瘴気の森の魔女とヴァンパイアの間に生まれたユリアは、ヴァンパイアの長である伯父に引き取られて以来、義兄のベルンハルトから定期的に吸血している。
ユリアは義兄に恋していたが、その身に流れる魔女の血は猛毒で、ヴァンパイアの婚姻に必要なコントラクトを結べない。婚約者のフランツィスカのもとへ吸血に行く義兄をユリアはいつも切なく見送っていた。
そんな折、ついに彼の結婚の話が進み出す。思い余ったユリアは「愛してるの」と彼に告げるが、「僕も」と応じる声は穏やかで、そこに感じられるのは家族愛だけだった。
宴の夜、護衛のノエルに告白されるが、ユリアは受け入れられず一人庭に出る。そこには婚約者から吸血するベルンハルトがいた。ショックで逃げたユリアは怪我をし、血に飢えたヴァンパイアの男に吸血される。猛毒で男は倒れる。
薬師のフランツィスカの治療で男は助かる。ベルンハルトは、フランツィスカが隠し持つ真珠のペンダントを目にする。それは昔ユリアが持っていたものに似ていた。
己の血の毒性を目の当たりにしてユリアは動揺する。ノエルに慰められ、叶わぬ恋を忘れようとするが、義兄は以前に増してユリアを溺愛する。反発するユリアに彼は「僕を愛してるんじゃなかったのか」と言う。
義兄と気まずくなったユリアを出入りの行商人が言葉巧みに誘い出す。それは、魔女の秘薬の原料になるユリアの血を手に入れるための罠だった。ノエルとベルンハルトが駆けつけたものの、奪還のさなかユリアは大怪我を負う。
ベルンハルトはユリアを救うためにコントラクトを結んで彼女を完全なヴァンパイアにすると決める。ユリアの体内に自分の血を注ぎ、ユリアの血を自分の体内に取り込むと、猛毒が彼を襲う。ノエルの捕らえてきた獣から大量に吸血し、毒を薄めて耐える。完全なヴァンパイアとなったユリアはベルンハルトに毒の消えた血を飲ませ、命をつなぐ。
ユリアとコントラクトを結んだベルンハルトが帰還すると、フランツィスカはショックを受ける。
そもそも二人が婚約したのは、拒血症を患った幼いユリアの治療との交換条件としてフランツィスカが持ち出したからだった。だが実際に治療に使われたのはユリアの母が娘に託した魔女の秘薬で、真珠の形をしたそれをフランツィスカが奪い、自分の功績にしたのだ。
ベルンハルトとユリアの婚姻は、コントラクトを結んだなら仕方がないと温かく受け入れられる。
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