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2020-08-13

ゼロから始めて5年で12社EXIT。マイナビ流スタートアップ出資の極意

見えにくかったCVCの実務を明らかにする「CVC虎の巻」。本記事ではマイナビのベンチャー企業支援統括部・須山氏のインタビューから、スタートアップと協業の実践方法を紐解く。

マイナビは、経営企画室傘下の部署がオープンイノベーションの役割を担う。営業出身の須山氏が提案から3年越しの2015年に部署を立ち上げ、現在は5名でスタートアップへの出資や業務提携を行っている。

出資経験がない中、ゼロから立ち上げ5年で46社に出資。うちIPO10社、M&A2社でEXIT比率は約3割弱を誇るが、「出資先が上場しても関係性は変わらない」と語る。

なぜ出資経験がない中で、豊富なEXIT実績を出せたのか。スタートアップとのネットワーク構築方法、事業シナジー創出方法とは。具体的な協業事例とともに、マイナビ流・スタートアップ出資の極意に迫る。

出資はあくまでアライアンスの一手段

マイナビのスタートアップ出資の組織体制について教えてください。

マイナビは、経営企画室傘下のベンチャー企業支援統括部を中心にスタートアップへ出資しています。部署のミッションは、当社との事業シナジーが期待できるIT企業とオープンイノベーションを行うことです。

出資はあくまでアライアンス(協業)の一手段なのです。

具体的には、マイナビの販売網を活用したサービスの販売や顧客開拓、社内導入を前提とした出資、業務提携を行っています。当部署における出資先は46社です(2020年7月末現在)。

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須山 俊介(すやま しゅんすけ) / 2008年 株式会社毎日コミュニケーションズ(現株式会社マイナビ)入社。就職情報事業部の新規顧客開拓を中心にセールスに従事。入社2年目の成績で最優秀プレーヤー賞と全社MVPをダブル受賞。その後、当時最年少マネージャーに昇進し、その年の成績で最優秀マネージャー賞を受賞。2015年ベンチャー企業とのオープンイノベーションを企図したベンチャー企業支援部を組成。

2015年からベンチャー企業支援統括部の立ち上げを私1人で行いました。現在組織には5名のメンバーがいます。

部署加入前までの出資経験は、私を含めてメンバー全員ありません。逆にメディア営業出身のバックグラウンドが、協業を進める上で強みになっています。

出資先の発掘(ソーシング)は、5年間の出資活動で築いたネットワークを中心に行っています。VCや事業会社からの紹介もありますが、出資先の起業家からの紹介で出資に至るケースが多いです。

起業家からの紹介は一番良い方法です。双方の信頼関係にもとづき、マイナビのスタンスやシナジーを理解した上で、フィルタリングをかけて紹介してもらっています。

5年で46社に出資。立ち上げ時の苦労とネットワーク構築方法

2015年の立ち上げ初期に、活動で意識していたことや苦労した点はなんですか。

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CVC虎の巻

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