチンや水回りだけを分けたタイプ、反対に玄関は別々でリビングダイニングを共有にするタイプなど、どの部分を共有するかによって様々なタイプがあります。

予算だけでなく、同居する二世帯の関係性や生活習慣などを考えて、どのようなタイプにするかを決めます。

ここでは、主なタイプの特徴と注意すべき点を見ていきます。

完全分離タイプ

1階と2階、または壁を隔てて隣接するなど、世帯ごとに完全に生活スペースを分けた建て方で、別々の住居として登記できます。

別々に登録すると、住宅ローンの借入れや住宅ローン控除などの税制優遇を二世帯が個別に利用できるというメリットがあります。

1階は親世帯、2階は子世帯というように、上下で住み分ける場合には、騒音トラブルに気をつける必要があります。

木造住宅の場合、上の階の物音は想像以上に下の階に響きます。

お互いの生活時間帯が異なることも多いので、2階の水回りの設備は1階の寝室の真上にしない、2階の床に防音施工をするなどの配慮が必要です。

横並びのタイプは独立性が高いものの、2階建て以上の場合は階段が複数必要になるので、狭い敷地には不向きです。

完全分離タイプの場合、せっかく二世帯住宅にしてもほとんど接点がなくなってしまうケースがあります。

定期的にお互いの安否を確かめ合ったり、両世帯をつなぐ扉をつけて、内部で行き来できるようにしたりするなどの工夫も必要です。

一部共有タイプ

玄関が1つで、内部の生活スペースを分けているタイプです。

大きなキッチンや風呂を共有し、一方の世帯にはミニキッチンやシャワールームだけを設置している例もあります。

共有部分が多いほど全体の建築面積が少なくて済みますが、その分生活の独立性が低くなり、生活のペースや家事の分担、費用の負担などで対立が起こる可能性が高くなります。

二世帯住宅のメリット・デメリット

二世帯住宅には、親子が近くに住むことで、お互いに支え合い、助け合いながら暮らせるというメリットがあります。

しかし、その一方で、近くに住んでいることが、かえって良好な関係を壊す原因となってしまうこともあります。

二世帯住宅のメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

■二世帯住宅の主なメリット・デメリット

メリット
●近くにいるので万一の時に助け合うことができる
●土地の有効活用ができる
●二世帯が別々に建てるよりも建築コストが安くなる
●別々に登記すれば、税金の負担が軽くなる
●親と祖父母が協力して子供の面倒を見ることができる
●キッチンや風呂の共有で家事や水道光熱費の負担が軽くなる
デメリット
●生活スタイルの違いから、ストレスを感じることがある
●程良い距離感が保てず、関係が悪化することがある
●一方のみが金銭や家事の負担を強いられることがある
●孫の世話や親の介護などを押し付けられることがある
●通常の住宅より賃貸や売却がしにくい

お互いの幸せのためにスタートした二世帯住宅なのに、ちょっとしたボタンの掛け違いによって、トラブルになってしまうことがあります。

トラブルを防ぐには、間取りの工夫に加え、共同生活のルールを決めておくことが重要です。

公共料金等の支払いはどのように負担するか、共有部分の清掃はどちらが担当するかなど、前もって世帯間で十分に話し合っておきましょう。

また、生活時間帯が異なる場合は、なるべく相手の生活リズムを邪魔しない配慮も必要です。

自分たちの不動産を生活の資金源にする

ここまでは、自分たちが安心して暮らせる住まいの準備についてみてきました。

ここからは自宅などの不動産を資産として活用して、高齢期の生活資金を得る方法について学びます。

賃貸で収入を得る

不動産の賃貸で収入を得るには、空いた自宅を他人に貸し出す方法から、自宅を賃貸アパートやマンションに建替えて、本格的に賃貸業を始める方法まで、規模や種類はいろいろあります。

自宅の敷地の一部、あるいは別に持っている土地を駐車場として貸し出す方法もあります。

賃貸物件の管理や家賃の回収等は、不動産管理会社に頼むこともできます。

ただし、賃貸するにあたってリフォームや建替え、土地の整備を行う場合は、自己資金が必要になります。

資金が足りなければ、借金が必要になる場合もあります。

本当に借り手がいるのか、資金計画に無理はないのかなど、事前によく調べたうえで実行するかどうかを判断します。

リバースモーゲージを活用して資金を得る

リバースモーゲージとは、銀行が扱っているローンの1つで、自宅に住みながら、自宅を担保にして老後資金を得る仕組みです。

自宅のリフォーム代や旅行代など、ゆとりある生活のための費用として使ったり、または有料老人ホームへの入居費用として使うこともできます。

リバースモーゲージのタイプ

リバースモーゲージには、契約時に一括で全額を借り入れるタイプのほかに、年金のように定期的に一定額を借り入れるタイプ、必要な時に必要な額を借り入れるタイプなど、さまざまな種類があります。

契約期間は原則として、契約者(担保となる不動産の所有者)が亡くなるまでですが、同居していた配偶者にそのまま自宅に住み続けられるケースもあります。

一般的には、契約期間中は借入金(利息を除いた元金)を返済する必要はなく、契約者が亡くなった時に一括返済するか、もしくは担保にしている自宅を銀行等に差し出して契約終了となります。

利息については、契約期間中に利息だけは支払うタイプと、契約の終了時に借入金と一緒に生産するタイプがあります。

自分が死亡した後の自宅の処分を銀行等に任せられるという点でも、メリットのある制度と言えるでしょう。

利用条件

リバースモーゲージを利用するための条件は銀行によって異なりますが、概ね55歳以上、もしくは60歳以上の人となっています。

担保にできる不動産は一般的に契約者名義の一戸建てです。

ただし、一部の地域や銀行等によっては、マンションを担保にして利用することも可能です。

ただし、担保にできる土地や建物の最低価格が決まっているので、自宅がその基準に満たない場合には利用できません。

利用上の注意点

リバースモーゲージを利用する上で最も大切なのは、自宅を担保にすることを事前に家族に話し、同意を得ることです。

なぜなら、マイホームは自分だけではなく、家族にとっても大切な思い出が詰まっている場所だからです。

多くの銀行等では、契約の際に子供など相続人になる予定の人の同意が必要になります。

このほか、どれくらいの利息を払うのか確認しておくことや、担保となる自宅等の価格によって借りられる金額の限度がある点にも注意します。

また、契約者が死亡した際に配偶者が住み続けられないタイプを選ぶ場合には、契約終了後の配偶者の住まいを確保しておくことも必要になります。

国のリバースモーゲージ

銀行等が扱う民間のリバースモーゲージとは別に、国(厚生労働省)の制度としてのリバースモーゲージがあります。

これは福祉制度の一環として低所得の高齢者世帯向けに自宅を担保にして生活資金を貸し付けるもので、低所得世帯向けの不動産担保型生活資金と、生活保護世帯向けの要保護世帯向け不動産担保型生活資金の2種類があります。

世帯の構成員全員が65歳以上でなどの利用条件があります。

実施主体及び窓口となるのは地域の社会福祉協議会で、貸付限度額の細かな利用条件は地域によって異なります。

http://jinsei-tanaoroshi.com/shuukatu-hudousann

まとめ

今回のまとめは、次のような内容になります。

  • リフォームするときは、まずは必要最小限の箇所をリフォームし、状況が変わったら、それに合わせて対応するというように、段階的なリフォームを検討するとよいでしょう。
  • また、近くに高齢者の家をバリアフリーフリー仕様にリフォームする場合もあります。
  • 今住んでいる地域の利便性が悪いと感じる場合には、住替えも検討するとよいでしょう。
  • 建替え・買換え・住替えを検討する際は、事前に子供や親族などに相談することが大切です。
  • 上下で住み分ける場合には騒音トラブルが起こらないように、1階の寝室の上を2階の水回り設備にしないなどの配慮が必要です。
  • 二世帯住宅でのトラブルを防ぐためには、共同生活のルールを決めておくことが重要です。
  • 契約時に一括で全額を借り入れるタイプのほか、年金のように定期的に一定額を借り入れるタイプなど様々な種類があります。
  • リバースモーゲージは、契約者と同居していた配偶者が、契約者の死亡後もその家に住み続けられるケースがあります。
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