「10年半の実刑なんて…。どうしても考えてしまう。私たちはそんなに極悪非道の罪を犯したのだろうか」
裁判で涙ながらに訴えたのは、中国のネットで人気があるボーイズラブの官能小説家・天一さん。去年11月、「違法出版物で多額な収入を得た」として、一審で懲役10年半を言い渡された(二審判決はまだ出ず)。また、出版物のカバーなどのデザインを担当した女性にも懲役4年の判決が下され、厳しい判決に「同性愛への弾圧ではないか」と批判の声があがっている。
中国では同性愛を「非正常の性関係」として、インターネットの番組などで表現することを禁止。また、中国版ツイッターのウェイボーが去年、同性愛にまつわる投稿を一斉に削除し大きな反発を招いた。
中国では1997年まで同性愛が「わいせつ」とされ、法律で禁止されていた。今でも同性による結婚は認められていない。同性愛に対する社会の偏見も強く、LGBTなどの性的多様性は認められていないのが現状だ。
政策として同性愛を取り締まる中国について、慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は次のように意見を述べる。
「中国の背景を調べると少子高齢化が進んでいて、とにかく出生率を上げて国を強くしようとしている。日本と比べると、中国国民の生活は国の方針を中心に作られていると感じる。日本も方針がないわけではないが、国がこうしたいということを国民にあまり押し付けない」
また、日本と中国それぞれの方針に弊害はあるとしたうえで、「日本は高齢化社会を支えられなくなるかもしれないし、人口が減っていけば国際競争力が弱くなるのも仕方ない。それでも個人を重視する日本のスタンスは、僕はいいと思う。中国は国を強くすること、世界で1位になることを目指している。そこは国のあり方の違いで、日本の国としての強さが相対的に下がっても個人の自由が守られるのは素晴らしいと思うし、アジア一・世界一というものが中国に持っていかれるのは仕方がないと思う」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)