遅れていると思っていた日本がこんなに追い上げていたとは…。
米ジョンズ・ホプキンス大学のワクチン・トラッカーによると、アメリカの新型コロナウイルスワクチン接種率は、世界で56位に後退したそうです。これは2021年に入ってから他国がワクチン接種キャンペーンを拡大させてきたからと考えられるので、世界的にはよいことだと思います。それにしても、アメリカはすっかり世界から置き去りにされてしまったようですね。
反ワクチン派の影響を受けた国は接種率が伸び悩み
アメリカでは、11月18日現在で全人口の59.63%が新型コロナのワクチン接種を完了しています。世界でみると、アメリカの接種率は7月の18位、9月の40位から大きく後退して現在56位。また、ドイツのような反ワクチン派の声が大きい西側諸国もアメリカ同様、順位を落としています。7月時点で世界22位だったドイツの接種率は、現在は34位になっています。
出だし好調だったイスラエルもまた、接種率が急激に低下した国のひとつです。7月には58%で世界10位だったのに、現在は伸び悩みが響いて63.62%の44位まで順位を下げています。
日本は接種率と順位を爆上げ
その一方で、2021年のスタートはよくなかったのに、ここ数カ月で接種率を爆上げしてきた国もあります。7月中旬にはたった12.18%だったオーストラリアの接種率は、現在71.43%で24位。また、9月時点の接種率が約50%で46位だった日本は現在、接種率を75.97%まで上げて、順位も18位まで急上昇。
下のリストは、ジョンズ・ホプキンス大学のデータに基づいて、各国の人口に占めるワクチン接種者の割合を表しています。割合は「全人口」に対するもので、「接種可能な人口」に対するものではありません
世界のほとんどの国では、まだ幼い子どもへのワクチン接種は行なわれていません。つまり、その国が定めるワクチン接種の最低年齢によって、ワクチン接種率が高くなる国もあります。例を挙げると、キューバでは10月からワクチン接種対象を2歳以上まで引き下げました。アメリカでは5歳以上の子どもへのワクチン接種を開始したばかりです。一方で、スペインやイタリアなどでは、ワクチン接種対象年齢は12歳以上になっています。
1. アラブ首長国連邦 - 90.39%
2. シンガポール - 87.87%
3. ポルトガル - 86.91%
4. マルタ - 85.73%
5. チリ - 83.01%
6. カンボジア - 80.21%
7. スペイン - 79.63%
8. セーシェル - 79.27%
9. カタール - 78.32%
10. マレーシア - 77.90%
11. キューバ - 77.71%
12. アイスランド - 77.43%
13. 中国 - 76.82%
14. カナダ - 76.52%
15. アイルランド - 76.28%
16. デンマーク - 76.18%
17. ウルグアイ - 76.15%
18. 日本 - 75.96%
19. ベルギー - 75.18%
20. ブータン - 73.36%
21. イタリア - 72.84%
22. オランダ - 72.53%
23. フィンランド - 71.94%
24. オーストラリア - 71.42%
25. ブルネイ - 71.30%
26. ノルウェー - 70.68%
27. ニュージーランド - 70.30%
28. バーレーン - 70.08%
29. フランス - 69.32%
30. イギリス - 68.92%
31. モルディヴ - 68.02%
32. スウェーデン - 67.88%
33. モーリシャス - 67.79%
34. ドイツ - 67.78%
35. ルクセンブルク - 67.50%
36. モンゴル - 66.53%
37. サンマリノ - 65.94%
38. スイス - 65.74%
39. リヒテンシュタイン - 65.25%
40. オーストリア - 65.07%
41. フィジー - 64.75%
42. サウジアラビア - 64.56%
43. アンドラ - 64.21%
44. イスラエル - 63.62%
45. リトアニア - 63.03%
46. スリランカ - 62.75%
47. アルゼンチン - 61.98%
48. エルサルバドル - 61.93%
49. モロッコ - 61.66%
50. ブラジル - 60.87%
51. ギリシャ - 60.55%
52. エクアドル - 60.24%
53. コスタリカ - 60.04%
54. モナコ - 59.81%
55. トルコ - 59.74%
56. アメリカ - 59.62%
57. ハンガリー - 59.21%
58. ラトビア - 59.14%
59. エストニア - 58.61%
60. チェコ - 58.23%
(接種率は11月18日現在)
バイデン政権は共和党が新型コロナを政治化したこともあって、パンデミックを終息させる唯一の方法がワクチン接種であることをアメリカの人々になかなか納得してもらえずにいます。カイザーファミリー財団が10月中旬に行なった最新の世論調査によると、「恐らくもしくは絶対にワクチン接種を受けない」と答えた民主党員は9%でしたが、同様の回答をした共和党員はなんと38%もいたのだとか。
ニューヨーク・タイムズは、アメリカにおける1日あたりの新規感染者と死者はそれぞれ約8万3000人と1,113人で、重症化した患者の大半をワクチン未接種者が占めていると伝えています。ワクチンを接種した人の中にもいわゆるブレイクスルー感染したケースはありますが、重症化や死に至るリスクはかなり低くなります。
アメリカでは、CVSやWalgreensなどのよく見かける薬局で、場合によっては予約なしでもワクチン接種を無料で受けられます。CDC(米疾病予防センター)のウェブサイトには、ワクチン接種可能な薬局のリストがあります。また、最近のアメリカは特にワクチン未接種者の間で新規感染者が増加し始めていると言われているので、感謝祭やクリスマスのような家族や友人で集まる機会が多くなるホリデーシーズン前に、多くの人にワクチン接種をすませてほしいものです。
訳者が住んでいる、ワクチン接種率が55.73%と全米平均を下回っているテキサス州のダラスを本拠地にしているNBA(米プロバスケットボール協会)のダラス・マーベリックスは、試合会場として使用しているアメリカン・エアラインズ・センターで、観戦チケットを持っていない人にも予約なしでワクチン接種を受けられるように手配して、ワクチン接種を呼びかけています。ゲーム観戦前に接種したあと、盛り上がりすぎて帰る頃に副反応が出てしまう人もいそうな気がしないでもないですが…。
Reference: CBS News Dallas - Fort Warth