そんな中で、8月24日に宇佐崎先生がTwitterで声明を出しました(「アクタージュ読者の皆様へ)。
被害者の訴えを「勇気のある行動」とし、作品の継続を望む声が、結果的に被害者を責めることにならないように「性犯罪によって受けた傷は自然に癒えるわけではありません」など、性暴力の被害の重さをしっかりと伝えたことは意義の大きいことです。
宇佐崎先生がこう言うならと、再開を望むファンの気持ちの整理もついたのではないでしょうか。今回の事件に複雑な想いを抱いていたファンも、宇佐崎先生の声明で心を落ち着けることができたのではないでしょうか。
私は自分自身だけでなく、性暴力被害者の声を多く聞いており、サポートをすることもあります。そんな中で性暴力の事件で関係者がこれだけ真っ当で誠実な声明を出すのを見たのは初めてかもしれません。
性暴力が起きたとき、関係者や周囲の人は「当事者間で解決して」「自分は関係ない」という態度を取りがちです。
しかし、その態度こそが組織内で性暴力が起きたときに、被害が軽く見られることや、きちんとした対応をされないこと、被害者が不当に追い込まれることの原因になっていくのです。宇佐崎先生も女性であり、これまで少なからず嫌な思いや怖い思いをされたことがあったのかもしれません。私はこの文を読んで救われた気持ちになり、涙が出ました。
「ジャンプ編集部に、性暴力に反対する姿勢を示してほしかった」という批判もありました。「関係者が謝罪しろ」と誤解されがちですが、少年への影響の大きい雑誌の社会的責任として被害者を慮る姿勢を示してほしかったということでしょう。私もそうした気持ちはありましたが、この件に関して編集部と宇佐崎先生の間にどのようなやり取りがあったかわからないので、まずは宇佐崎先生の声明に敬意を示したいと思います。声明に対しても「宇佐崎先生が一番の被害者」との発言を見かけますが、宇佐崎先生の声明を尊重するなら、そのような発言は見直すべきでしょう。