~野毛のふぐ料理屋から人の輪が~
女将が語る福家三代の歴史からは、ちょいワルが魅力的な光を放っていた大正、昭和のハマの匂いが立ち上げってくる。セピア色の写真を紐解きながら語ってくれた酒井怡玖枝(いくえ)さんは、ふく料理やうなぎ、どぜう料理の店、福家の女将であり、二代目として小柄な体で片時も休むことなく、きびきびと元気に店を切り盛りしている。 | |
福家二代目女将の酒井怡玖枝さん |
野毛・福家が現在の野毛2丁目の地に落ち着いたのは、2005(平17)年11月である。その前は、野毛本通りだ。この時に、ふぐだけでなくうなぎやどぜうも商うようになった。さらにさかのぼると、野毛3丁目から常磐町に居を構えた時代、そして創業の地、関内は尾上町へとルーツをたどることができる。
創業ビル屋上で 初代夫婦がチンを抱いて | 地鎮祭 |
さて、創業のビルの隣にはモンキーというバーも開くなど、ずいぶんとハイカラだった。この頃ビリヤード場に通っていた常連の中に、後にプロとして売り出す天田選手がいた。だいぶあとに、TVを見ているとき、この天田選手が映ると、先代の母が「あっ、天田だ。天田が出ている。」と云って、当ビリヤードで腕を磨いたことを懐かしそうに語ることもあったという。 | |
創業ビル2階のビリヤード場 |
「フライにパン粉がひっつくように人が集まってくるんですね。」そう語りながら、嬉しそうに三代目となるわが息子とその嫁、千佳さんを見つめる女将。人間大好き家族。野毛のふく料理、福家はあったかい人の縁が集まって円になる、そんな店だった。
写真提供:ふぐ料理屋「福家」
ふぐ料理屋「福家」
〒231-0064 横浜市中区野毛町2-97
TEL 045-231-4896
営業時間 11時30分~13時30分・17時~22時
(文責:銀二)