●企業注視、情報収集急ぐ

 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の急拡大により、政府が29日、全世界を対象に外国人の入国を禁止したことで、北陸の企業にもマイナスの影響が出始めた。水産加工品などを製造販売するスギヨ(七尾市)は技能実習生の受け入れを進めていたものの、計画は再び延期となった。各社ともに感染力の強い新たな変異株の出現に警戒を強めており、取引先や業績に影響を与えないか気をもんでいる。

 「感染が落ち着き、明るい兆しが見えてきたのに残念だ」。スギヨの担当者はため息をつく。

 政府は今月8日、昨年末から認めていなかった技能実習生らの新規入国を条件付きで容認したばかり。スギヨはベトナムで待機している15人を受け入れる方向で手続きを始め、早ければ12月中に許可が下り、来年1月にも入国できると見込んでいた。担当者は「期待していたので、ショックが大きい」と話した。

  ●出張禁止を継続

 欧州などに拠点を持つ製造業は危機管理を重要視し、情報収集に努めている。EIZO(白山市)は海外への出張禁止を継続しており、担当者は「まずは変異株の情報を集め、現地の状況を注視していきたい」と話した。

 昨年にイタリア・ミラノで販売拠点を設立した津田駒工業(金沢市)によると、現時点でオミクロン株による影響は出ていない。高松機械工業(白山市)は、現地拠点の活動については現地政府の方針に従うとした。PFU(かほく市)は引き続き出張を原則禁止し、会食の自粛を求める。

 オミクロン株の国内での感染拡大に備えて出張自粛の強化などの検討を始めた企業もある。

 三協立山(高岡市)は感染者数の減少に応じて県をまたぐ移動や会食を認める条件を緩和しており、担当者は「対策を強化する段階を見極めたい」と話した。中村留精密工業(白山市)も出張制限を引き続き行い、必要に応じて強化する方針だ。

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