『お母さん食堂』に抗議した高校生が抱いた危機感。
2020年12月に、京都府、兵庫県、岡山県に住む3人の女子高校生たちが、「ファミリーマートの『お母さん食堂』の名前を変えたい!!!」とネット上で署名運動を始め、7500人以上の賛同を得ました。公益社団法人ガールスカウト日本連盟の会員である3人は、女性差別やジェンダーバイアスについて学んだ際に「お母さん食堂」のネーミングに疑問を抱いたそうです。彼女たちは、街のあちこちに店を構える大手コンビニの店頭に「お母さん食堂」のポスターを掲げられることで、それを目にした子どもたちに、将来にわたって「女性=家事・育児」といったアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が根強く残っていくのではないか、と訴えました。
彼女たちの訴えに対して、SNSでは「〈お母さん食堂〉の何が悪い」「言葉狩りだ」など、強い反発もおきました。「お母さん食堂」の何が悪いのでしょうか? おうちでご飯を作ってくれる人を「お母さん」としてイメージするのが、なぜいけないのでしょうか?「お母さん食堂」というネーミングは、実は、フェミニズムが長く取り組んできた「私的領域における女性の無償労働」という問題と、深く関わっています。そしてそれはまた、新型コロナウィルスのパンデミックの渦中にある私たちの社会が、ケア労働をどう考えてきたのか、そして今後どう考えていくのかという問題とも、関わっているのです。
昨年10月にイギリス、グラスゴーで行われた賃金格差是正のためのデモ。約8000人の労働者が48時間にわたる行進を行ったため、グラスゴーの学校やホームケア・サービス関連の施設は混乱を極めたと報道された。Photo: Jeff J Mitchell/Getty Images