吉田G1初制覇 競輪祭 【小倉】

西日本スポーツ

 6日間にわたってナイターで争われた小倉競輪のG1「第63回競輪祭」(優勝賞金3618万円)は最終日の23日、12Rで決勝戦があり、単騎で臨んだ吉田拓矢(26)=茨城・107期・S1=が、3角すぎ6番手から鋭く捲り追い込んでV。G1初制覇を達成し、初のグランプリ(GP)切符もつかみ取った。2着は逃げ粘った新山響平、3着は最後方から追い込んだ園田匠。6日間の総売上額は121億円余りで、目標額の120億円をクリアした。

ヒーロー

 競輪の聖地・小倉で行われた第63回競輪祭から時代が一気に動きだした。デビュー7年目の107期両者が決勝舞台で1、2着のゴール。G1初タイトルを獲得した吉田拓矢は「G1で新山さんとワンツーだなんて。まだ実感がわかない。これが感無量っていうのかなと思った」と、晩秋の激闘を振り返った。

 レース直後の会見では夢を見ているような表情だったが、レースの読みはピタリとはまった。「古性さんのラインから組み立てようと思って、落ち着いて、脚をためていた」。郡司や松浦に入られる細かな失敗はあったが、「一発をただ狙っていた。道中は余裕があって、松浦さんの勢いをもらって仕掛けました」

 松浦のスピードに乗って踏み込むと「4角の下りで伸びる感じがあった」。同期の先輩で、良きライバルの新山が残り1周を(11秒0-11秒5)のハイラップで逃げ切りを図ったが、終3半6番手からごぼう抜きの離れ業。G3初制覇を決めた昨年12月の佐世保も新山と“連独占”だったが、「今回も新山さんが先行で、僕が最後に行っちゃって申し訳ないです」と、してやったりの笑顔を浮かべた。

 決勝当日の昼に、豊橋F1でS級連続Vを果たした弟の有希(119期)をはじめ、同県の後輩たちと汗を流した努力が結実して初頂点。「みんなにGPに乗ってくださいとハッパを掛けられていたし、いい報告ができます」と胸を張ると、初出場となるGPでは先に切符をつかんでいた平原康多、宿口陽一の埼玉勢の2人に「前を志願して、関東で優勝者を出せるように頑張る」ときっぱり。赤いパンツとGPユニホームをまとい、暮れの駿府1億円決戦で大暴れする覚悟が既にできている。(森川)

 ◆吉田拓矢(よしだ・たくや)1995年5月7日生まれの26歳。茨城県つくば市出身、取手一高卒。2015年7月、茨城支部107期としてデビュー(弥彦①①❶)。通算成績は515戦で165勝、優勝25回。ビッグレースVは21年競輪祭。G3は2V(20年12月佐世保記念、21年6月久留米記念)。通算取得賞金は2億5279万1600円。171.5センチ、73.3キロ、太もも60.0センチ、O型。父・哲也さん(51期、引退)、弟の昌司(111期)と有希(119期)も選手の競輪一家。

【決勝戦VTR】

 1番車の北津留がポンと出て、北津留-園田、新山-渡辺、松浦、郡司、古性-山田、吉田で周回。赤板で郡司がまずインを切り、続いて古性ラインが先頭に立つと、渡辺を連れた新山が打鐘をめがけてスパート。そのまま新山ラインはHSで先頭に立ち、古性が追走。その後ろは外に山田、内に郡司でもつれ、さらに松浦、吉田、北津留-園田で残り1周。

 快調に飛ばす新山に対し、まず5番手の松浦が捲りを打つが、3番手までで停滞。すると、その後ろにいた吉田が、3角すぎに満を持して追い込みを開始。外々を回りながら勢いよく前団を抜き去ると、粘り込みを図る新山にも届いてV。新山が2着。新山の番手の渡辺が伸び切れず、吉田のさらに外を追い込んだ園田が3着まで伸びた。

【戦い終わって】

 新山響平(2着)立ちこぎから座ったら変な位置だったが意外に踏めた。タレなかった。(同期の)拓矢に取られて悔しいが、追い付けるように頑張る。

 園田 匠(3着)こんな悔しさは今までにない。あのコースしかないと踏んだが、優勝にあと2車届かなかったのが今の力。この悔しさを来年に生かす。

 渡辺一成(4着)新山君がだいぶ外をカマしてくれたので、別線に絡まれずに追走できた。自分が3角で大きな波をつくれれば、新山君の優勝だったのでは。

 郡司浩平(5着)単騎が多くて神経を使って、位置を取って脚がいっぱい。松浦君の捲りにも対応できなかった。(GPを思うと)勝たれては一番嫌な相手に勝たれてしまった。

 松浦悠士(6着)新山君の3番手を追走しておくべきだった。車の出も思ったより悪かった。

 古性優作(7着)1車でも前にと前々に踏んで、2角から思い切り踏んだが新山君が強かった。

 北津留翼(8着)焦らないよう、1半で行こうと決め打ちしていたのが失敗。HSで行くべきだった。

 山田久徳(9着)からまれて終わってしまった。でも頼もしい古性君の後ろだったので、G1初決勝でも緊張せず、自分のレースはできたと思う。

 ◆決勝上位の次走 ❶吉田拓矢(12月13日~立川F1)❷新山響平(12月23日~佐世保G3)❸園田匠(12月12日~豊橋F1)

GP出場者決定

 競輪祭の結果を受けて、JKAは23日、KEIRINグランプリ2021(12月30日、静岡)に出場する9人を次の通り発表した。この9人は12月27日付でS級S班となる(丸数字は出場回数)。郡司浩平(神奈川、3年連続③)▼松浦悠士(広島、3年連続③)▼宿口陽一(埼玉、初)▼古性優作(大阪、初)▼平原康多(埼玉、9年連続12回目)▼吉田拓矢(茨城、初)▼清水裕友(山口、4年連続④)▼佐藤慎太郎(福島、3年連続⑦)▼守沢太志(秋田、2年連続②) ※補欠選手は未確定で後日発表

拳矢が次点 GP出走権

 吉田は、松浦、郡司、古性のいずれかが優勝なら、4着以上でもGP出走権を得たが、優勝でタイトルホルダーとしてGPに臨む。この条件で吉田が5着以下だった場合には山口拳矢(岐阜)に切符が渡っていたが、山口は次点となった。

   ◇   ◇

 ◆寄付 深谷知広(31)=静岡・96期=が23日、大会の賞金から10万円を北九州市に寄付した。深谷は「新型コロナは今後も予断を許さない状況が続くと思います。そのような状況で競輪を開催していただきました北九州市を通じて、コロナ対策関連にご活用いただければと思い、寄付します」と、北九州市公営競技局の上野孝司局長に目録を手渡した。

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