文系SFのススメ

文系女子とか理系男子とかがハヤる(?)今。
SFといえば理系というイメージが強く、ファンタジーといえば文系のイメージが強いけれど、あえてそこで文系の読者に薦められるSF小説をいろいろ紹介してみたいと思います。

海外編

オーソン・スコット・カード『エンダーのゲーム』

エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))

エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))

理論に走りがちなSF小説の中でも、豊かな物語性と歴史・宗教などの重厚なテーマ、そして作中に溢れる暖かな眼差しで「英米SF界の宮部みゆき」と云われるカードの代表作。燃えどころ、泣かせどころをしっかり押えた展開は、通常小説の感動に勝るとも劣らない。

フレドリック・ブラウン『闘技場』

『天の光はすべて星』・『発狂した宇宙』の著者の児童向けアンソロジー。しかし、侮ることなかれ。訳はあの星新一、挿絵はなんと『トロイメライ』・『東京命日』の島田虎之介なのだ! ブラッドベリハインラインらとともに60年代SFを牽引したブラウンの、ロマンやユーモアを楽しみながら読みたい。

国内編

秋山瑞人猫の地球儀

猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫)

猫の地球儀 焔の章 (電撃文庫)

猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)

猫の地球儀〈その2〉幽の章 (電撃文庫)

秋山瑞人の最高傑作として名高いSF作品。
戦うことに自己の存在理由を見出した焔と禁忌を侵して地球儀に向かうことに存在理由を見出した幽という二匹の猫が織り成す悲劇は胸を打つこと間違いなし。

神林長平『七胴落とし』

七胴落とし (ハヤカワ文庫 JA 167)

七胴落とし (ハヤカワ文庫 JA 167)

SF小説だけでなく、少年の心の推移を描き出した青春小説として抜群に優れた出来。現代小説として出してしまっても何らおかしくないが、その裏にある「大人になるための」仕掛けはまさにSF的。

小川一水『妙なる技の乙女』

妙なる技の乙女たち

妙なる技の乙女たち

国内ハードSFの第一人者である小川一水が描いた女性向けSF。宇宙から地上まで、経営からエンジニアまで、近未来の地球で懸命に働く女性の姿は共感を与えてくれるだろう。