拡散


 気体と液体の粒子は,熱運動により,その位置が変化していく。この変化の結果,気体は空間に広く広がり,また,気体も液体も,全体が均一になる。

 「均一になる」というのは次のようなことである。

 たとえば水素と酸素を別々のビンに入れ,水素のビンを上に,酸素のビンを下にして口を合わせて重ね,間の仕切りをはずす。すると,(重い酸素が下に,軽い水素が上にあるのにもかかわらず)しばらく後には,ふたつの気体は完全に混ざり合い,均一な混合気体になってしまう。水素分子と酸素分子が,それぞれ熱運動によってランダムに動き回ったためである。

 また,たとえば,水に赤インクを一滴たらす。かき混ぜずにそっとしておいても,赤インクはしだいに広がり,ついには水全体に均一に混ざり合う。水分子と赤インクの色素の分子が熱運動で動き回るためである。

 このように,気体と液体が,粒子の熱運動によって自然に散らばっていく現象を「拡散」と呼ぶ。

 熱運動は温度が高い(熱エネルギーをたくさん持っている)ほど激しい(運動の速度が大きい)のだから,拡散は高温であるほど速く進む


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