お笑いコンビ・阿佐ヶ谷姉妹の著書『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(幻冬舎 税抜1,200円)が、話題を呼んでいる。7月に発売された同書は、40代・独身・女芸人、そして「姉妹」と言いつつ血のつながらない2人が、2017年末まで、約6年間続けた”地味面白い”生活について書かれたエッセイ集。SNS上でも「2人の生活がかわいい」「和みすぎる」「好きになっちゃう」「人類が最終的に到達する幸せの形」ともっぱらの評判だ。

前回に引き続き、阿佐ヶ谷姉妹の2人にインタビュー。2人が挑戦した恋愛小説の話題から、「おばさん」の多様性にまで話が広がった。

  • 左から渡辺江里子、木村美穂

    左から渡辺江里子、木村美穂

美穂さんはノープレッシャー

――エッセイの中で小説にも挑戦されてますよね。私は『ゴッドタン』(テレビ東京系 毎週土曜 25:45〜)の「私の落とし方発表会」(※)の江里子さんの書くものが大好きで、個人的には、枠を飛び出て江里子さんの脚本がドラマ化したらいいのにとずっと周囲に勝手に言ってたんです。

江里子:ありがとうございます。おかげさまで続きまして。ほかでも話したんですけど、『ゴッドタン』があったからこそ、「小説を書いてみませんか?」というお話をいただいて。『ゴッドタン』には優秀なスタッフさんが多くて、「こういう状況を書けたらいいと思うんですよね」と言うと、「こういうのはどうですか?」と、いろんな方向から提案してくれて、世界ができていったところはあるんです。だから、小説を書くときはどうなのかしら、というところはありました。

(※)「私の落とし方発表会」…女性タレントたちが「こうされたら落ちる」というシナリオを書き、自ら演じる『ゴッドタン』の人気企画。阿佐ヶ谷姉妹・渡辺江里子の作品の物語性の高さから、番組内でも「江里子先生」と呼ばれ人気に。

――今度は小説だし、ひとりで向き合う作業になるというようなことでしょうか……。

江里子:そうですね。それと、美穂さんにとっては本当に初の小説だったんですけど、私は、その前にやっぱり『ゴッドタン』が4作、5作とあったので、その6作目という感じのプレッシャーもあって、締め切りを過ぎてしまい、ご迷惑をかけたこともありました……。逆に美穂さんはノープレッシャーで、自分の中で地に足のついた形で好きなものを全部取り込んだものができて。

美穂:ノープレッシャーですね私は。

――美穂さんの小説を読んで、『アウトレイジ』の塩見三省さんがお好きなんだなということはわかりましたし、ハシビロコウって鳥のことも把握しました(笑)。

江里子:『アウトレイジ』が好きで、ハシビロコウが好きで、ゼリーが好きで……って美穂さんが好きなものを集めて書いたものが先に出来上がって。しかも、美穂さんの書いたものがすごく良くて、この本の中でもすごく良いのが美穂さんの小説のところだと思ったので、それもプレッシャーになって、私のものは、なんとかやっとまとまった感じでした。

――やっぱり何本も書いた方の苦悩はちょっとあったのかなと感じました。

美穂:6作目の苦悩の結果だったのね。すごいねそれは。

江里子:脚本はセリフの連続で書いていたんですけど、今回はヒロインと相手の話で進めないといけないのに、それ以外のキャラクター、仲居さんの仲間うちの会話ばっかり盛り上がっていって、美穂さんに「それは違うだろ!」とつっこまれたりしてね。

――でも、やっぱり江里子さんはもちろんだけど、美穂さんにも、いろいろまた書いていってほしいですね。それと、けっこう昔っから思ってたんですけど、おばさんというか40代とか50代の女性の恋愛もののドラマってたまにあるじゃないですか。そういうのって、「イケメンが突然目の前に現れる」みたいなもので、喜ぶと思われてる感じのが多くて、納得いかなかったんですよ。そういう中で、お二人が書いたものは、違うなと思って。

美穂:夢物語じゃないものを書くというね。