27日本会議が開かれ補正予算約94億円が審議されました。その内約88億円は緊急事態措置による時短要請の協力金、約5億円が無症状者を早期に発見するための検査費用でした。

 

この無症状者を早期に発見するためショッピングセンター等でPCR検査キッドを無料で配布することについて議案聞き取り会、医療保健常任委員会で激しい議論となりました。

 

三重県は新規陽性者の急増に伴い、保健所が疲弊し、いわゆる行政検査と言われる濃厚接触者への検査や、積極的疫学調査として行っていた接触者への検査が出来ていない状況となっています。そのような中、無症状者から陽性者を見つけ出すために12万人に検査キッドを無料で配布することは、やるべき優先順位が違うのではないかというのが多くの議員からの声でした。

 

そもそもこの5億4千万円の予算は、8月11日感染症対策協議会で専門家から無症状者を検査すべきとの声を受けてのものとのことでした。しかし私は委員会審議にて、無症状者を検査して陽性者を見つけ出すべきだとの考えを主張される専門家は以前からいますが、もしそれをやるなら数十万から数百万人規模で感度の高い検査を行う必要があり、それでも効果は限定的であることから現実的でないと申し上げました。

 

部長もこれまでは効果が薄いと私と同様の考えであったが、やれることは何でもやるとの思いから専門家の提言を受けて予算化したとのことでした。しかし発症2日前が感染させる可能性が高いとの知見があるものの無症状で発症2日前の人を見つけ出すことは雲をつかむような話で、そのような予算は認められません。

 

テレビの影響で無症状者が感染を拡大させていると誤った認識が広まっていますが、無症状者より有症状者の方が感染を拡大させることは当たり前のことです。データでは無症状者は、1/5と言われており、その中の発症2日前の人を見つけにいくより、4/5の有症状者の家族含めまわりの方への検査が出来ていない状態を改善する方が感染対策に資するとの意思が議会として示されました。

 

委員会の議論でこの事業の制度設計は非常に甘く、議会に上程される質のものではありませんでしたが、補正予算の中の時短協力金は一日も早く飲食店等の皆さんの手元にお届けしたいとの思いから否決は出来ないと判断し、遅くまで調整が続きました。結果としては、無症状者対象との優先順位をあらため、保健所機能強化を優先し、行政検査が行き届かない方々に5億4千万円の12万人分の検査キッドを有効に活用するということで可決することになりました。

 

最近私は、政府は分科会の感染症の専門家の声に振り回されているように感じます。もちろん専門家の声は大切です。しかし本来様々な分野の専門家の声や現場の声を総合的に判断して政治は政策決定をしなければいけません。今回の三重県議会の議論は、無症状者を検査すべきとの専門家の声は大切ですが、それよりも優先順位が高いものがあるとの議会の意思が示され、政策決定されたという意味では非常にいい議論であったと感じます。

 

新型コロナ対策は重要です。しかしその対策のお金は税金であり、未来からの借金であるという認識を私たちは忘れてはいけません。