YASUHIRO  独り言  

山と医療の本音トーク

12月3日(金)

こうした事故が起きるときというのはすべてが裏目に出る時である。甚之助からエコーラインに上がった時少し休憩していて髭も休んでパンを食べようとしたが先を行くコーエーがガスで見えなくなりそうだったので僕も髭も慌てて歩き出した。髭は一口しかパンを食べれず水だけ少し飲ませてくれと言って水を飲んだ。もっとゼリーを持ってくるべきだったとも言った。ゼリーならすぐに栄養は取れていただろう。もう全て消費していたらしい、どんなときでも素早く手軽に栄養を補給できるゼリー飲料があったなら、せめて山頂で補給していたら、、、、

山頂からの滑走もいつもの山頂から直に逆くの字に入れたら良かった。あそこは吹き溜まりで風は吹かないから一気に下っていける。しかし当日は強風で石がゴロゴロ出ていた。自分とコーエーだけなら石ゴロゴロでもそのまま行くのだがブランクのある髭がもし転んで怪我でもしたらまずいと敢えて登山道経由にした。しかしここは風が強いことは知っていたが石畳まで出ているとは予想外であった。このコース取りも裏目に出た。

7年前髭が去った頃確か厳冬期目国内岳で地獄に遭遇した。この時サングラスでは横から吹き込む雪で中が凍りつき大変な思いをした。これはイカンとゴーグルを探した。これまで電熱線、ファン付き様々使ったがどれも厳冬期の使用に使えなかった。当時の電熱線ゴーグルは小さなボタン電池ですぐに電池はなくなるので厳冬期は使えなかった。

しかしSWANZの製品を試しに購入し、付属の専用バッテリーは持ちが1時間ほどで使えないがスマホの大容量バッテリーは使えないかと考えた。試しに使ってみたら問題なかった。これで厳冬期でも6時間以上余裕で使用できるようになり必須のアイテムになり、地獄ゴーグルと名付けて仲間たち皆に持つように推めブログでも積極的に宣伝した。髭もブランク中にブログを見てこのゴーグルの存在は知っていたが少し値段ははると購入していなかった。僕たちの山行にはこれがなければ話にならないので自分は予備も含めて三個所有している。ウィペットと並んで不可欠の道具なのである。もし髭がこれを持っていたら問題なく帰還できただろう。

普段からよく道具にケチると葬式代が高く付くぞと言うのが僕の口癖だが穗高で亡くなったDr7も髭ももし道具がしっかりしていたら命を落とすことはなかった。あの時ああしていたらこうしていたらとそんな事を考えても後の祭り、少しでも隙きを見せたら自然は容赦なく襲いかかってくるということだ。厳冬期山に行くなら常に完璧な装備と肉体、そして心を維持しておかなかればならないと思う。


12月2日(木)

すでに報道でも流れたように白山で遭難死亡事故が起きてしまった。自分もメンバーの一人としてご家族や関係機関に多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫びするとともに何より亡くなった友人には救えなかったことが無念でならない。昨日髭の通夜に参加して最後のお別れをしてきた。顔はあの地獄が嘘のように穏やかだった。

友人の死を無駄にしないためにもこれからの登山者の一助となればと記録は作成していたが、何より弔事が終わり報告書をご家族が公にしても良いとご理解頂けるまでは沈黙せざるを得なかった。

最後の場面に立ち会えなかった自分は何を言われても構わないが顔や手に凍傷を負いながらもあの地獄の中2時間近く髭を救おうと最後まで全力を尽くしたコーエーをSNSで現状も知らない輩が誹謗中傷する行為は許せない。僕は一切見ていないがコーエーは深く傷付いている。ご家族は初対面のコーエーが命がけで最後まで救おうと努力してくれたことに感謝しかないと慰めてくれている。

昨日男泣きするコーエーを見てこうした輩は許すことができないと思った。中には現場の悲惨な写真をご家族の心情も考えずにSNSに勝手に流す異常人格者もいる。自分でさえ現場の写真は辛くてご家族にも伏せている。自分はともかくコーエーは最後まで髭のために命がけで頑張ってくれた。

是非多くの良心的な登山者の方には報告書を読んでもらい今後の安全登山の参考にしていただけたら幸いと思う。ただSNSで好き放題誹謗中傷を繰り返す非情な人たちには絶対に読んで欲しくない。言いたいことがあるなら僕に直接面等向かって言って欲しい、陰でコソコソ事情も知らないで好き放題いい加減なことを言うような人間はひとでなしである。記録はあるそうなので法的措置も視野に入れている。

白山事故報告書へ


FC2無料カウンターFC2無料カウンターFC2無料カウンターFC2無料カウンターFC2無料カウンターFC2無料カウンターFC2無料カウンターFC2無料カウンター

毎日が完全燃焼できる日々を過ごしたい、人生は長いようで短い

 

                             

HOMEへ