■ 黒焼きとは…

　「医食同源」とか、「養生法」などといった言葉があります。どちらも健康に生きること、健康を守ることを目的としています。「黒焼き」はそのような昔の人の智恵から生まれました。
　「黒焼きの作り方」は、土器で作られた釜の中に、素材である食品を入れて、蒸すように焼きあげてゆきます。その過程では、水分や脂肪やたんぱく質などがほとんどといって良いほど失われてしまいます。結果として、炭水化物とミネラルや少量のビタミンだけが残ります。
　ところが不思議なことに､これらの中に、生のままや煮たり焼いたりしただけでは摂取できない成分までもが抽出されるのです。
　「黒焼き」にすることによって生み出されるこのわずかな成分が、人の健康に大変役立つのはとても不思議で興味深いことです。昔の人は、長い時間をかけた経験によってそれらを知り、私たちに伝えてくれています。

　近年、炭をはじめとしたいろいろな自然素材が再認識されるようになりました。これは住宅や食品などに使用されている化学物質の氾濫からくると考えられる、様々なアレルギーの増加から、自然回帰の必要性が求められるようになったのではないでしょうか。
　同じことは医療の面でもあらわれてきているようです。治療にあたっても、薬の投与だけではなく、免疫を高める補助食品を取り入れるなど、いろいろな療法が試みられるようになってまいりました。
　「黒焼き」も補助食品としてその働きの一助を担っているようです。蒸し焼きにすることによって、保存がきく上に粉として小さくまとめることができるため、必要なミネラルなどの成分を、「丸ごと何倍も摂取することができる」のです。さらに炭化された素材は、ちょうど炭と同じ作用を持つため、体内において毒素を吸着し、体力の負担の軽減にも役立つと考えられます。
　長い歴史と経験を積み重ねて伝承されてきた「黒焼き」には、大自然のもたらす恵みのエッセンスが凝縮されているのではないでしょうか。

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