(石井 友加里:韓日・日韓翻訳家)
日本人と韓国人の間に生まれた子供を持つ親であれば、一度は悩んだことがあるであろうテーマが韓国での歴史教育ではないだろうか。小学校高学年の子供を公立の学校に通わせている筆者は、何度か韓国式の歴史教育に違和感を持つ機会があった。
韓国での歴史教育には、民族の自尊心を育てる意図が強く感じられる。特に、二度にわたる日本による侵攻の歴史が詳細まで教えられている。また、史実を時代背景や状況から広角的、かつ客観的に教育するのではなく、被害者視点で展開されている点が特徴だ。
歴史認識は、国民のイデオロギーを形成し現在の国政や外交にも影響を与える。
韓国では、日本による侵略の歴史を授業の研究課題として扱うこともあり、感性豊かな子供たちが虐げられた歴史を、より自分ごととして捉えやすい。韓国在住の筆者が身近に感じた違和感について、子供の教育視点から解説しよう。
1.幼少期から「独島は我が領土」
韓国の知識人や市民団体、政治家は、日本は侵略の歴史を歪曲していると批判する場面がよく見られる。しかし、第二次世界大戦に敗戦した日本では、「戦争の悲劇を二度と起こすまい」という決意のもと、平和主義がすり込まれている。
筆者にとって驚きだったのは、韓国による竹島の領有権主張とその方法だ。
竹島は、戦後処理が行われたサンフランシスコ平和条約で日本の領土とされたが、韓国では幼稚園児も「独島は我が領土」と主張し、国際社会の判断を無視している。極めて複雑な問題であるのに、韓国は警備隊を配置して竹島を占拠し、国民は幼い内から楽曲「独島は我が領土」を習う。お遊戯会の定番でもあるこの曲に合わせて幼児は楽しそうに踊るのである。
2021年11月12日、SNSやネットを通じて海外に韓国の広報活動を行う誠信女子大教授は、島根県庁の竹島資料室に日本の大学生の解説者を置いたことに言及し、「島根県は純粋な大学生に間違った洗脳教育を行い、解説者に動員するという愚かなことをしている」と批判した。「開いた口が塞がらない」と言えばそれまでだが、韓国ではこのような独自の歴史観が正義とされている。
ちなみに、日本はこれまで3回、領土問題に関して国際司法裁判所に付託することを提案しているが韓国側によって拒否され、竹島問題の解決の見込みは立っていない。それとは関係なく韓国著名人の島上陸や光復節のイベントなどが行われ、韓国人の自尊心を象徴するシンボル的存在となっている。