生命環境系 系長あいさつ

大澤 良 (おおさわ りょう)
生命環境系長

生命環境系は、教員の所属組織で、教育と研究の双方を推進するという役割を持っています。

研究は、地球に関する現在の様々な自然現象や人間環境と生活、そして地球の過去を探り未来を予測する研究である地球学、生命の起源から生命環境システム、そして生物界の多様性とその成り立ちの理解を研究する生物学、農作物や森林、食品などの食料に関わる問題や人間に関わる環境の問題を解決する生物資源科学(農学)の3本柱からなっています。地球という惑星そのものを知り、その星で展開される人間活動を俯瞰的に見ること、星の上に存在する「生き物」それぞれ自体について、あるいはそれらのネットワークを解明すること、生き物の中で地球に君臨しているかのような人間という生き物の営みに不可欠な食料生産を維持すること、これらはまさに「生命環境」で括られる対象です。他の系には見られない壮大な舞台が私たちの世界です。私の出身の農学について、新渡戸稲造は農業本論で「農学とは人と自然を理解する学問である。美しい地球を維持し、すべての人が心身ともに豊かになるための学問である」と述べています。この言葉からも地球学、生物学という基盤研究と農学という応用研究は切っても切れない関係にあることがわかります。人間中心であるがゆえに痛めつけられている生物界や地球を守りながら、自然の恩恵を引き出しながら人間の生存を保証する学問を発展させることが生命環境系の役目だと信じています。そのために、生命環境系に関わる各種研究センターの強化を前提にしながら、個々の教員の研究力の強化と結集を図っていきたいと思います。これら成果を世界に向けて大いに発信していくことを目標にします。

教育に関しては、生命環境学群と生命地球科学研究群、この二つの教育組織を充実・発展させることが、地球を守り、生物を守り、人を守れる人材育成に繋がると信じています。生命環境系は学位プログラムの定着化、指定国立大学法人への対応、研究・教育における産学連携・国際化の推進など多種多様な課題に対し、しっかりとした構想をもって対応していきます。

最後に、生命環境系内の教職員に向けての言葉になりますが、本系に所属する各教職員が持っている能力を十分に発揮し、前向きな気持ちをもって教育・研究や社会貢献、さらにはそれらを支える業務に向きあうことができるように業務改善を進めたいと思います。そのためにも「系」の構想の共通理解と構成員間の対話という基盤形成を進めて行きたいと考えています。