続きです。
副園長から呼び出された私は職員室で、副園長と主任先生と話すことになりました。
いつもと変わらない笑顔の先生たち。
お母さん、わざわざすみません〜
くらいの感じで始まった面談。
『最近の三男くんの様子なんですが…やはりじっと座っていられない事が多くて、フラフラと違う教室に行ったりしてしまうので、目が離せないんですよね…』
『こんな言い方は、何というか…ね、お母さん…三男くんにはこの環境は難しいと思うんです。三男くんのためにも療育園をおすすめします。』
え…いきなり?
加配の話は?
最初からずっと言ってたはず。
この子は大変な子です。
ご迷惑をおかけするかも?
本当に大丈夫ですか?って…
こんなに簡単に投げ出すなら、入園前に断ってくれたほうがまだ良かった。
私は、副園長への不信感でいっぱいになりました。
そんな簡単に療育園へ、って言っちゃうんだ…と。(私の中の矯正施設というイメージがまだ変わっていなかった。そして、さらには、みんながみんな何かしらの障がいを抱えていて、さらには発達障害の子達の中で過ごす事に、お互いにデメリットも大きいのでは?と不安がありました。)
色々な子がいていい。
定型児も発達障がい児も、自閉症スペクトラム症も。
まだ小さなうちに混ざって生活する事の良さ、みんなと同じに出来なくても、それでいい、それが普通の環境だと思っていたから。
かなりの衝撃を受けました。
それと同時に、先生方にも負担がかかっているんだろうなという事も察しました…
ただ、主人の単身赴任も始まったばかり。
上の子達もまだ低学年。
どうしよう
軽くパニックになりました。
なんとか絞り出した言葉は、
『療育園はまだ考えていません。』
『いつかはそういった専門の施設を頼る事になると思いますが、今はまだゆっくりと見守っていきたいです。どうにか通い続けさせてもらえませんか?』と。
先生達は少しビックリしたような、ちょっと困ったような顔。
そう、先生達の中では、療育園のほうがしっかりとサポートしてくれるし、三男くんにとって最適な場所と思っていたからでしょう。
でも、私からしてみれば、未知の世界。
簡単には決められませんでした。
私の中で感じていた違和感。
障がいのある子はみな1箇所にまとめられて、特別な教育を受けなくてはならないの??
その場所を必要としている人もいるし、必要としていない人もいて、みんな色々な考えがあってもいいんじゃないの?
療育園が素晴らしい場所という人もいるし、うちの子には合わなかった虐待に近い行為を受けたそんな話を聞くと、大事な我が子の大事な選択、簡単には決められないですよ…
だから、私は知っている場所を選んだのです。
でも、頭や心では、三男はこの環境にはいられないかも。
やっぱり重いのかも…と理解はしていて。
悩みに悩み始めます。
とにかく、役所に相談。
保育士や幼稚園教諭になった友達に相談。
デイの先生に相談。
皆が口を揃えて言った言葉は私が感じていたものと同じだった。
なぜ今になって??
受け入れると言ったなら、加配をつけてでもサポート出来る方法からまず考えるby幼稚園教諭の友達
え?ちょっと無責任すぎる。
今から次の幼稚園(環境)なんて探せないよね?by保育園勤務の友達
お母さん、それは大変だわ!困った事になったわね。うーん、うちに来る日数増やす??byデイの先生
そんな事があるんですね??ちょっと私も調べてみますby役所の担当者さん
みんな、三男の就園を喜び安堵してくれた方々だったので、私も一緒に驚き、良い策はないか?と考えてくださいました。
とりあえず幼稚園のほうも、年度途中でほっぽり出すのはさすがに悪いと思ったのか、年少の終わりまでは面倒見ますと…
なんか、この時の感情は怒りより悲しみ。
不安でいっぱいでした。
しかも!次男の時に自閉症らしき女の子も無事卒園した事も知っていたし、他にも発達障がいや、グレーのお子さんも何人もいらしたので、正直、なぜウチの子はダメなのか?と思いました。
副園長に聞いてもみましたが、
苦笑いで濁すだけ…
(今思えば先生の勘だったのかもしれませんが。)
その後、また1ヶ月後に幼稚園に呼ばれ、今度はあからさまに、
三男くんは年中になっても伸びませんよ。
この子が苦しむだけ。
早く三男くんに合う環境にうつしてあげて。
三男くんが可哀想。
と言われました…
なんか…めちゃくちゃ悲しかったです。
障害受容って事??
私にはまだそれが出来ていませんでしたから、心に言葉がグサグサ刺さって…
先生達には当たり前というか、何人も見てきた光景なのかもしれないけど。
言ってる事に間違いはないのかもしれないけど…
初めて障がいを受け入れる親にとってはたまらない時間でした…
世の中には自閉症は治せる!という人もいるし、出来れば少しでも三男が生きやすくなるように、存在をちゃんと認められるようにと努力して来た私にとって、
あまりにも非情な最後通告。
伸びないって何?
こういう子にはこういう子に合った環境で??
なんか、言い方ひどくない??
って思ってしまったんですよね…
当時悩んでブログを書いていて、怒りや愚痴も吐き出して、そんな幼稚園はやめたほうがいいという言葉もたくさん聞きました。
療育園の何が嫌なの?
療育園のほうが成長する!
普通の環境にしがみつくのは親のエゴだ!と言われたりもしました。
悩みに悩んで他の環境を求めて、改めて受け入れてくれる環境を探し始めました。
続きます。
私の伝えたかった事、伝わるといいのですが…
療育園が嫌なのか?療育園を馬鹿にしている!と言われた事もありました。(某掲示板等)
嫌というのではなくて、本当にそこしか無いのか?と。
療育園を選びたい人、違う環境がいい人色々いていいんじゃないのか?と。
発達障がい、自閉症=療育園
療育が全て!!
ではないのでは?と思っていました。
もちろん効果はあるでしょうし、本人の負担、本人の心を守りながら適切なアプローチが受けられるという点ではベストです。
ただ、理想通りの施設ばかりではないのも現実としてあります。
行ってみて判断する人もいるし、なんとなく合わない気がすると避ける人もいるでしょう。
誰かにとって良い環境でも、誰かにとっては合わない場合もある。
その選択を慎重に慎重にしたかった。
自閉症が治る事はないだろうと、こんな私でもうっすらとは理解できていて。治って欲しい、本人が困らないくらいには良くなって欲しいなんて思うのは仕方のない事。母の願いです。
なんとか受容しようとしている時に、全く関係のない人からやいやい言われることが辛くてたまりませんでした。
今なら、副園長先生や主任先生が私に伝えたかった事、理解は出来ますが。
でも、やっぱり、あまりにも母の心を傷つけるような言い方は避けてくれるといいなと思いました。
何百人、何千人の保護者と関わって来た先生達、慣れてしまうことは仕方のない事だけど…
やっぱり千差万別、言葉を選ぶことは大事だよなと改めて感じた出来事でした。
障がいのある子を育てた事のない人には到底感じることも、慮る事すら出来ない事なのかもしれませんが。