液体中の粉は自然と拡散する?「ブラウン運動」を理系ライターが解説
この記事では、ブラウン運動と分子運動の概略を述べた後両者のを関係を説明します。理系ライターのR175と解説していくぞ。
解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/R175
関西のとある国立大の理系出身。学生時代は物理が得意で理科の高校理科の教員免許も持っている。エンジニアの経験があり、教科書の内容に終わらず実際の現象と関連付けて説明するのが得意。
1.液体中での粉の混ざり合い
image by iStockphoto
そもそもブラウン運動とは?それをを実感出来る身近な例が、粉が液体中で勝手に拡散していく現象。例えば、お茶やコーヒーの細かめの粉をコップに入れてお湯を注ぐとスプーンでかき混ぜなくともある程度混ざっていきますね。これらは、特に邪魔が入らなければ理論上は勝手に混ざっていこうとする性質があります。
2.混ざり合う原因は?
image by Study-Z編集部
粉などの微粒子が液体中で勝手に拡散していく原因は何なのでしょうか?それは微粒子間で不規則に起きる「衝突」。
実は微粒子の動きをよく観察すると、1個1個がランダムな方向に運動し、かつ移動していることが分かります。粒がたくさんあると、これらの粒子が互いに「衝突」しますね。さらに、衝突したことで押し出されて移動したり他の粒子にぶつかったりします。このように不規則に衝突が繰り返されることでちょっとずつ微粒子が移動しいくもの。1粒の粒子に着目するとイラストのようなイメージ。どちら向きに移動していくかは決まっていませんが、系内の粒子がみんな同じような動きをすると、粒子の存在範囲がだんだん広がっていきますね。
水の中にコーヒーの粉を入れた場合、粉同士がぶつかり合い徐々に「あまり粉がない部分」にも広がっていきます。1つ1つの粒子が不規則に運動していて、それらが衝突し徐々に拡散していく現象がブラウン運動です。
コップに粉を入れて、お湯を注ぐと基本的には「勝手にまざろう」とする。粉1つ1つがぶつかり合いながら徐々に広がっていく現象「ブラウン運動」が起きるためだ。けれど、どんな粉でも上手く混ざっていくわけではない。何らかの原因でブラウン運動が阻害されているからだ。
3.ブラウン運動を阻害する要因例
胡椒や唐辛子など「少し重め」の粉は水とスムーズに混ざらないもの。スープやラーメン、うどんなどに胡椒や七味唐辛子を加えてもうまいこと広がらない。「足りないかな?」と思ってじゃんじゃんかけると実は底の方に沈んでいて最後に「辛い」ってなる経験よくあるかと思います。
ブラウン運動が阻害されている原因は沈殿、というか重力ですね。ブラウン運動の理論によれば、どんな粒子も基本的にはランダムに混ざり合っていこうとしますが、重い(というか密度が高い)粒子は重力の影響が大きいもの。混ざり合おうとはするものの重力による下向きの移動が支配的で、みるみるうちに沈殿。ブラウン運動でポイントとなるのが「不規則、ランダム」であること。重力の影響が大きいと「下向き」への移動が大きくなり、動きの不規則性が失われますね。
逆に軽すぎる(密度が小さい)物体は浮力が大きすぎて皆水面付近まで浮いてしまうためスムーズには混ざらず。例えば、木くずをバケツの水に入れても全部浮いてきて水面付近に集まってきますね。うまく混ざらないです。浮力は上向きに働く力。軽すぎる物体の場合は「上向き」の移動が多くなりすぎて、こちらもブラウン運動の特徴である「不規則性」が失われるため。
4.ブラウン運動を推進する要因
浮き過ぎる沈み過ぎる等でブラウン運動は阻害されますが、逆に混ざり合いを推進してくれる要因もあります。
次のページを読む