2021年11月19日に、文化庁よりニッカウヰスキー余市蒸溜所の建物の一部を重要文化財に指定したことが発表されました。
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重要文化財とは

重要文化財は、日本にある文化財のうち、歴史上、芸術上価値の高いもの、あるいは学術的に価値の高いものに対して、文化財保護法に基づいて文部科学大臣が指定した文化財を指します。

さらにその中から、世界文化の見地からも価値の高いものは国宝として指定されます。
また、顕著な普遍的価値を有するものをユネスコに推薦し,世界文化遺産への登録を推進するとしています。

今回指定された建物としては、事務所棟、キルン塔(第一乾燥塔、第二乾燥塔)、蒸留棟、貯蔵棟、リキュール工場(混和室)、旧事務所、研究室(リタハウス)、第一貯蔵庫、第二貯蔵庫になります。

文化庁によると、余市蒸溜所の施設を重要文化財に指定した理由として下記の理由を挙げています。
日本のウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝が創業したウイスキー蒸溜施設。
原材料の加工から仕込み、発酵、濾過、蒸溜、貯蔵まで、昭和10年代に建設された我が国最初期のウイスキー製造にかかわる施設が一連で残されている。
北海道における近代産業遺産として歴史的に価値が高い。
ヨーロッパ中世の城砦をイメージさせる事務所棟の正門や、赤いとんがり屋根と石造の外壁が特徴的な乾燥塔や貯蔵庫、ドイツ壁仕上げの木造洋館など、敷地内に分散する施設群を、調和のとれた外観で整えることも特筆される。

次は世界遺産登録へ

さて、ここ最近になってから脱炭素、カーボンニュートラルが叫ばれるようになりましたが、余市蒸溜所は、世界でも数少ない石炭を使った直火による蒸溜を行っており、石炭の利用は石油、天然ガスに比べると環境汚染の対象として強く非難されがちです。

それによって余市の火が絶やされることを防ぐためには、ユネスコの世界文化遺産への登録を行い、稼働し続ける文化遺産として残し続ける必要があるかと思います。
また、コンピューター制御による火加減の調節が一般的な時代に於いて、職人による手動調整というのも珍しいはずです。

見学できる施設について

現在、余市蒸溜所はガイドツアー付きの見学のみで、事前予約が必要です。
その際、内部を見学できる施設は、キルン塔、蒸留棟、貯蔵棟、旧事務所、第一貯蔵庫になります。


このブログでも余市蒸溜所の見学記を掲載していますので、こちらもご覧下さい。