西幕下2枚目の式(29=木瀬)が、東十両10枚目の矢後を下手ひねりで5勝2敗とし、来場所の新十両を確実とした。
「勝ち越してからもここ数日、実感がないというか、いまだに実感がないです」。十両昇進を確実にするためにあと1番。勝ち越しても悶々とする日々を過ごしてきたが、矢後との激しい取組を執念で制した。
日大相撲部出身で、初めて番付に載ってから所要3場所で幕下まで駆け上がった。そこから幕下在位42場所。「喜びより本当に疲れました。自分が弱いから7年もこの位置にいたんだろうなと。同期の活躍は見たくもなかった。でも自分に足りないものがあるから上がれないわけだし」。何度も幕下上位でチャンスを逃してきた。
兄弟子の英乃海に声をかけられた。「俺も幕内に戻るから、必ず十両に上がれよ」。英乃海は先にその目標を果たす。式はその言葉を「ずっと励みにしてきた」という。
ずっとかなえられなかっただけに「(初場所の番付編成会議が行われる)水曜日に(昇進を告げる)電話が鳴らないと思っているぐらいです」。苦労した分、報われることを信じる。