『アクタージュ』原作者逮捕、「性被害当事者で作品のファン」の私が考えたこと

連載打ち切りをどう見るか
卜沢 彩子 プロフィール

少年ジャンプは人気・売上ともに日本一の少年誌であり、影響力の大きい漫画雑誌です。本屋に行けばコミックが山積みにされ、街を歩いていても電車でもそこら中で広告を目にします。

性暴力の被害に遭うと、PTSDの症状に苦しめられる可能性が高くなります。PTSDを抱えると、被害を思い起こすような場所や出来事・人物に遭遇したときに、フラッシュバックが起きるなど、心身に著しい負担がかかります。

私自身もPTSDの症状を抱えたことで意識を失ったり、体調不良が続き、学校に通うのが困難になり、休学をするなど大学に3年長く通うことになりました。性暴力の被害は、想像以上にその後の生活に強い影響を与えます。

私は性暴力を犯した人が罪を償い更生するべきだとは思っていますが、社会的に排除されるべきだとは思っていません。しかし、加害者よりも被害者が行動を制限されやすい現状は理不尽で、被害者の権利が優先されるべきだと思っています。

とくに加害者が著名人の場合は、ファンの声で加害者は許容され、被害者は責められた挙げ句に行動が著しく制限されやすいのです。そして性暴力は社会的に取り扱うべき問題であり、決して私的な問題ではありません。だからこそ、このような状況を踏まえた上で、性暴力を矮小化しない姿勢を示すことが必要だと思っています。

 

宇佐崎先生の声明に救われた

連載中止を受けて、「宇佐崎先生が一番の被害者なのに」という声も多く見られました。たしかに作画担当である宇佐崎先生もこの件の被害者です。連載中止で自分の代表作が台無しになってしまい、収入も大幅に減るでしょう。そして何よりも作画担当であることから、自分の絵が犯罪に結び付けられ、スティグマを着せられてしまった状態であり、非常に悔しい思いをされていると思います。

しかし、こうした発言は、宇佐崎先生が「一番の」被害者であるという表現をすることで、おそらく無意識ですが、被害を軽く見てしまっているのです。

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