行方不明・美咲さんの母「持ち歩く犬のぬいぐるみに込めた思い」

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「当時、キャンプ場に履いて行った新品の靴が、あの日、山の捜索をしてボロボロになりました。今日はその靴を履いています。この靴を見るのも苦しくて、箱にしまったままだったのですが、『何としても見つけるぞ』という思いになりました。皆さん、見つかるまで、これからもご協力お願いします」

９月21日で、千葉県成田市に住む小学１年生だった小倉美咲さん(9)が、山梨県道志村のキャンプ場で行方不明となって、丸２年が経つ。母・小倉とも子さん(38)は前日の9月20日から山梨県を訪れ、ビラ配りを行った。その様子を取材した本誌記者も、とも子さんの強い決意に胸が締め付けられた。

９月20日昼前から、とも子さんは現場となったキャンプ場を訪れ、利用者にチラシを配り始めた。その後、近くにある「道の駅どうし」に移動し、15時前からチラシ配りを再開した。

「行方不明になって2年になります、似た子がいたら情報提供お願いします」

多くの人が立ち止まってチラシを受け取る。台風一過で厳しい日差しの中、とも子さんはほとんど休むことなく15時前から、道の駅が閉まる18時までチラシを配り続けた。

本誌はそんなビラ配りの合間の移動時間にとも子さんに話を聞いた。気になったのは、手にずっと持っていた犬のぬいぐるみだった。

「このぬいぐるみは、美咲が大事にしていつも持ち歩いていたので、今日も連れてきました。見つかった時に渡してあげたいんです。いつも一緒にいたので、美咲と私をつなげてくれる、お守りのような思いもあって持ってきています。山梨に来る時や、他の場所で活動する時もほとんど連れてきていますね」

この日、とも子さんはチラシを3000枚も用意していた。

「二日間で配り切るつもりで来ています。やはり『緊急事態宣言』や『まん延防止等重点措置』が出たために、県外移動が難しくなってきたので、山梨に来る回数は減っています。街頭で多くの方に声かけしてチラシをお渡しすることも、いまも緊急事態宣言なので、感染状況がひどい時は自粛しています」

また、ポスターやチラシは新しく作り直したという。

「2年が経過して、私の髪の毛もここまで伸びているので、美咲も髪を切ってないのであれば、かなり伸びていると思うんです。以前のポスターは短い髪型の写真がメインだったんです。だから長い髪になったら、これだけ雰囲気が変わるということをわかっていただけたら。（新しいポスターやチラシの）写真はキャンプに行く数日前に美容室でカットする前と後に撮影したものなんです」

いまはとにかく有力な情報が寄せられることを願うばかりだ。

「情報をお寄せいただく方のほとんどが、『間違っているかもしれません』と一文を添えてくださいます。でも、どの情報が間違っていて、どれが合っているかわからないので、確信がなかったとしても、すぐにご連絡をいただければ、どれかが手がかりになると信じています。悩まれて情報をいただいたのが何ヵ月も後、ということもあるのですが、そうすると防犯カメラで追えないんです。ですから、ためらわずに情報をお寄せいただきたいです」

とも子さんは２年という月日をどう考えているのだろうか。

「気づいたら2年経っていたという状況です。日々、母親として家族とできることをやってきたので、美咲がいない一日一日を過ごしていたら2年が経ってしまった。週2～3日くらいは私も（トリマーの）仕事をしています。長女（美咲さんの姉・小学６年生）が元気に学校に行ってくれるからこそ、その時間に仕事ができています。仕事をすることは、生活のためでもあり、美咲を探す活動を続けるためにも必要なんです」

最後にこう呼びかける。

「もし誰かに連れ去られたのだとしたら、山梨県の方に加えて、全国のみなさんに気にかけていただきたいというのが、私の伝えたいことです。2年経っているので、美咲はどこにいてもおかしくありませんから」

山梨県警には約4100件以上の情報提供があったという。だが、いまだ発見につながる有力な情報を得られていない。

とも子さんの願いが叶う日が来ることを願ってやまない。