堀江貴文「睡眠を削って生きる人に伝えたいこと」

「リモートワークのエキスパート」が語る

僕が睡眠時聞を大事にするのは、ビジネスや遊びの能率を上げるためだ。人間は通常、睡眠中に浅い睡眠と深い睡眠を1~2時間のサイクルで繰り返す。脳内では、深い眠りの間に昼間の短期記憶が整理され、浅い眠りのときに長期記憶への固定化が行われるという。つまり、学んだ知識を自分のものとして定着させるには、睡眠中の記憶の固定化が欠かせないのだ。

僕の場合、睡眠が5時間を切ると、やっぱり記憶が不安定になる。8時間寝れば、かなり長い文章や数式も、すらすらと覚えていられる。しっかり眠ろう! 短い睡眠時間で頑張っても、いいことはない。“寝てないアピール” がイケていた時代は、とうに終焉したのだ。そんなことを自慢してもまったく羨ましがられないし、せっかく覚えたことも記憶に残らない。起きている時聞が、まるっきり無駄になってしまうのだ。

無駄を減らせば、人生という時間は飛躍的に快適になる

会社員の睡眠時間を妨げている要因のひとつは、通勤時間だ。住んでいる場所が都内のオフィスから遠くて、早朝に家を出ないといけない。毎朝、満員電車の不快な通勤に耐えている。そんな人は少なくないだろう。

睡眠時聞を失うほど通勤に時間を取られるところに、なんで住んでいるのだろう? 睡眠時間を確保するには、“職住近接” という考え方があるように、職場の近くに住むのが効率的だ。僕がそうだったように、許されるなら会社に泊まり込んで眠ったっていい。

寝ないで通勤している人は、総じて稼ぎが少ない。「通勤に往復2時間かかる場合、給料が20%低くなる」と、僕は考えている。ビジネスを通じて、さまざまな人から話を聞き、自分でも体感した、ほぽ間違いない数字だ。

コロナ禍でオフィス通勤が減り、Zoomでの会議や打ち合わせが普通になっている。それで生産性が下がったという話は、まったく聞かない。逆に、パソナやアミューズなど有名企業が本社を地方に移転させたり、オフィスの規模を大幅に縮小する流れだ。

先を読んでいる企業が、いま、オフィスという不良資産を手放そうとしている。昔から僕は「会社にオフィスは要らない」「通勤は無駄!」と説いてきたのだが、コロナによって、ようやく一般にも浸透してきた感がある。

会社に行かなくては仕事ができない、という考えは完全な思い込みだ。リモートワークで全然問題ない。煩わしい社内政治から離れたり、嫌なヤツと会わなくて済んだり、好きなようにデスク周りを整えられる。会社に行かないほうが、仕事の能率は上がるのではないか。

昔の話だが、僕は2011年6月から長野刑務所に収監された。以降、自由な暮らしは奪われた。時間も規律も、刑務所が決めた通り。他人のルールに縛られて過ごさなければならなかった。

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