<第1話〜第3話プロット>
●第1話
ユリアがいつものように義兄のベルンハルトからの吸血を済ませると、彼は婚約者のもとへ吸血に行く。
行ってほしくないのに引き止められないユリア。
吸血は尊い行為だから大切な相手としかしてはいけない。
『だからユリアは、僕以外の血を飲んではいけないよ』
幼かった頃、ユリアはベルンハルトにそう教えられたが、彼が血を吸う相手は別にいる。
その夜も彼は帰らなかった。
翌朝、拗ねるユリアの機嫌をとろうとベルンハルトはこめかみにキスする。
「愛しているよ。大切な僕の妹」
愛情を注がれても妹にしかなれないユリア。
ヴァンパイアの婚姻には、互いの血を体内に取り込むコントラクトが必要だ。
ベルンハルトとコントラクトを結べば、ユリアは完全なヴァンパイアになれる。
けれどユリアに流れる猛毒の血を与えれば、ベルンハルトは死んでしまうのだ。
●第2話
昨夜のことを引きずって浮かないユリア。
日課にしている薬草園の手入れに行こうとすると、護衛のノエルに今日は自室で休んだほうがいいのではと気遣われる。
「昨夜はあまり眠れていないのでしょう」と目の腫れを指摘され、ユリアは気まずく思う。
空元気で庭に向かうが、ノエルの心配げな表情は緩まない。
そこへフランツィスカがやってくる。
薬師の彼女は薬草園に興味津々。
「もし困ったことがあったら遠慮なく私にも相談してね。もうすぐ家族になるのだから」と言うフランツィスカ。
戸惑うユリアに彼女は輝かんばかりの微笑みを向ける。
「ベルンハルトとの結婚をそろそろ正式に進めようと思っているの」
●第3話
フランツィスカが屋敷に来たのは結婚の話をするためだった。
両親と本人たちの話が終わるのを自室で待っていたユリアは、フランツィスカが帰ったのを確認して応接室に向かう。
両親はめでたい話を喜んでいて、ベルンハルトも結婚に異論はなさそう。
養子であるユリアは作り笑いで応じることしかできない。
定期的にやってくる吸血の夜、普段どおりにユリアに血を飲ませたベルンハルトは、こうして血を与えるのもあと少しかもしれないと言う。
常識的に考えて、兄が結婚したら妹は奥さんに遠慮すべきだろう。
ベルンハルトから吸血すらできなくなると気づいたユリアは、こらえきれず「愛しているの」と告げてしまう。