【テレビの開拓者たち / 矢延隆生】「お台場みんなの夢大陸」団長が明かす 明石家さんまとの不思議な因縁
人生の10年の区切りにはいつもさんまさんがいました
――さんまさんとは以前にも一緒にお仕事をしたことが?
「いえ、僕が高校生だった17歳のときに、今も続いているさんまさんがパーソナリティを務めるラジオ番組“ヤンタン”こと「MBSヤングタウン」(MBSラジオ)の“歌謡選手権”という歌のコーナーに応募して出場したことがありまして。公開録音で出場者が歌声を競っていくんですけど、僕が3週勝ち抜いちゃったんです。そこで、さんまさんにイジってもらったんですよ(笑)。だから、さんまさんとの出会いの場所は、『プロ野球ニュース』じゃなく“ヤンタン”で、それから10年後、27歳のときに『プロ野球ニュース』で“再会”したんです」
――(笑)。そして、およそ四半世紀続いた「プロ野球ニュース」が終わり、その後を受けて始まったのが、新趣向のスポーツニュース番組「すぽると!」。矢延さんも番組の立ち上げに加わったそうですね。
「当時、『プロ野球ニュース』を刷新せよ、という至上命令が下りまして、そこで立ち上がったのが『すぽると!』です。番組名の『すぽると!』は僕が温めていたもので、絶対いつか使おうと思ってたんです。ただ、僕はそれまでずっと『すぽると(sport)』はギリシャ語だと勘違いしていて。アテネオリンピックが次の年にあるから、これは上手く絡めて盛り上げられるぞ、なんて思ってたんですけど、よくよく調べてみたらイタリア語だったという(笑)。
まぁ、そんなふうにタイトルはいい加減なんですが(笑)、僕らはまず、野球だけじゃなく、いろんなスポーツを取り上げる“総合スポーツニュース番組”というコンセプトを掲げました。サッカーもJリーグや日本代表などで人気が出始めていたし、もともとフジテレビは競馬、格闘技、F1と、いろいろなスポーツを他局に先んじて取り上げてきた局ですから。さらに付け加えるなら、フジテレビのスポーツ局全体のプロモーションの拠点になるような番組にしたかったんですね。そうなると、誰に看板になってもらうかが重要になってくる。スポーツ全般に精通していて、オリンピック関連の番組にも出演していたということで、これはもう、明石家さんまさんしかいないだろうと。そこで上司から『矢延が直接お願いするしかない』と指名を受けて、僕が直談判で出演交渉をすることになったわけです。
それで、さんまさんと打ち合わせをすることになったんですけど、ちょうどそのとき、僕は37歳だったので、僕が17歳のときに出演した“ヤンタン”でもらった番組のグッズを持って行って、それを見せながら、『17、27、37歳と、僕の人生の10年の区切りにはさんま師匠の力が絶対必要なんです!』と口説いたんですね。するとさんまさんは、『分かった。協力するわ』と。その一言で、番組の“工場長”として土曜日のレギュラーを3年間務めていただきました。本当にありがたかったですね。そんなこともあって、さんまさんとは今でもお付き合いが続いています。去年の夏休みも一緒にニューヨークへ行かせていただきました」
――矢延さんがスポーツ番組を作るときに心掛けていることは?
「これもさんまさんから学んだことですが、やっぱりスポーツ選手、アスリートたちにリスペクトがあるかどうか、ですよね。さんまさんは、本当にスポーツが大好きで、何日も連続で朝までスポーツ中継を見ているような人なんですけど、全てのアスリートを尊敬しているんですよ。もちろん、面白おかしくイジったりはしますけど、そこには必ず尊敬と愛情がある。僕らの番組に選手をお呼びするときも、『司会がさんまさんだったら出演する』という方はたくさんいらっしゃいますから。これは『(World Baseballエンタテイメント)たまッチ!』(2007年~)の中居正広さんにも同じことが言えますね。番組の根底に流れているのはリスペクトの精神。出演者だけでなく、われわれ作る側の人間も、そこは絶対に忘れてはいけないと思います」
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