焼肉とは不思議な食べ物で、一度最上の店を経験してしまうと、それ以下の店にあまり行く気がなくなってしまうものである。
しかし定期的に食べたくなる食べ物でもある。自分にとって最上の店に行くにも超人気店になってしまっており、予約がなかなかとりづらかったりし、結局足が遠のいていく。それでも別の焼肉店で妥協すると「う~ん、アノ店とは違う……」となる。それでいて、ビールを飲み、数枚頼むと簡単に5,000円ぐらいに到達してしまう高級品でもある。
家でやろうと思っても、小学生の頃、ホットプレートでやったあの焼肉を思い出し、「正直そこまでウマくはないよな……」とまた思ってしまう。焼肉食べたいけどあんまりお金払いたくない。
でも、ウチでやろうにも、ホットプレート焼肉はおいしくない。だったらビーフカレーでも食べておいた方がよくなってしまう。
そこでひらめいた!
ベストセラー『大人の肉ドリル:家で「肉食」を極める!肉バカ秘蔵レシピ』。
著者の松浦達也さんに、家でおいしく焼肉を食べる方法を教えてもらおう!
松浦さんは、宮崎牛を一頭買ってきては皆でバーベキューをしたり、様々なメディアで「おいしく肉を焼く方法」とかを教えてくれている先生でもあるのだ。
と同時に、2001年、オレがライターになったばかりの頃、一緒に何度も編集部で徹夜をしたライターとしての「先生」でもある。
家で焼肉を作る3つのポイント
中川:松浦さん! おいしい家焼肉の作り方を教えてください!
松浦:おっ! いいよ! なになに? 中川は家で食べる焼肉をおいしいと思ったことがないの?
中川:はい、そうなんですよ。でも、最近突然「タン塩食いてぇ~」とか思うことが増えているんですが、大抵美味しい店は「満席です」なんて言われてしまう。だったらめんどくせぇ、家でおいしく作る方法ないかな、なんて思いましてね。
松浦:よし、家で焼肉を作るのであれば、ポイントは3つ。
一つ目は【専用機はやっぱり偉大】ということ。
焼肉食うなら、やっぱり専用機が圧倒的においしい。全面鉄板のホットプレートだとおいしく焼けません。というわけで、カセットコンロ専用機が使えると最高だね。7,000円くらいの出費で一生モノになるよ!
二つ目は【肉を買う店を選ぼう】。
とりわけホルモンが充実してる精肉店がいい。そういう店は、タンやハラミといった市場で内臓扱いされる人気の部位も扱ってるし、芝浦の食肉市場などでいい肉を仕入れている。たとえば上野あたりだと「上野肉店」(和牛ホルモン専門卸)とその2軒隣にも「梁川食肉販売」という生ホルモンを扱う店がある。ほかにも武蔵小山の「みやこ屋」や戸越銀座の「アサノミート」、聖蹟桜ヶ丘の「平澤商店」とか、神奈川ならアトレ川崎に入ってるニュー・クイックのホルモン売場もいいよね。探せば生ホルモンを扱っている店って結構ある。まずは家の近場の良い肉屋を開拓しておくといいと思う!
三つ目は【タレは肉屋で買おう】or【タレは作ろう】だね。
ホットプレート向けの市販のタレは店焼肉と家焼肉を決定的に違うものにしてしまう一因。どんな肉でもそこそこ食べられるよう、味を強くしすぎてる。さっき挙げたような精肉店で、自家製ダレなどを売っていればそちらがおすすめ。焼肉店だって、タレは自分のお店で作っているよね。
家焼肉がいいのは、自由なところ。超うまい肉を出す店では、焼く順番とか、焼き方に店からの"指導"が入ったりするよね。もちろんそれは「おいしく食べてね」という気持ちのあらわれだからいいんだけど、「自由に焼かせてくれよ」という気分になることもある。家焼肉なら誰に気兼ねすることもなく焼ける。いい肉屋とちょっとの機材で、家の焼肉は格段にレベルアップします!
松浦先生流のおいしい作り方
オレは、松浦先生がオススメしてくれたカセットコンロ専用機を4,027円払って購入した。なお、当記事の最後には、現在の日本の「家焼肉」が抱える問題点を松浦先生に熱弁をふるってもらった。そちらも是非ともご覧ください。
まずはおいしい作り方からだね!
松浦さん指定の東上野へ。焼肉店やキムチ店、精肉店が並ぶ
松浦さんがすでに精肉店に予約をしてくれているので、オレは一足早く近くの居酒屋(カウンターは外!)でビールと大根の煮たのを食べながら待つ。
これが今日肉を買う「上野肉店」!
こんな感じで売ってます。この後すぐ近くの「梁川食肉販売」で豚のホルモンを買いました。
近くのキムチ店でもキムチ購入!
この時の使ったお金を見て見ましょう。6人分です。一人平均300g以上の肉を食べる予定です。
◆上野肉店
ハラミ:739円(100g280円×264g)
特上ミノ:1,332円(490円×272g)
特上タン:911円(490円×186g)
にこみ大腸:572円(210円×266g)
牛小腸:675円(200円×286g)
上カルビ:675円(200円×286g)
焼肉タレ:300円
◆梁川食肉販売
牛ハツ:159円(108円×148g)
センマイ:279円(150円×186g)
豚コブクロ:157円(108円×146g)
◆まるきん
すりごま:220円
サンチュパック:220円
◆キムチ店
白菜キムチ(大量に買い過ぎた!)&キュウリの水キムチ:2,000円
【合計】肉(5,799円)+キムチ(2,000円)+その他もろもろ(440円)=8,239円
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家焼肉開始!
塩ダレ作りです。長ネギをみじん切りにします。
買ってきた肉をズラリと並べてみた
小袋の処理を開始した
師匠である松浦さんが「よしよし、お前もここまでよく頑張った」とねぎらいのことばをかけてくれた。
さぁ、塩ダレが完成!
中身はネギ、ゴマ油、岩塩擦ったやつ、炒りゴマ、胡椒、アルコール分を飛ばしたミリン(本当は日本酒とのブレンドがいいらしい)、酢ほんの少し
小袋は切り、ここまで小さくしました。
小腸
大腸
小腸を切りました
小袋にゴマ油をかけ、風味をつけます
はい! 塩味で食べる肉類をお皿に並べました!
こちらはタレで食べる方です!
ジャジャーン! 専用グリル登場!