福岡 #ライター交流会 vol.2を開催しました
2018/11/24
2018年11月17日(土)、ヨカラボ天神
「いちライターからステップアップの道。編プロ、チーム請け、法人?」 というテーマでやってみました。このチケット販売サービス「イベントン」の設定で、タイトルが30文字以内ということで、最後の”法人?”は、実は”法人化?”と書きたかったのですが、泣く泣く1文字削りました。ひさびさ紙媒体以外で1文字を削りました。
昨年の4月にも同じ会場でライター交流会を開催したのですが、そこから1年半ほど空いてしまいました。別に義務ではないのですけどね。前回は大物ゲストのトークセッションがメインでしたので、今回は、キチンとスキルアップというか、気付きというか、そういうものを得られる会にしたかったのです。
僕自身そんなに遠くない将来、検討しなくてはいけない法人化とか、そういうテーマで先人たちの話を聞きたいと、思ったわけです。
東京から来てくださるノオト宮脇さんも、フリーから会社を立ち上げて社員を雇っている身。同じく、そういう時代を経て経営者として活動している人と対談してもらえば、色んな道があるということを引き出せるんじゃないかって思いました。そこで、昨年末に知り合い、そこから個人的にも色々お世話になっている。イージーゴーの江郷さんにお願いしました(最初は、僕で大丈夫なの〜? って言ってましたが、面白くなる自信はありました)。
僕自身が先輩から教えを請うような「俺得」な企画だったわけです。そうした企画にどれだけの人が集まってくれるのかはわかりませんが、関係ない人にはまったく興味のないテーマかもしれないと思いました。でも、できるだけ「参加している」ことを実感できるようなイベントにしたかった。
「フリー」なんだから、ライターだってお店をやっていいじゃない
交流会、本格的に準備をはじめたのが9月に入ってからで、トークセッションの内容を考えたり。協力者を募ったり。10月末に、ライターのユウミハイフィールドさんが書店をオープンしたので、「あーこれは単独トークセッションやな」と勝手に決めてお願いしました。彼女の人間力、ライター交流会に来てくれた人には伝わったんじゃないかな。それをお店のオープン前から見ていた一人として、いろんな人に知ってほしいと思ったんですよね。
大変な分、楽しみも大きい人生だと思います。
ベテラン編集者、トークセッションで大いに意気投合するの巻
〜トークセッション冒頭〜
宮脇さん:まずは法人化にあたって、きっかけ的な話からが良いですかね。うちは2004年、江郷さんが2006年、この2年の間に大きな動きがありまして、会社法が改正されたんですよね。
江郷さん:僕の頃には、もう有限会社が作れなかったです。
宮脇さん:その頃、最低でも300万はないと会社が興せなかったんですけど、改正後は1円から会社作れますとなって、こっちは無茶苦茶たいへんだったんだぞ、と(笑)。自分で150万しかなくて、2,3年後かなと思っていたらカミさんがだまって150万を出してきて、すげえなって。あれですよみなさん、夫婦って大事ですよ(笑)。江郷さんはどうやって法人化されたんですか?
江郷さん:その頃、ムック本が主体で1冊(丸受け)受けしていたんですね。そうなると、400、500万円の金額(制作費)が振り込まれます。入金は数カ月後ですが、その間にライターさんやカメラマンさんにギャラを払うなどやりとりが発生しますよね。そうしたときに法人化したほうがお金のやり取りが楽になると。あと、企業側も大きなお金を個人に振り込むのは嫌がります。あの頃は100万円以上の超えた分は20%くらい源泉引かれていたんですよね。100万円までは10%のままですけど。そういう経理上の煩わしさが増えたので、法人化した方がラクだよねって感じです。
宮脇さん:大きなお金が動くようになったのが、法人化するきっかけだったと。ウチは当時、そんなに法人化するメリットがなかったんですよね。売上げが550万とか600万くらいだったんですね。一般的には1000万超えると法人化したほうが良いよって言われてたんですよね。当時の雰囲気としてですね。ライターか編集者かでいえば、後者のタイプだったので、どこかでブレイクしたいなと思い法人にしようと。法人化した瞬間、すごい仕事がくるようになりました。法人化は一つの営業手段かな、と思っていまして、「会社作りました」って言ったら「仕事する?」みたいなのが来やすかったですね。そういうのありました?
江郷さん:ありますね〜。法人化して営業の面で一番メリットを感じましたね。安心感を与えられるというか。個人の頃はなかったですけど、会社のウェブサイトを作ると、それをみて仕事がくるというのもありました。今続いているクライアントさんもそれ経由だったりしますし。「株式会社」という名前が営業力というのは事実ではありますよね。
宮脇さん:ですよね〜。ノオトの場合は知り合いになった広告代理店の人がいるんですけど、メチャクチャ仲良くなったんですけど「仕事ふりたいんだけど個人だとちょっと」って言われて、会社を作ったらすぐ仕事をくれましたね。そういう意味では、腕一本でライターをやる意味もあるんですけど、より編集的な仕事とか、ユウミさんの本屋さんの仕事とかもそうなんですけど、ライターを基軸に法人化しておくっていうのは、いろんなメリットがありますよね。
赤坂:会社立ち上げの際、資金などお金以外の面で苦労されたことはありますか?
宮脇さん:司法書士代をケチって、自分で登記したのでメチャクチャたいへんでした(笑)。書類をWordで作って法務局に持っていったのに、いろいろ指摘が入ってその場で手書きで修正しましたから。
江郷さん:リーマンショックのすぐあとだったので、大変というか……
宮脇さん:あ、2006年だとそうですよね。
江郷さん:ものすごい影響ありましたね。その頃、小さいながらも新宿に事務所があって、従業員を3人くらい抱えてやっていたけど、レギュラーの仕事がどんどん無くなっていって、書籍より広告系のパンフレットとか、そういうのが露骨に減ったというのがあって。とはいえお給料を払わなくてはいけないので、借金するかどうか、という感じになって、結局は話し合って退職してもらったこともあります。そういう意味で、リーマンの時は苦労した記憶がありますね。
宮脇さん:まったく一緒ですね。広告仕事って、当時はスペシャルサイトって診断できるやつとかが流行りました。そういうのがゴソッと無くなって、2期連続赤字でマイナス1000万くらいになってしまったんですよね。
江郷さん:でも、それで生き延びたというのが。
宮脇さん:そのころは半年ほど、僕の手取りが8万円くらいだったんですよ。
江郷さん:知り合いの編プロも5〜6社は潰れましたね。それくらいリーマンはすごかったですね。こんなにすごい不況ってあるんだと。企画が全然通らないですし。
宮脇さん:そのときに広告代理、ダメだなって思ったので、企業のオウンドメディアに舵をきったんですよね。もうちょっとパブリック・リレーションを作ろうと。長期間にわたってお付き合いして、毎月一定額いただけるようなスタイルにしていったんですよね。そこでリーマンショックの減った分は回復してきて。2008〜2009年くらいの話。
江郷さん:まさにそれくらいの時期ですよね。
宮脇さん:2011年くらいで回復してきてっていうのはあるんですけど、東日本大震災もあったんですが、そこは割と影響は少なかった印象ですね。
江郷さん:今は、株価が上がっているから、今日集まっているみなさんもお忙しいんじゃないかなって思うんですけど。またそれがガクンと減ったら広告宣伝費が減るはずなんで、そのへんを経験者としては言えるところかなーと思いました。
……
と、ここから20分くらい、濃い話は続きました。これは、遠いところからお集まりいただいた参加者のみなさんの特権ということで。
なんと今回はウェブメディアの協賛がありましたよ
基本的にチケット代から、会場代、ケータリング代、薄謝ではありますが登壇者へのギャランティなどを差し引きます。もちろん、チケット料金を高くしたくないというのがありますので、なんとかプラマイゼロになるくらいだと思います。
今回はトライシーというトラベルメディアの後藤編集長がTwitter経由で、「ドリンクを提供させてください」と申し出があり、とても助かりました。イベントにも東京からきていただいて、懇親会まで出ていただいて。こうしたサポートを受けることができて、本当に感謝しております。取材現場では、別メディアで一緒になることがほとんどなんですけどね、私……。
懇親会から始発まで
放っておいても、ワイワイガヤガヤ。僕が何か気を回す必要なんてありません。
皆楽しそうです。Twitterでしか交流がなかった人とお話するの、いいですよね。
こういう時って、ふつう幹事は順番に回ってあいさつするものだと思うんですけど、わたしほぼ席固定。
だって、みんな盛り上がってるんだもん。いいよね、このままで、と思いました。
はい、じゃあちょっとだけこっちむいて。
2次会、全然ノープランでしたがユウミさんと相談しつつお店決定。多くの方が残っていただいて嬉しかったなあ。
経営者3名、たくさんの教えと気付きを与えていただきまして、感謝申し上げます。
法人化についてトークセッションいただいた宮脇さんと江郷さんは、次はノオトのある五反田での再会を誓っていました。
その後、コーヒーが飲みたくなった私は喫茶店を探しに、みんなとお別れ。
の、
はずでしたが、コーヒー店が閉店していて、江郷さんと再合流。屋台組に入れてもらって数名で飲みました。
福岡にきて、屋台初体験。ああいう場でお仕事の話とか楽しいよね。
ちゃんと受け答えできていただろうか。
江郷さんとお仕事の絡みがある北海道から来てくれた2名。
福岡を堪能されていたようで、本当に良かった。
まだまだ福岡グルメ、なまらたくさんあるので何回も来ないといけないですね。
交流会が始まる前のTwitterの反応とか見ていると、僕に会ってみたいって書いてくれている人がいらして。
なんか、使ったお金以上の何かを持って帰ってもらいたいじゃないですか。
それができたか、どうかはわからないんですが、嬉しかったです。
ありがとうございます。
まだまだ返していきますからね。
今回の交流会を通して、スタートラインが人によって違うということがよくわかりました。
ここからは自分の話
昔は出版社に入って、どこかの編集部に配属となり、やがてフリーとして独立、みたいな人がほとんどでした。
でも今は違う。
もし、自分の居場所がわからない人がいたら、話を聞いたり、自分の知っていることくらいは伝えてあげられると思った。
もう、そうした経験も役にたたない時代に入っているかもしれないけど。