ただ、本人が容疑を認めていることや、監視カメラでの映像が証拠として示されていること、顔見知りでなく通りすがりの被害であること、余罪や常習性があることを強く感じさせる報道だったことが、被害者へのバッシングにつながりにくい状態だったのかもしれません。被害を認められやすかったことは良かったと一方で、複雑な思いもあります。
最初の報道で「中学生にわいせつ行為」という情報だけが流れたため、矮小化したり茶化すような言動をする人もいました。しかし本来ならそれ自体、ネタにするようなものではありません。容疑者が認めていなかった場合や、報道が具体的にされなかった場合、被害者が責められていたかもしれなかったと思うのです。
セカンドレイプをしてしまうのは、性暴力への軽視や無理解と不注意があるだけで、必ずしも悪気があるわけではありません。ネット上では、軽い気持ちでセカンドレイプにあたる発言をしている人をよく見ますが、そのような発言で性暴力の被害に遭っても訴え出にくくなったり、被害者を追い込むことを自覚してほしいと日々思います。
被害者の行動が制限されるかもしれない
逮捕報道から2日後、少年ジャンプはこの件を受けて連載終了を発表し、作画の宇佐崎先生のサポートに尽力すると発表しました。
「打ち切りは妥当」という反応が多かったのですが、そういった発言に反発したり、「作品には罪はない」と編集部を批判する声も上がりました。
作品を惜しむ声が大半ですが、性被害の矮小化や二次加害につながる可能性もあります。打ち切りを「(法によらない)社会的制裁」や「加害者への罰」であり、人格の問題を社会的立場に結びつける過剰な措置だと捉えて批判する人もいました。
私は前述の通り作品のファンではありますが、被害者のその後の生活を考えるなら、作品の打ち切りは必要だと考えていましたし、ジャンプ編集部の決定は当然だと思いました。「加害者への単純な罰」を求めているではありません。ただでさえ、性暴力はその後の被害者の安全脅かすものであり、被害者のその後の行動や生活が制限されないようにする必要があるからです。